プテラノドンの生態と絶滅の理由!最強の肉食翼竜で天敵はいない?

危険な恐竜

皆さんは、「プテラノドン」をご存知でしょうか?およそ7000万年前に絶滅をしてしまった大型の翼竜で、恐竜をテーマにした映画などでは、大空を我が物顔で舞っている姿で描かれること多いですね。

こう言われると「ああ!あの空飛ぶ恐竜か!知ってる知ってる。最強の肉食恐竜でしょ?」などとピンとくる方も多いかも知れません。

でも、残念ながらこれ一寸誤解があるんです。プテラノドンは実は恐竜ではなく翼竜なんです。

翼竜と言うのは飛行能力に特化し進化を遂げた爬虫類になり、正確に言えば恐竜ではありません。同時代に生存し、恐竜図鑑などにも登場するため、よく勘違いされるようですね。

他にも「ケツァルコアトルスとの混合」や「実は飛べなかった」などなど様々な勘違い描写が多いのも事実なんです。

今回はこのプテラノドンについて、その生態から天敵はいるのかなど深く掘り下げてまいります。


プテラノドン

【プテラノドン データ】

プテラノドンの写真

出典画像:Wikipedia

  • 学 名  Pteranodon(プテラノドン) 意味は「歯が無く翼があるもの」
  • 和 名  プテラノドン
  • 分 類  翼竜目(/ 翼指竜亜目) オルニトケイルス上科 プテラノドン科 ※諸説あり
  • 体 長  開翼長7メートル(最大では9メートルとする説もあり)
  • 体 重  20キログラム程度(15から25キログラムの範囲で説明される)
  • 時 代  白亜紀後期8500万年前前後(こちらも諸説あり9千万年前から7千万年前と幅広い)
  • 生息地  化石発見地としては、北米(アメリカ)、アジア(日本)
  • 食 性  魚を食す
  • 繁 殖  卵生

 

プテラノドンは白亜紀後期に生息していた大型の翼竜の一種であります。

翼竜とは爬虫類の一種で初めて空を飛んだ脊椎動物とされています。小型の「ランフォリンクス類」と、大型の「プテロダクティルス類」に分類されプテラノドンは後者になります。

また、よく近縁種の恐竜と混同されがちですが、実際には分岐した別の種いなります。

プテラノドンの化石はその多くが北アメリカ(カンザス、アラバマ、ネブラスカなど)で発見されていますが、日本の北海道でも発見されることから近縁種も含め幅広い範囲に分布していたと考えられています。

恐竜をモチーフにした映画や漫画などには、悠々と空を飛ぶ姿で描かれており、最もポピュラーな翼竜になりますね。

ただ、よくあるティラノサウルスと一緒に登場してくるのは誤りで、ティラノサウルスとプテラノドンは同時期には存在しておりません。

ティラノサウルスが登場する頃にはプテラノドンは既に絶滅していたと考えられています。

名前の由来

プテラノドンという名前は、ギリシャ語の「翼がある」「歯が無い」を繋げたもので、「翼があり歯が無いもの」ということから来ています。

分類

プテラノドンは化石からのみ、その詳細を知ることが出来るので、これまでも新説が出ては訂正されるということが多々あり、いずれも推測の域を脱することは出来ません。

ただ、種類としては「ロンギケプス」「ステルンベルギ」の2つに分類されることは定着したようです。

大きさ

プテラノドンは巨大な空を飛ぶ翼竜で、翼を広げた時の大きさ「翼開長」ではロンギケプス種で約7から8メートル、もう一方のステルンベルギ種では約9メートルに達するものもあったようです。

現代に生きる中で最大の翼開長となるワタリアホウドリの実に三倍、路線バスの長さを上回るほどの大きさとなるのです。こんな大きな生き物が空を飛んでいたのですから驚きですね。

そうは言っても、プテラノドンが翼竜の仲間の中で最大種ということではありません。これより大きい翼竜はいました。例えば、史上最大とされる飛行生物ケツァルコアトルス(プテラノドンと同じ翼竜)においては体高5メートルにくわえ12メートルに達する翼開長を持つとされています。

ケツァルコアトルスの想像図の写真

出典画像:Wikipedia

また後述しますが、プテラノドンの体重は空を飛ぶために軽かったようですね。

さらに空を飛ぶことに特化しているため体の大きさに対して後ろ脚は非常に小さく、地上での歩行はあまり得意では無かったとも考えられています。

その他特徴

翼には鳥のような羽毛は生えておらず、皮膚と同じ組織細胞の皮膜で出来た皮翼であったようです。骨格も飛行をするために軽量化がされており、至ってシンプルな構造となっています。

