日本一有名な待ち合わせスポット…となるのが渋谷のハチ公前かも知れません。
この忠犬ハチ公のモデルとなった犬こそ、今回の主役「秋田犬(あきたいぬ・あきたけん)なんです。
このエピソード通りに非常に賢く飼い主に忠実な秋田犬ですが、意外と危険な性格も持ち合わせているのです。
秋田犬によるかみつき事故は非常に多く、一部地域では危険種(特定犬種)にも指定されているのだとか…。
テレビでもお馴染みで人気も高い秋田犬ですから、この事実には少々驚かされてしまいますね。
今回は、そんな秋田犬について詳しくご紹介いたします。
秋田犬(あきたいぬ・あきたけん)
秋田犬この読み方ですが、「あきたいぬ」「あきたけん」どちらもあるようですね。
ただ、秋田犬保存会が使う「あきたいぬ」の方が一般的とされています。
秋田犬は、その名の通り秋田県原産の日本犬で、国の天然記念物にも指定されています。全部で6種いる日本犬の中で唯一の大型犬種となるのがこの秋田犬です。
前述のように、忠犬ハチ公のモデルがこの秋田犬で、凛々しさと主人に対する健気な忠誠心を持つ犬として広く知られています。
今では、日本のみならず世界からも注目されているのです。
熊を狩る際の狩猟犬「秋田マタギ」がその祖先で、中型犬であったものを闘犬とするために大型犬種と掛け合わせて現在の秋田犬が誕生しました。
かつては絶滅の危機に瀕したこともありますが、保存会の尽力により現在にその種を繋ぐことが出来たのです。
秋田犬基本データ
- 和 名 秋田犬(あきたいぬ・あきたけん)
- 別 称 秋田
- 英 名 Akita、 Akita Inu、Japanese Akita
- 原産国 日本(秋田県)
- 体 高 64から71センチメートル(雄)、58から66センチメートル(雌)
- 体 重 39から59キログラム(雄)、27から50キログラム(雌)
凛々しさが特徴的の秋田犬は、耳はやや小さめの三角で首や胸、足は太く逞しい印象を受けます。また太い巻尾もチャームポイントですね。
個体により毛色は様々で、白に黒、赤、虎柄、斑などがあります。
基本的には数センチの硬い上毛と密集した下毛のダブルコートで、寒さから身を守るようになっています。
筋肉質な体も雪山でも活動的に動けるためで、寒い地域での活動に適した体をもっているのです。
しかしながら、反対に暑さには弱いようですね。
秋田犬の歴史
秋田犬の歴史は17世紀まで遡ります。
当時、熊狩りや鹿狩りに使われていた秋田犬の祖先は「マタギ犬」などと呼ばれ、特に犬種と言う認識はなかったようです。
このマタギ犬の中でも、特に優秀な活躍をしていた犬を集めて作られたのが秋田犬とされています。この時点ではまだそこまでの大型犬ではなかったようですね。
19世紀終わりになって、当時の秋田藩主(佐竹氏)の闘犬好きから、秋田犬も猟犬だけでなく闘犬としても使われるようになります。
これにより、秋田犬の大型化を目指し、土佐闘犬やシェパード、グレートデンなどの血を混ぜて大型犬となったのです。
しかしながら、闘犬の禁止そして戦争が、秋田犬を取り巻く環境を激変させてしまいます。
第二次世界大戦終戦時において、秋田犬は絶滅の危機に瀕していたのです。
それでも秋田犬を愛する人々の努力が実り、残った犬を基に何とか命を繋いで現在に至っているのです。
秋田犬の性格
忠犬ハチ公のモデルとして知られているように秋田犬の性格は、忍耐力が強く飼い主に従順・忠実です。
しかしながら、一方で猟犬と闘犬という性質も持ち合わせています。
飼い主以外には、非常に攻撃的・威圧的な態度に出る場合もあるのです。
もちろん、個体差や飼育環境により大きく違いが生じます。例えば、運動部族でストレスなどが蓄積されてしまうと、攻撃的な一面が現れることも分かっています。
また、感受性が強く、驚いたりするなどの何らかの拍子で攻撃的なスイッチが入る可能性もあるようです。
このことからも、秋田犬は飼い主を選ぶ犬種でもあり、安易な飼育はおすすめできませんね。
秋田県は危険犬種?
