イタヤラ(ゴリアテグルーパー)はサメを一飲みで圧勝!天敵はいるの?

危険な魚類

「サメに圧勝!」凶暴なサメを一飲みにした怪魚が出現!

なんともセンセーショナルなニュースが飛び込んできたことがあります。

実はこれ、巨大魚として恐れられるイタヤラ(ゴリアテグルーパー)の仕業だったのです。

サメを一飲みにしてしまうなんて聞いただけでぞっとしてしまいますね。

今回はそんなイタヤラ(ゴリアテグルーパー)について「生態や特徴」、「天敵となる動物はいるのか?」など詳しく解説したいと思います。


イタヤラ(ゴリアテグルーパー)

「イタヤラ(ゴリアテグルーパー)データ」

イタヤラの写真

出典画像:Wikipedia

  • 分 類  スズキ目 ハタ科 マハタ属
  • 学 名    Epinephelus itajara
  • 和 名  イタヤラ ゴリアテグルーパー
  • 英 名   Atlantic Goliath Grouper  Goliath grouper
  • 体 長  250センチメートル程度
  • 体 重  350グラム程度
  • 寿 命  50年程度
  • 分布域   アメリカのフロリダ州からブラジルにかけての沿岸部
  • 生息環境  熱帯水域沿岸部 比較的水深が浅いサンゴ礁や岩など

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)の特徴

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は同じハタ科マハタ属のタマカイの異種としても有名で、タマカイ同様に非常に大きくなる魚です。

タマカイの写真

出典画像:Wikipedia

それは、名前の由来でもあるゴリアテ「旧約聖書に登場する巨人」からも分かるように体長250センチメートル程度、体重360キロ程度にもおよぶのです。大西洋においては最大種となり得ますね。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は深緑や紫に近い茶系統で黒い斑紋があるのが特徴的です。この体色は成長に従ってどんどんと濃くなっていくようです。

巨体に似合わず小さな可愛らしい目と分厚い唇が愛らしくもありますが、流石に海の中で出会ってしまうと怖いかもしれませんね。

恐ろしい魚のイメージ通り、歯があるのですが、下顎のみ小さな奥へと返しが付いた歯で、これは噛み砕くというよりは捉えた獲物を逃がさないためのようです。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)の生態

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は、アメリカのフロリダからブラジルにかけての沿岸部、熱帯水域の比較的浅い海のサンゴ礁などで暮らしています。

稀にアメリカ北部やアフリカ大陸や南米大陸でも見られることもあるようです。

幼魚の頃には、汽水域やマングローブなどの湿地や牡蠣などの養殖場などで暮らし、数年経って体長が1メートルを超えたあたりでサンゴ礁へ移動します。

以前は漁や釣りの対象となり人気があったのですが、あまりにも容易に捕獲できるため、1990年代には絶滅するほどに数を減らし保護対象となっています。

さらに幼魚の生活の場であるマングローブなどの湿地帯が開拓や環境破壊で減少たことも個体数の激減に繋がっているようですね。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)の食性は肉食性(動物食)となり、主にはカニやエビなどの甲殻類や魚類、タコや小さなウミガメなどなんでも食します。視界に入った食べられると思えるものは何でも口に入れてしまうようですね。

また成長して巨大になれば、レモンザメやオニカマスなどの肉食魚も捕食するようです。

レモンザメの写真

出典画像:Wikipedia

前述しましたが、下の顎にある歯はこれら捕まえた獲物を逃がさないために使われるようで、獲物は食いちぎったりはせずに丸呑みしてしまいます。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は基本的には繁殖期以外は単独行動で、その狩りは主にサンゴ礁などに潜んでの待ち伏せタイプですが、チャンスと思えば積極的に狩りを行うようです。

繁殖は卵生で、詳しくは後述しますが雌性成熟になります。

繁殖時期になると群れになって受精率を高めるようですね。雌が卵を産むのは難破船や岩棚などで、孵化し生存競争を勝ち抜いた者だけが、寿命ともいえる50年を生き抜くことが出来るのです。


特殊な生態「雌性成熟」

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は小さい頃は雌として生まれ育ち大きくなってから一部が雄へと性別を変えるのです。

これは海の魚には意外と多いのですが、雌から雄へと変化する「雌性成熟」、雄から雌へと変化する「雄性成熟」があり、イタヤラは前者になります。

これは海にすむ魚たちの子孫を残す為の優れた能力となるようですね。

雌性成熟には、ホンソメワケベラやサクラダイ、キンギョハタダイ、キュウセン、マハタなどがいます。

ホンソメワケベラの写真

出典画像:Wikipedia

雄性成熟には、クロダイやクマノミ、コチ、ハナヒゲウツボなどがいます。

クロダイの写真

出典画像:Wikipedia

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)はサメに圧勝!一飲みにしてしまう

「イタヤラ(ゴリアテグルーパー)がサメを一飲みにした!」

このセンセーショナルなニュースはテレビやインターネット動画サイトなどでも見ることが出来たため、多くの方がその事実を確認されたと思います。

釣りをしていると体長1.2メートル程度のサメがかかったのですが、サメが水面に出て引き揚げようとした正にその瞬間にサメの後ろから黒い影が現れ、大きな口でそのままサメを丸呑みにして海へと消えていったのです。

サメの写真

出典画像:Wikipedia

この衝撃的な映像は瞬く間に全世界へと広がっていき、犯人であるイタヤラ(ゴリアテグルーパー)が恐怖の魚として全世界に知らしめられることになったのです。

アメリカの海洋学者もこれには驚きのコメントを発していました。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は危険な魚なのか?