その体重においては、これだけの大きさを誇りながらの、20キロ程度と非常に軽かったようです。

プテラノドンの骨格標本の写真

出典画像:Wikipedia

空を飛ぶための軽量化で骨は空洞化され、当然筋肉組織も軽量化のため大幅に省かれ有したのは最小限の筋肉だけのようです。

映画で見るような人間を鷲掴みにして舞い上がるような行動は出来ないのではと考えられています。

前述の最大翼竜ケツァルコアトルスにおいてもその体重は70キロ程度と考えられ、翼竜の仲間は巨大な翼開長とは正反対の華奢な体形だったようですね。

体毛に関しても様々な説があるので断定は出来ないようですが、飛行においてはエネルギーを非常に必要とするので、恒温性の可能性が高いことからプテラノドンにも体毛があったと考えられています。

また海にすむ魚を捕食していたとされることから、現代の海鳥に多く見られる白い体毛であった可能性が高いようですね。

化石から判断するに頭部は大きいうえ顎の骨は長く歯はありません。長い下顎で水面近くの魚をすくい丸呑みにしていたようです。

その後頭部には骨性の大きなトサカがあったことが知られていますが、「飛行時の舵や効率化」「求愛や種族識別」など存在理由は諸説あり解明されていません。しかし雌にはこれを欠くことから前者には否定的な意見が多いようですね。

そんな中、種によってトサカの形状が異なることが分かっているので、分類基準とはなるようです。


研究が難しいプテラノドン

翼竜は、恐竜に比べてもその解明がなかなか進みにくいのです。

恐竜や翼竜の研究は、化石として発見される骨が重要な手掛かりとなるのですが、翼竜は軽量化のために骨は空洞化され非常にもろく、長い年月を経た現在ではなかなか良い状態で発見されることが少ないのです。

このことから、翼竜における研究は非常に困難で研究の進捗もなかなか進んでいないようですね。

プテラノドンの生態

プテラノドンは、群れを形成して空を飛び(捕食のため海上を飛ぶことが多いようですね)、岸壁の中腹や頂上付近に巣を作って生活をしていたと考えられています。

飛行能力

筋肉系統から考えると、飛行にもあまり筋力を必要としない空気の流れを利用するグライダーのような飛行方法だったというのが有力です。

多少の羽ばたきはあったかも知れませんが、ほとんどは気流に乗って飛行するというものです。しかしそれでも巣から100キロメートルも離れた海上を飛んでいたと目されているのですから、驚くべき飛行能力です。

これらの根拠は現存のアホウドリとの比較研究から導き出されているようです。

アホウドリの写真

出典画像:Wikipedia

翼を広げた際の縦横の大きさの比率がアホウドリ「8対1」プテラノドン「9対1」と非常に類似しており、アホウドリ同様の飛行能力を有するとの考えになります。

アホウドリは海上で長時間飛行し続け、効率よく魚を捕食するため羽ばたきはほとんど行いません。

それは翼の持つ揚力が非常に大きいので、飛行能力にも余裕があり無駄な羽ばたきをする必要はなく、飛び立つ際も、上昇気流をとらえて簡単に舞い上がることが出来るのです。

これと同様の能力がプテラノドンにも備わっていたと考えられています。

食性

プテラノドンの食性は肉食性ではありますが、そのほとんどは魚を捕食する魚食性と考えられています。これは、胃とされる部分から捕食されたと見られる魚の化石が多く発見されたことによるものです。

狩りは、前述のように気流に乗って滑空しながら水面ギリギリを飛び、長い嘴を水中へと差し込み魚を捕食していたと考えられています。

プテラノドンの標本の写真

出典画像:Wikipedia

また、嘴は魚を取るには都合の良いように進化したと考えられ、袋状になった皮膜が下の嘴にはあります。ここに捉えた魚を蓄え巣に持ち帰ったという説もあるようです。

また歯が無いことから海鳥同様に魚は丸呑みで食していた可能性が高いです。

繁殖

それまでは憶測として伝えられてきました卵生説が2004年の「翼竜の卵の化石の発見」で仮説から本説へと動いたのです。これによりプテラノドンの繁殖は卵によるものの可能性が高くなったのです。

この発見された化石からは、孵化直前の子供の化石も見つかり、それは体長が5センチメートルほどで、頭から翼までしっかりと骨格が出来上がっていたようです。

このことから翼竜の子供は生まれるとすぐに飛ぶことが出来たとも考えられているようですね。

しかし、鳥類のように卵を温めて孵化させることはしないようで、自然孵化だったようです。卵の殻がどうやら鳥類のように硬いものではないようで、温めると言うことは出来ず必然的に自然孵化となるようです。

もしかすると、これも絶滅の要因の一つということも考えられています。

天敵

空を飛ぶプテラノドンには天敵がいたのかという話題も多々ありますが、実際に見つかった化石にはスクアリコラックス(サメの仲間)の歯型が付いたものが見つかっており、狩りの際に水面に近付いたところを襲われたのではないかと考えられています。

