世界には様々な危険生物が存在します。
私達人間がその被害者となる事件も、実際に多発しているのです。
私達が気を付けるべき生物の一つとして「ワニ」があげられますね。
実際に病原菌や毒などを介さずに、人を死に至らしめる生物としてはこのワニによる被害は非常に多いのです。
今回ご紹介するのは、そのワニの中でも「伝説の巨大ワニ!ギュスターヴ」です。
最強と目されることもあるカバですら、このギュスターヴの前ではただの獲物となってしまうのだとか…。
現地では、怪物と恐れられ人々を恐怖のどん底へと突き落とすギュスターヴ!その正体に迫ってみましょう。
目次
ギュスターヴ(Gustave)
ブルンジ共和国(アフリカ)のタンガニーカ湖およびルジジ川には、非常に巨大なナイルワニが生息しています(した)。
ギュスターヴとは、その巨大ワニにつけられた個体名(名前)なんです。
これを名付けたのは、現地に住みギュスターヴを研究し続けているフランス人動物学者パトリス・フェイです。
彼により「ギュスターヴ(Gustave)」と名前が付けられ、世界中に広まったのです。
まずは、このギュスターヴが属するナイルワニについてご紹介しておきましょう。
ナイルワニの基本データ
- 分 類 爬虫綱 ワニ目 クロコダイル科 クロコダイル属
- 学 名 Crocodylus niloticus
- 和 名 ナイルワニ
- 英 名 Nile crocodile
- 分 布 アフリカ大陸、マダガスカル(西部)
- 生 息 河川や湖、汽水域
- 体 長 4~5.5メートル
- 体 重 250から550キログラム程度
- 備 考 イリエワニと並ぶワニ界の最強種
ナイルワニは、ワニの中でも大きな種となります。
もちろん肉食性で、獲物となるのは魚やカエルなどが主となりますが、鳥や哺乳類、さらには他のワニなどあらゆるものを食してしまうのです。
大型の個体ともなれば、シマウマやヌーなどの大型哺乳類も襲うことがあります。
その牙は私達人間に向けられることも多く、全世界に23種いるワニの中でも最も人間が被害に遭うのが多いのがこのナイルワニと考えられています。
規格外の大きさを誇るギャスターブ
前述のように、ナイルワニは身体も大きく非常に恐ろしいワニです。
しかしながら、その中でもこのギャスターブの大きさは規格外となるのです。
ギャスターブは、捕獲されていないのでその正確な大きさを測ることは出来ておりません。
しかしながら、2002年の調査ではギャスターブの体長は6メートルオーバー、体重は1トンを軽くオーバーしていると予想されていました。
また一部の専門家からは「体長は7.5メートルを超えている」という意見も出ているのです。
様々な見解を総合すると、ギャスターブの体長は6~8メートル、体重は1トン以上と考えられます。
ただし、体重に関してはギネスにも載る最大のイリエワニ「カリア」の「体長7メートル、体重2トン」を考えると、それ以上となる可能性も捨てきれません。
いずれにしても、ギャスターブはそれほどまでに規格外の大きさとなるのです。
この大きさですので、もともとギャスターブの年齢は100歳を超えていると考えられていました。
それは、ここまで大きくなるにはそれ相応の年齢を重ねていると言う判断からなのですが、実際には歯の損傷具合(歯がぬけていない)から、せいぜい60歳程度とも考えられています。
そうなると、このギャスターブの大きさはやはり驚異的と言わざるを得ませんね。
ギャスターブの恐ろしさ
それでは、この巨大ワニギュスターヴの恐ろしさについてご紹介しましょう。
実は、このモンスターを作り出してしまったのは人間なのかも知れないのです…。
1頭のワニによる被害としては驚異的な数字!
もともと、ワニは魚や小動物などを捕食する動物です。
好んで人間を捕食する動物ではありません。
ワニが人間を襲うには、「狩りをする際にたまたま居合わせた場合」または「縄張りや子供を守るため」と考えられています。
ワニにとって人間は狩りの対象とはなっていないのです。
しかしながら、このギャスターブは狙って人間を襲っているとも考えられています。
それと言うのも、実にギュスターヴに襲われた人間の数が300人を軽く越しているとされているからなんです。
これは1頭のワニの被害としては驚異的な数字なんですね。
- ギュスターヴが人間を襲うようになったのは!
なぜ、ギュスターヴは人間を襲うようになったのでしょうか?