このセンセーショナルな出来事からイタヤラ(ゴリアテグルーパー)は非常に獰猛な魚というように見られることが多くなりましたが、実際にはどうなのでしょうか?

実は、サメ以外にもダイバーがイタヤラ(ゴリアテグルーパー)に襲われるという事件も起きているのです。

ダイバーを餌だと思い込んでしまったら、勿論食べようとします。実際海中に引きずり込まれたり、異種であるタマカイの仕業も含めると、勿論真意の程は定かではありませんが、世界各地で人間が巨大魚に飲み込まれたという話も伝わってきています。

アメリカのテレビ番組「モンスタークエスト」では、70年近く前の話として、海で遊んでいた少年がイタヤラ(ゴリアテグルーパー)に襲われ死亡したケースがあるとも報道していました。

しかし、これに異を唱える学者も存在します。

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は特に獰猛というわけではないというものです。実際に歯も長いもので3ミリ程度と肉片を食いちぎられることはないし、噛む力も強くないと否定的な見解を示しています。

前述のサメの捕食も通常時ではあり得ないという見解もあります。

釣り針に引っかかっているサメが弱い獲物に見え、なおかつ飲み込める大きさと見誤ったと考えているようですね。つまり日常的ではなくたまたまその状況が起こったとするものです。

確かに武器となるものの存在はないのでなんとも言えませんが、この大きなイタヤラ(ゴリアテグルーパー)に水中で間違って襲われたとしても、その時の恐怖は想像するだけで恐ろしいですよね。


イタヤラ(ゴリアテグルーパー)に天敵はいるのか?

大きく成長したイタヤラ(ゴリアテグルーパー)は、その海域では食物連鎖・生態系の頂点に君臨しますので、これと言った天敵の存在は無いようです。

強いてあげるとすれば、以前捕獲や乱獲を繰り返し絶滅の一歩手前まで追い込んでしまった人間が天敵と言えるのかもしれませんね。

しかし、これもアメリカでは捕獲が禁止になっていますので、今では天敵はいないと言えます。

ただ、身体が小さい時には、大きな肉食魚(サメやオニカマスなど)の餌にはなってしまうようです。

オニカマスの写真

出典画像:Wikipedia

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)の実情

前述もしておりますが、イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は簡単に捕獲することが出来てしまいます。また、釣り人の間ではその大きさから絶好のターゲットとなっていました。

これに環境破壊などの要素も加わり、1990年頃には、絶滅の一歩手前にまで個体数が激減してしまったのです。

懸命な保護活動が行われ、姿を見なくなった海域でも個体が確認されるなど今では少しずつ個体数を戻しつつあるようですね。

普通であれば「良かった」となるのですが、実はそうとも言っていられない事情も人によってはあるようなんです。

数が増えてきたイタヤラ(ゴリアテグルーパー)が今度は魚を食べつくしていると、地元の漁業関係者はそのせいで今度は漁獲高が激減していると悲鳴を上げているのです。

これを受け、フロリダ州魚類野生生物保護委員会が過去3回にわたりイタヤラ(ゴリアテグルーパー)の生息個体数調査を行いましたが、いずれも漁の解禁までの個体数の回復には至っていないと判断しているようですね。

これに関しては様々な検討案が出されてはいるものの具体的な解決策とはなっていないようです。

また、最近ではイタヤラ(ゴリアテグルーパー)と一緒に泳ぐという目的でフロリダを訪れる観光客も増加するなど、イタヤラ(ゴリアテグルーパー)を観光資源として活用することも考えられているようですね。

イタヤラの写真

出典画像:Wikipedia

まとめ

今回イタヤラ(ゴリアテグルーパー)について色々とご紹介をしてまいりました。

正直なところ、サメを一飲みしたニュースが出るまではあまりその存在さえも知られていない魚でしたが、ひょんなことから有名になり、調べてみると非常に厳しい生存環境に置かれていたことも分かりました。

いかつい体に何でも食べようとしてしまう好奇心旺盛な性格が災いして、恐ろしい魚の仲間入りさせられてしまいましたが、実際には特別獰猛ということでは無いようです。

一日も早く、以前の生態系を取り戻し、漁師、ダイバー、観光客と良い関係を築いてくれると良いですね。

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