スクアリコラックスの写真

出典画像:Wikipedia

また、巨大な海生爬虫類の「モササウルス」や首長竜「プレシオサウルス」、様々な中型食肉獣も天敵とされる説もありますが、いずれも定かではありません。


絶滅

プテラノドンの絶滅に関しては、その定かな理由が分かっていません。6500万年前の恐竜の大量絶滅の際には実はすでに生存していなかったようなんですね。

その後に登場するケツァルコアトルス等の大型の翼竜や後に空における天下を取る鳥類との生存競争に負けて衰退したのかも知れませんが、実際にはその理由が解明しきれていないようです。

様々な誤解

さて、最後にプテラノドンにおける様々な誤解を紹介し改めて訂正しておきましょう。

プテラノドンは空飛ぶ恐竜である

一見真実と思われがちなんですが、前述したようにプテラノドンは恐竜ではなく翼竜と言う爬虫類の仲間になります。勿論恐竜とは近縁種の仲間ではありますが、分岐した立派な別の種になります。

恐竜図鑑などでは恐竜と一緒に紹介されていることから生じる誤解なんですね。残念ながら某人気子供アニメにも登場したフタバサウルスやプレシオサウルスなどの首長竜も実は同様に恐竜ではないのです。

プレシオサウルスの写真

出典画像:Wikipedia

ティラノサウルスとの同時期生存

映画などでは、よく恐竜をモチーフにする場合にティラノサウルスが主に扱われますが同時にプテラノドンも空の支配者として登場することが多々あります。

ティラノサウルスの写真

出典画像:Wikipedia

しかし、実はこれあり得ないことなんですね。

プテラノドンは遅くとも7000万年前には絶滅をしてしまいました。それを考えますと6800万年前に初めて登場するティラノサウルスと同じ時代を生きることは不可能なんです。勿論ティラノサウルスの祖先筋となる種との同時期生存は考えられますが、ティラノサウルスとなると不可能なんです。

ティラノサウルスの時代に空の支配者となっていたのは、ケツァルコアトルス等ですがあまり知られていないのでプテラノドンが使われたのかも知れませんね。

大量絶命時による絶滅

前述と同様になりますが、プテラノドンの絶滅理由で6500万年前の大量絶滅により絶滅したとされることが多々ありますが、この時には既にプテラノドンは生存をしていないので、これも正しくはありませんね。

勿論、近縁種であるケツァルコアトルスやニクトサウルスはその可能性がありますが、ことプテラノドンにおいてはあり得ないとする方が正しいようですね。

プテラノドンは空を飛ぶことが出来ない

ここまでの説明では当然のようにプテラノドンは空を飛ぶ翼竜ということで進めてまいりましたが、実際にはこれを否定する「プテラノドンは飛べないのではないか」という説もあるのです。

現代の鳥類と比べてその身体があまりにも巨大であるため、飛行することに疑問が上がっていたのです。

しかし、これは研究が進むにつれて飛べることの信憑性が高まることになります。化石の発見場所が海であったことや体重が軽いこと、骨の構造や筋肉系統からプテラノドンの身体が飛ぶことに適して進化して来たことが明らかになったのです。

プテラノドンの骨格標本の写真

出典画像:Wikipedia

飛行方法は、鳥とは異なりますがプテラノドンが飛行していたことは間違いないとされたのです。

プテラノドンは最強の肉食翼竜である

こちらはやはり映画の影響が大きいようですが、プテラノドンを獰猛な肉食獣とする考えがまことしやかに広まっていました。

人間をいとも簡単に鷲掴みにして大空高く舞い上がり、鋭い牙で切り刻んで食する…。

これはプテラノドンには不可能なんですね。まず第一に歯がありませんし、これまで説明して来たように、自分の体重よりもはるかに思い人間を持ち上げるだけの筋肉がありません。しかも、食性は魚食性になります。

プテラノドンは最強の肉食翼竜なんかではありませんね。あくまでも、演出からこのような誤解が生じたということに落ち着きそうですね。

まとめ

今回プテラノドンについて色々とご紹介をしてまいりました。

様々な誤った情報を植え付けられていたプテラノドンですが、それも少しずつ正確に伝わって行きそうですね。

しかし、翼を広げると9メートルにもなる大型のプテラノドンが悠々と大空を滑空する様子はまさに雄大そのものだったのでしょう。

今となってはその雄大な姿を見ることは不可能なのですが、一度で良いから見てみたいものです。

映画などでも演出されるように、太古の昔に馳せるロマンはこのプテラノドンの雄大な飛行姿から始まっているとも言えますね。

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