「それは、人間のせいかも知れません。」
ギュスターヴの棲む地域(ルシジ川周辺)は、以前は部族間による内戦と殺戮が繰り広げられていました。
その際、大量の戦死者の遺体が川へと投げ捨てられたのです。
ギュスターヴは、その遺体を餌として食べたのです。大量の人間の遺体を。
一度人間の味を覚えてしまったギュスターヴは、食べる遺体がなくなると、人間を狩り捕食し始めました。
確かに、武器を持たない人間は肉食動物にとっては、簡単に命を奪うことが出来る相手かも知れませんね。
捕食にそれほどの労力も必要としませんし、危険性もありません。さらに数も多く栄養価も高い人間を食べることでこれほどまでに巨大化したのです。
そして、気が付けばその数は300人以上にもなっていたのです。
おそらくその数は今も増え続けているでしょう。名付け親である動物学者のパトリック・フェイもそう主張しているのです。
悲惨な戦争の悲惨な副産物として人間が作り出してしまったモンスター、それがこのギュスターヴなのかも知れませんね。
ギュスターブは楽しんでる?
大量の死体を食べ、人の味を覚えて巨大化したモンスター「ギュスターヴ」。
実は、このギュスターヴに関して少々興味深い証言もあるのです。
「ギャスターブは、捕食目的ではなく快楽目的で人を襲っている。」と地元民が話しているというのです。
あくまでも憶測の域ではありますが、数人を殺すと息をひそめ姿を消し、また違う場所で人を襲うとされています。
ギュスターヴが次にどこに現れるかは誰にも予測不可能で、地元民は日々恐怖に怯えているのです。
驚愕のギュスターヴ伝説(事実)
私達人間が感じるギュスターヴの恐ろしさは、前項の通りです。
しかしながら殺戮モンスターと化したギュスターヴの恐ろしさはこれだけではありません。
そのギュスターヴの驚愕の伝説(事実)もご紹介しておきましょう。
あの最強説もあるカバでさえもギュスターヴの餌食に。
動物の強さランキングをすると、ゾウと並び必ず名前の挙がるカバ。
実際にカバによりワニが真っ二つにされてしまうなど、ワニにとってカバは相性の良い相手ではありません。
しかし!なんです。
このギュスターヴにかかると、その恐ろしいカバも単なる餌となってしまうとされているのです。
アフリカで最も危険とされていた成獣のカバが、このギュスターヴに襲われ食べられる姿が目撃されているのです。
普段であれば、カバのテリトリーに侵入してしまい、完膚なきまでに叩きのめされるのはワニの方です。
そのワニがカバを襲い食べるのですから衝撃ですね。
皮膚の傷は最強の証
ギュスターヴの皮膚には無数の傷跡があります。
捕食時や外敵との戦闘時のものもあるでしょうが、その多くは人間が付けた銃弾や矢、刃物による傷跡なんです。
これまでに、現地では何度もギュスターヴの捕獲や駆除を試みて来ました。
その際には、銃で仕留める方法も取られたのですが、ギュスターヴの堅い皮膚には銃をはじめ全てが通用しません。
いずれも致命傷には至らず駆除は全て失敗に終わっているのです。
銃が通用しないとは…。これこそがギュスターヴの恐ろしさの真骨頂かも知れません。
ちなみに、捕獲で試みた罠は全てすり抜けているのだとか…長く生きているギュスターヴはこれらをすべて理解しているのかも知れません。
恐らく、ワニとしては知能も高いのでしょう。
映画にも!
そんなモンスター「ギュスターヴ」は映画にもなりました。
2007年にアメリカで公開された「カニングキラー・殺戮の沼」という映画がそれで、ギュスターヴの恐ろしさを象徴する作品となっています。
実は絶命説もある
この恐ろしいギュスターヴですが、2008年以降目撃情報が無くなります。
これにより、ギュスターヴは死んだとされていました。
しかしながら、2015年に捕食したスイギュウを引きずる姿が住民に目撃されたのです。
果たして、そのワニがギュスターヴなのか?
その真相は、明らかにはなっていませんが、大きさを見誤ることはまずありえないと思われるのです。
もし仮にそれがギュスターヴでなければ、他にギュスターヴ級のモンスターが生息することになってしまうのかも知れません。
まとめ
今回、巨大ワニ「ギュスターヴ」についてご紹介しました。
6メートルいや8メートルともされるモンスター「ギュスターヴ」、300人以上もの尊い命を奪った恐ろしいワニなんです。
捕獲や駆除を試みるも、いずれも失敗に終わっています。
武器を持った人間が最強とする説も、このギュスターヴの前では脆くも崩れ去ってしまったのです。
映画にもなり話題性は抜群のギュスターヴですが、地元で暮らす人々にとってはそれどころではないのでしょう。
出会ったら最後、死を覚悟するしかないのですから…。
そんなギュスターヴも2008年の死亡説もありますし、2015年の目撃情報も気になります。
果たして、その真相はどうなのでしょうか?
地元の人にしてみれば、そうであって欲しいでしょうし。資料的見地からは生存していて欲しいと願う人もいるでしょう。
不謹慎と言われてしまいそうですが、一度その巨大なワニの姿を見てみたいとも思ってしまいますね。