今回ご紹介するのはダイオウイカになります。
「クラーケン」をご存知でしょうか?
クラーケンとは北欧の海に潜む伝説の怪物で、多くの船乗りたちを恐れさせていました。
そのクラーケンのモデルとなっているのが、このダイオウイカと言われているのです。
長きにわたり謎の生物UMAだったのですが、この20年程度で少しずつ研究が進められ様々な解明がなされています。
ダイオウイカはそのクラーケンの伝説同様に非常に大きく、世界最大級の無脊椎動物になります。
生態なども含めまだ、謎な部分も多いのですが、強さの秘密や意外に短い平均寿命、はたまた地震との関係性など、今回はそのダイオウイカに迫ってみたいと思います。
目次
ダイオウイカ
「ダイオウイカ基本データ」
- 分 類 開眼目 ダイオウイカ科 ダイオウイカ属
- 学 名 Architeuthis dux
- 和 名 ダイオウイカ(大王烏賊)
- 英 名 Giant Squid
- 体 長 最大18メートル程度ともされるが詳細は不明
- 体 重 最大1トン程度ともされるが詳細は不明
- 寿 命 2~5年程度
- 分布域 不明
- 生息環境 深海
ダイオウイカの最大の特徴は、世界最大級の無脊椎動物となる大きさ!
ダイオウイカの特徴と言えば、何と言ってもその大きさですね。
世界最大級の無脊椎動物とされています。
平均の体長が6から10メートル、これまでの最大値になると18メートル程度(体重1トン程度)というのですから驚いてしまいます。
19世紀(1882年程)にカナダで確認されたダイオウイカは27メートルという記録もあるようですが、これは不確定要素が多いので公的な記録としては扱われていません。
ただし、ダイオウイカは発見されてからまだ間もないことと、生きている状態での飼育例が無いことから研究がなかなか進まず、分かっていないことの方が多いのです。
体長ももしかしたら、これらよりずっと巨大なものが深海には潜んでいるかもしれません。
形状はスルメイカに非常によく似ていて、スルメイカがそのまま10メートル級に巨大化したような風貌をしていますね。
何と言っても泳ぐダイオウイカの撮影に成功したのが2004年、それ以前もそれ以降も基本的には流れ着いたダイオウイカの死骸からしか研究ができていないのです。
また、特徴的なのは、ダイオウイカの体内に多く含まれるアンモニアです。
これは、海中で浮力を得るために水よりも軽いアンモニアを体内に含ませているようです。
この為、アンモニア特有の臭みがあり、食するのには向いていませんね。
ダイオウイカの生態
ダイオウイカは、温暖な海(極海を除く海)の深海部に生息していると考えられています。
アメリカやヨーロッパ近郊の大西洋、ハワイや日本の小笠原諸島などにも生息するとみられますが、いかんせん深海という生息環境故に、なかなか研究が進んでいないのが実情なのです。
ダイオウイカが日本にも生息するとは驚きですが、前述の生きたダイオウイカの初めての撮影はこの日本でのことなのです。
この2004年に続いて2012年にも小笠原諸島で生きたダイオウイカの撮影に成功しています。
この映像が世界中で話題になり今日のダイオウイカブームが起きているとも言えますね。
普段は水深500メートルより深いところ(600~900メートルともされる)で餌を探し漂っているようです。
真っ暗な深海でも対応できるように非常に大きな目を持ちます。この大きな目が狩りでは非常に優れた働きをしているようですね。
ダイオウイカの狩りの対象となるのは、アオイカなの小型のイカや魚などになりますが、小型のクジラを襲っていたという報告もあるようです。
鋸状になった歯を持つ非常に長い触手で獲物を捕まえると、残りの足でガッチリとホールドをして口にある鋭くとがった「からすとんび」で削るようにして獲物を食べるようです。
狩りの際に役立つダイオウイカの触手は、長さや太さなど生息域により違いがあります。
これまでに18種ほどの確認がされていますが、DNA鑑定の結果異種ではなく同種の環境による変化ということでした。
ダイオウイカが泳ぐ際には、海水を体内に取り込み口や鼻の様に見える「ろうと」から海水を勢いよく噴射して推進力を増しているようですね。
撮影されたダイオウイカはゆっくりと泳ぐイメージですが、狩りの際などはこの推進力を使って速く泳ぐこともできるようです。
ただし、前述のようにまだ研究途中ですので、これら見解が覆される発表があってもおかしくはありません。
ダイオウイカの平均寿命
動物界においては、身体の大きさに比例して寿命も長くなるようですが、これだけ大きいダイオウイカの平均寿命は意外に短く2年から5年程度とされています。
もちろん、研究途中ですので明言は出来ませんが、この短寿命は研究者の共通認識のようです。
また、ダイオウイカの卵はなんと1ミリメートル程度と巨体に似合わず非常に小さいのです。
このことも短寿命とのかかわりがあるかもしれません。
1ミリメートル程度の卵から産まれた個体が5年で10メートルにもなるのは、とても凄いことなのですね。
ダイオウイカは最強なのか?
