かつて地球を恐竜が支配していた時代、その一方で別の生物も生態系の頂点に君臨し隆盛を誇っていました。
それが、現代でも恐ろしい生物として生態系の頂点に君臨し続けるワニです。
当時のワニ、とりわけサルコスクスは淡水域では生態系の頂点に君臨する猛者として恐れられていました。
今でも史上最大にして史上最強のワニとして語られているのです。
今回は、そんなサルコスクスの生態から大きさ、強さの秘密についてご紹介いたします。
サルコスクス
「サルコスクス データ」
- 分 類 ワニ目 フォリドサウルス科 サルコスクス属
- 学 名 Sarcosuchus(史上最大のワニ)
- 和 名 サルコスクス
- 英 名 Sarcosuchus
- 時 代 白亜紀前期
- 体 長 11から12メートル程度
- 体 重 8トンから10トン程度
- 寿 命 50から60年
- 分布域 アフリカ大陸
- 生息環境 河川や沼などの淡水域
サルコスクスの特徴
サルコスクスは白亜紀前期となる1億4550万年前から1億年前にアフリカ大陸に生息をしていた巨大ワニです。
その大きさは12メートル(体重10トン)にもおよび、史上最大のワニとされています。
そして勿論、史上最強のワニでもあるのです。
この時代は、恐竜が全盛を迎えていますので、恐竜と同時代を生き抜いたワニと言うことになります。
このサルコスクスのような大型のワニが登場する以前には、水生の恐竜も数多く存在していたようですが、このサルコスクス達の登場でその多くが姿を消してしまいました。
当時の淡水における生態系の頂点を実力で奪い取ってしまったのです。
サルコスクスの分類は「フォリドサウルス科」で、現代に生息するワニとは遠縁にあたる種と考えられています。
しかし、骨格の形状がガビアルに類似するため「ガビアル科」の可能性も残っているようです。
ただ、吻が細長い印象のガビエルに比べると、同じ長い吻でも頑丈でしっかりとした印象のサルコスクスは随分と異なる感じがしますね。
この吻(顎)を使った咬む力(咬合力)は、およそ8トンと推測されているのです。この数値はあのティロサウルスのそれの倍近い数値となるのです。
サルコスクスの生態
サルコスクスの化石は現在のサハラ砂漠で発見されました。
同じ場所から出土した化石などから推測すると、今のサハラ砂漠は、当時は大きな川が流れる緑豊かな自然環境が整っていたと考えられています。
サルコスクスは、現代のワニと同様に肉食で、川辺に潜み大型の魚や水を飲みに来た恐竜なども捕食していたとされています。
前述のように、咬む力はティラノサウルスをはるかに上回る8トンです。
また、顎の上下には100本以上の大きく鋭い歯が並びます、一度獲物に食らいつけば逃げることは出来ないでしょう。
咬みつかれて水中に引きずり込まれたら、ひとたまりもありませんね。
また、現代のワニ「ガビアル」同様にサルコスクスの吻先にはコブのような突起があります。
ガビアルは、これを使い鳴き声を発し求愛をするのですが、同様の行為をサルコスクスもしていたようですね。
サルコスクスの繁殖は卵生で、寿命は50年から60年であったと考えられています。
現代のワニと同様に、誕生からの10年で急成長をして一定の大きさになってからも毎年少しずつ成長をしていたようです。
サルコスクスは最大にして最強のワニ
前述のように、サルコスクスは全長12メートル体重10トンにも及ぶ史上最大のワニです。
そして、当時の淡水域の生態系の頂点に君臨した史上最強のワニでもあるのです。
サルコスクスが生息していた白亜紀は、誰もが知る恐竜が隆盛を誇っていた時代です。
恐竜が支配する恐ろしい時代に、淡水域ではこのサルコスクスが頂点に君臨していたのです。
それを成し遂げられたのは、やはり巨大な体とそこからから生み出される強さがあったからです。
サルコスクスの大きさ
