みなさんは、毒を持つ鳥がいることをご存じですか?
もちろん、食べたら毒になる鳥もいますが、実は触ってもだめな鳥がいるのです。
ニューギニア島に住む、ズアオチメドリという鳥は、羽に神経を麻痺させる毒を持っている、とても珍しい鳥です。
今回はそんな、毒を持つ危険な鳥、ズアオチメドリという鳥の毒や、生態についてご紹介します。
ズアオチメドリとはどんな鳥?その生態は?
ズアオチメドリ
【学名】Ifrita kowaldi
【分類】スズメ目Ifrita科ズアオチメドリ属
【分布】ニューギニア島
ズオチメドリとは、ニューギニア島に住んでいる鳥類の一種です。その多くは標高1000m以上の熱帯雨林の中で生活しているいわれています。
その姿は写真のようにとても特徴的ですね。
なによりまず目を引くのが、黒と青の鮮やかな頭ですね。黄色の体とのコントラストがとても美しいです。
しかし、このような色は警告色といって、自分を食べようとしている鷲や鷹などの猛禽類やへびなどのは虫類などの捕食者に向けて、「自分は毒を持っているから、食べると痛い目を見るぞ。食べるなよ。」とアピールしている色なのです。
警告色はこのように派手な色やそのコントラスト、また、赤色などが使われることが多いです。
そして、警告色を出しているとおり、ズオチメドリはとても強い毒を持っています。
その毒はズオチメドリの皮膚や羽に含まれています。
そのため、ズオチメドリには、食べるだけでなく、触れることもしてはいけません。
ズアオチメドリの持つ毒、バトラコトキシンとは?
バトラコトキシンとは神経を麻痺させ、死に至らしめる毒の一種です。現地の人々には古くから矢毒に用いられてきました。
この毒をもつ生き物の多くは南米に住む生き物です。
一番最初に見つかったのは、モウドクフキヤガエルなどの特定の種のカエルからでした。
ギリシア語でカエルを意味する「バトラコトス」と、毒を意味する「トキシン」が合わさり、バトラコトキシンと呼ばれています。
このバトラコトキシンは猛毒です。1mgのバトラコトキシンを摂取するだけで、ハツカネズミ1万匹、人なら20人、ゾウ2頭が死んでしまいます。
成人男性であれば、0.12mgの摂取で死に至ります。
バトラコトキシンは神経や神経細胞、また、筋肉の組織などに作用し、正常な働きができないようにしてしまいます。
神経と筋肉の接続部分の指令の伝達を妨げてしまいます。毒の作用はふぐの持つ、テトラドトキシンとよく似ていますね。
そして、筋肉を収縮させてしまいます。それによって、心不全や心室細動、呼吸困難などを起こしてしまい、最終的には死んでしまいます。
バトラコトキシンはアオチメドリなどの属する、ピトフーイ属の6種の鳥や、モウドクフキヤガエルの他にはそれらがえさとしている甲虫などにも含まれています。
その多くは南米に住む生き物ですので、旅行などの際には十分気をつけることが重要です。
ズアオチメドリはバトラコトキシンをもとから持っていたわけではありません。
ジョウカイモドキという甲虫の一種が高濃度にバトラコトキシンを体内に保持しているため、その虫を食べたズアオチメドリの体内にも毒が蓄積されてしまうようになったのです。
ズアオチメドリの仲間のピトフーイとは?
ズアオチメドリのような毒を持っている鳥はとても珍しいです。ですが、鳥は食物連鎖の上位にある生き物ですので毒を持っている場合、その毒は強い場合が多いです。
しかし、実はズアオチメドリの仲間、ピトフーイには毒をもつ種が多いのです。
ピトフーイとはかつて同じ属とされていた、鳥類6種のことを指します。そのうち、5種に毒が確認されています。ピトフーイはみんなニューギニア島に生息しています。ピトフーイという名はかれらの鳴き声から来ています。
ピトフーイにはズグロモリモズ、カワリモリモズ、ズグロモリモズ、ムナフモリモズ、サビイロモリモズ、クロモリモズ、カンムリモリモズ、の6種が含まれます。
毒を持たないのは、このうちの一種のみで、ムナフモリモズには毒がありません。
現在ではピトフーイ以外にも毒をもつ鳥は見つかっているのですが、毒を発見した当時1990年は大発見とされていました。
ニューギニア島を調査していた調査団の中にいた、シカゴ大学のダンバッチャー氏の舌の上に羽を落とし、くしゃみが出たり、口や鼻に違和感を感じたことからピトフーイの羽の毒性が発見されました。
まとめ
いかがでしたか?とてもかわいらしい姿をした、アオチメドリという鳥が実はモウドクを持ち、触るだけで毒に犯されてしまう、ということに驚いた方も多いのではないのではないでしょうか?
毒を持つ鳥の多くはニューギニア島に生息しており、日本に住んでいる分には被害を受けることはありませんので安心してくださいね。