最大の体長が18メートル、体重が1トンにも及ぶダイオウイカです。
個体差もあるでしょうが、かなりの強さを持つ生物になるはずです。
勿論、研究途中ですので明言はできませんが、海に暮らす生物の中では強い部類に属することは間違いありません。
水族館においては、凶暴なサメがタコやイカによって仕留められてしまうという事故も多発しているのです。
それがダイオウイカの大きさになるのですから、その強さは火を見るよりも明らかですね。
ダイオウイカの餌となるのは、魚やエビや他のイカなどになりますが、小型のクジラを捕食していたという報告もあるようです。
長い触手で巻き付いて、動きを封じ込められて深海へ引きずり込まれたら、たいていの生物では対応できないかもしれません。
ましてや、伝説の怪物クラーケンのモデルなのですから!
ダイオウイカの天敵
そのような強さを持つと考えられるダイオウイカではありますが、天敵となる動物もおります。
それはマッコウクジラになります。
マッコウクジラの皮膚についたダイオウイカの爪痕が壮絶な戦いを物語っています。
しかし、マッコウクジラの胃袋からダイオウイカを食べた痕跡や、マッコウクジラがダイオウイカを捕食する映像なども存在することから、これは紛れもない事実ですね。
マッコウクジラはダイオウイカよりも体は大きいですし、3000メートルの深海にも可能なのです。
ダイオウイカを捕食するマッコウクジラ恐るべしです!
ダイオウイカの豆知識
これまでもご紹介してまいりましたようにダイオウイカは発見されてから間もないこと、発見はされたものの深海に生息するため研修がなかなか進まないことから、詳細は不明な部分が多いのです。
そのような中、真意の程は定かでは無いものの様々な情報がささやかれています。
それらを豆知識としてご紹介しておきますね。
ダイオウイカと地震との関係性
最近になってダイオウイカが相次いで発見されることに「大地震の予兆では?」ともささやかれているのです。
以前より深海にすむ生物が発見されるとそのような言われ方をしていましたが、ダイオウイカの場合には、1974年から1976年の2度の冬の期間にそれぞれ6匹、7匹の死骸が打ち上げられました。
当時は西ノ島の噴火に伊豆諸島の大地震と自然災害が発生しているのです。
これを持って、ダイオウイカの発見がそのまま大地震の前触れとされる分けではありませんが、そのような憶測は以前からあるのです。
勿論迷信であると信じたいですね。
ダイオウイカの目玉はとても大きい
前述しましたが、漆黒の暗闇となる深海に生息するダイオウイカの目は非常に大きくなります。
ダイオウイカのそれは、直径およそ30センチメートル程度、バレーボールやサッカーボールほどもあるのです。
この大きな目で光を集め、暗闇でも活動ができるようですね。
大きな目は、目としての機能も優れているようです。
ダイオウイカの脳はドーナツ型
これは、胴体と口の間に頭があるため、食道が頭を通るので脳に穴が開いているのですが、やはり不気味ですね。
ダイオウイカが鋭い「からすとんび」で獲物を細かくかみ砕くのはこの為で、大きいまま丸呑みしてしまうと脳にぶつかり脳が傷つく恐れがあるためとも考えられています。
伝説の怪物「クラーケン」のモデル
これも前述しておりますが、北欧で語り継がれている海の怪物「クラーケン」、タコやイカのような姿の怪物は船を沈め当時の船乗りを恐怖のどん底に突き落としてきました。
このクラーケンの正体がダイオウイカとされているのです。
当時は、巨大なタコやイカが実在するという認識がないので怪物として恐れられたのかもしれません。
まとめ
今回は、世界最大級の無脊椎動物ダイオウイカについてご紹介をしてまいりました。
最近までは、伝説の怪物UMA扱いされていた大きなイカが実際に存在し、その姿を確認することができたのはまだ最近のことなのですね。
しかし、深海に生息するダイオウイカは、生息は確認できたものの研究がなかなか進まず未だに謎の部分が多いのも事実なのです。
謎が多いからこそ、わくわくするのかもしれませんが、存在が確認された今ではやはり詳細を知りたいところです。
今後さらなる研究が進み、ダイオウイカにかんする詳細が明らかになることに期待です。