サルコスクスの全長12メートル体重10トンという大きさは、史上最大級になります。
全長では、現代に生息する最大のイリエワニと比べても倍以上、体重においてはなんと6倍以上にもなるのです。
また、現生するワニ同様に、成獣となっても年々成長し年を取ればとる程大きくなっていきました。
実は、この成長形態は、陸の王者ティラノサウルスも同様だったようですね。
とは言え、サルコスクスの化石は頭部の他は全身の半分程度しか発見されていません。
しかし、発見された頭部の骨はそれだけでも成人男性と同じ180センチメートル程度と非常に大きいのです。
ワニの場合には、頭の大きさと全身の大きさの相関関係が分かり易く、全長を推定することが可能なのです。
このことから、あくまでも推測の域ではありますが、サルコスクスの大きさは信憑性のある数値とされています。
サルコスクスの強さの秘密
サルコスクスの強さはやはり咬む力にあると思います。
これを最大限に活かすのが、大きく鋭利な歯そして顎の構造にあります。
サルコスクスの歯は、大きく鋭利な形状で顎の上下に100以上が並びます。獲物に咬みついたら離さない非常に頑丈なものです。
顎は、上顎が下顎を完全に覆うタイプの構造で、これは多くの恐竜も同じ構造で、咬みついたら獲物を逃しません。
これらを、ティラノサウルスをはるかに凌ぐ8トンもの咬む力で、獲物にぶつけるのです。
一咬みで絶命または致命傷を与えることが出来たでしょうから、相手としてはたまったものではありませんね。
このようにサルコスクスは、抜群の攻撃力を持っているのです。
さらに、巨大な体はそれだけでも武器になります。
背中は、甲羅のように固い鱗で覆われていました。たいていの攻撃は跳ね返すことが出来たと考えられます。
攻撃力に防御力、いずれもずば抜けたものを持つサルコスクスは淡水域では王者として君臨することが出来たのです。
ただし、この防御の要となる鱗ですが、あまりにも固いので柔軟性・俊敏性には欠けていたとも考えられているようです。
まーだからと言って、それで弱くなることはありませんね。
スピノサウルスとサルコスクス
淡水域では、生態系の頂点に君臨したサルコスクスですが、万全の地位を確立していたかと言うとどうやらそうでも無いようです。
同じ淡水域では史上最大の肉食恐竜スピノサウルスと同時代に共存していた可能性があるのです。
体長15メートルにもおよぶスピノサウルスはワニと同様の機能を有し水の中でも、または陸上でも活躍できる水陸両用の機能性を所有していました。
餌としていたのは、主には魚類で干ばつなどの起きる季節にはサルコスクスと餌の奪い合いを繰り広げていた可能性があります。
攻撃力ではサルコスクスが遥かに優位ですが、身体の大きさに機能性ではスピノサウルスに分があります。
バトルとなれば、双方共に無傷では済まない壮絶な戦いとなったことでしょう。
まとめ
今回、史上最大にして最強のワニ「サルコスクス」についてご紹介しました。
現存する最大のワニ「イリエワニ」よりも数倍も大きなワニが存在したというのです。
そして、恐竜が支配する時代において、淡水域ではサルコスクスが生態系の頂点に君臨していたのです。
それだけでも、サルコスクスの尋常ではない強さを物語っていると感じさせてくれますね。
多くの恐竜は絶滅と言う厳しい結末を迎えます。このサルコスクスも残念ながら、同じく絶滅の道を辿ることになります。
恐竜は、種としては根絶やしされてしまいますが、ワニ類は種族を変えずに現代でも生存し続けています。
※恐竜は、一部の種が鳥類に姿を変えて現代にも生存しています。
ワニ類は、免疫力が強く環境変化への対応力があることが、現代でも生存し続けている大きな理由とされています。
生存時には、激しい生存競争を繰り広げたとされるワニと恐竜ですが、その軍配は、現在にもそのままの種として生存するワニに上がるのかも知れませんね。