インドネシアには火を吹き、スイギュウをも倒してしまうと言われたトカゲがいます。
それがコモドドラゴンです。
実際、コモドドラゴンは火は吹きませんが、生態系の頂点に君臨し、人をも襲うことがあります。
この記事ではそんなコモドドラゴンの生態や天敵に付いてご紹介していきます。
目次
コモドドラゴンの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Varanus komodoensis
- 分類:有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属
- 生息地:インドネシアのコモド島・フローレス島・リンチャ島
- 体長:70~130cm(尾を含めると200~300cm)
- 体重:70~160kg
体色は暗く褐色がかった灰色をしており、体格は大きくトカゲの中で最大種になります。
生息する環境は落葉樹が生い茂る林や草原、川辺で、時には木にぼることもある。
また、泳ぐことも得意で、遠泳や潜水が可能です。
食性は肉食で、小型から中型の哺乳類を主として捕食しますが、時としてスイギュウなどの大型の哺乳類をも捕食することがあります。
また、鳥類や昆虫、爬虫類も捕食するほど、食欲旺盛で動物の死体さえ食べます。
狩のスタイルは待ち伏せ型で、近づいた獲物に前足の鋭い爪と恐竜を思わせる大きな口で襲いかかります。
繁殖のしかたは卵生で、1回に10~30ほどの卵を産み、成長のスピードは5〜7年ほどで成体に成長します。
近年コモドドラゴンで話題になっているのが、その繁殖の仕方です。
2006年にイギリスにある動物園2ヶ所で、そこで飼育されているコモドドラゴンが交尾をせずに卵を産み、そのうち1ヶ所で孵化したのです。
つまり単為生殖です。単為生殖はオスまたはメスのみで子を作ることを指します。
このコモドドラゴンが単為生殖ををしたというニュースは科学雑誌ネイチャーでも取り上げられ、現在でも研究が進められています。
コモドドラゴンの生態|最強の人食いトカゲと言われる理由
1974年から現在に至るまで、約30人ほどがコモドドラゴンに襲われ、そのうち5人が亡くなっています。
また、コモドドラゴンが学術的にもまだ明確に発見できていない時、コモドドラゴンは「スイギュウを倒し、火をふく大型のトカゲ」と言われていました。
なぜここまで「強い」という印象が付いているのか。
それは、コモドドラゴンに備わっている高い運動能力や毒、そして人間を襲う獰猛さゆえでしょう。
この章ではそんなコモドドラゴンの生態をご紹介していきます。
コモドドラゴンの寿命は?
コモドドラゴンは孵化してから約5〜7年で成体になります。
成体になるまでは体に黄色い斑点模様があり、木の上や木のくぼみ、皮の間に身を潜めています。
そこから成体になり草食動物やさまざまな生き物を捕食しなが、約50年ほど生きています。
コモドドラゴンは走ると早い?
コモドドラゴンの外見は鈍重で「のそのそ歩きそう」とか、動きが遅そうに見えます。
ところが、コモドドラゴンが30人もの人間を襲ったり、シカやイノシシを襲うことができるのは、実は足が速いからなのです。
コモドドラゴンは獲物を追走する際に約18~20km/hで走ることができるので、人間でも簡単に追いついてしまいます。
コモドドラゴンが持つ毒とは?
コモドドラゴンの足が速くて、追いつかれたとしても相手はトカゲ、少し怪我をするぐらいと侮ってはいけません。
コモドドラゴンに噛まれることは、命の危機にさらされることを意味します。
かつて、コモドドラゴンに噛まれた人が、致命傷をおったわけでもないのに亡くなるというケースがありました。
その死の原因については、コモドドラゴンの口腔内には食べかすなどが腐敗し、そこで繁殖した腐敗菌が咬み傷から人体に侵入し、敗血症を起こして亡くなると考えられてきました。
ところが、近年の研究で、コモドドラゴンの歯の奥には毒管があり、ジグザグの歯によって引き裂かれた傷口に、ヘモトキシンという溶血作用がある毒を注入します。
このヘモトキシンが体内に入ると、最悪の場合には失血性ショックで命を落としてしまうのです。
コモドドラゴンに天敵は人間!?
では、そんなコモドドラゴンに天敵はいないのか?というと、実はその天敵は人間なのです。
コモドドラゴンを捕食しようとする生物は存在せず、主に生態系の頂点に立っています。
ところが、現在では絶滅危惧種として手厚く保護されています。
それは、人間による森林伐採が彼らの生息地を縮小させ、また珍しさから密猟や乱獲が行われことが原因です。
近年その個体数がどんどん減少し、1975年にはワシントン条約での保護が取り決められました。
コモドドラゴンは食用になるのか?
人間はその土地に生きている生物の中で、生態系の上位になりがちです。
コモドドラゴンにとっても、人間は餌であり、天敵でもあります。
では人間からしたらどうかといえば、害獣でありお金になる獲物でした。
なので、人間はコモドドラゴンを食用としてではなく、ライオンやサイ、ゾウのように駆除・売買のために捕獲していたのです。
コモドドラゴンのまとめ
恐竜の生き残りとも言われていたコモドドラゴンですが、学術的な発見から100年あまりで、さまざまなことがわかってきました。
実は毒を持っていて、噛まれれば毒によって命を落としかねないことや、メスだけで繁殖することなど、研究としての歴史はまだ浅いので、これからどんな発見があるのか楽しみです。