秋田犬は、基本的には賢くて飼い主に忠実な素晴らしい犬種です。
しかしながら、前述のように何らかのきっかけで非常に攻撃的になる危険性は十分にあります。
仮にそうなってしまいますと、狩猟犬と闘犬と言う遺伝子を持ち合わせていますので、非常に危険な犬種となってしまいますね。
秋田犬が攻撃をする場合には、的確に急所を狙うことが出来るので相手は重傷を負うことが多いと言われています。
実際に、保険金支払データにおける犬種別の事故発生率を集計すると、秋田犬が一番(3.7パーセント)となるようです。
狩猟犬と闘犬の遺伝子を持つ秋田犬の事故が多いとは、少々恐ろしい感じもしてしまいますね。
ちなみに、二番目に多いのはバーニーズ・マウンテン・ドッグの2.1パーセント、次いでボーダー・コリーの1.2パーセントとなっています。
これらを踏まえて、海外では秋田犬に対する規制がかかる国もあります。
マレーシアでは秋田犬の飼育が禁止されていますし、シンガポールなどでは飼育や輸入制限があります。
実は日本でもこの動きがあり、茨城県などでは秋田犬は「特定犬(種)」とされ檻の中でしか飼うことが出来ません。
特定犬とは?
日本においては、害をくわえる危険のある「特定動物」の輸入や飼育を禁止していますが、犬はそこに含まれてはいません。
しかしながら、市町村などによっては条例によって規制がかかる場合があります。
代表的なのが茨城県の「特定犬(種)」で、特定犬ラベルの表示や檻(構造などの指定あり)での飼育が義務付けられています。
「特定犬の条件」
- 人に対して危害のおそれのある犬種
「秋田犬」「紀州犬」「土佐犬」「ジャーマン・シェパード」「ドーベルマン」「グレートデン」「セントバーナード」「アメリカン・ピット・ブル・テリア」 - 体高60センチメートルかつ体長70センチメートル以上の犬
- 上記以外であっても知事が指定した犬
秋田犬によるかみつき事故
実際に秋田犬によるかみつき事故は、多発しております。
ここでは、主だったものをご紹介しておきます。
- 2000年 青森で7歳の男の子が、同級生の家で飼われている秋田犬にかまれて死亡
- 2009年 福岡で祖母が管理する秋田犬(ロットーワイラーと共)にかまれて死亡
- 2013年 熊本で小2の子供が秋田犬に襲われ、緊急搬送
- 2017年 北海道で79歳の女性が飼育する秋田犬にかまれて死亡
また、詳細は不明ながらも、「散歩中の秋田犬の前にしゃがみこんだ瞬間に顔をかまれ鼻を失った女性」や「顔をかまれ損傷した訓練士」、「遊んだつもりで同居の犬が死亡」などの話もあるようです。
海外でも同様な事件があるようですね。
例えば、イギリスでは2010年から2013年の間だけでも、大きな事故が複数件報告されています。
これらは、いずれも主だった事例になります。
小さいものも含めれば、秋田犬によるかみつき事故はさらに膨れ上がるでしょう。
気を付けていただきたいのは、死亡と言う最悪の結果を招いていることです。
まとめ
今回秋田犬について色々とご紹介をしてまいりました。
秋田犬は、忍耐力があり忠誠心が強い犬種です。
しかしながら、そこには狩猟犬と闘犬と言うDNAも深く刻まれていて、何らかの拍子で非常に危険な犬へと変わってしまう危険性があるのです。
実際に秋田犬によるかみつき事故は多発していて、中には相手が死亡すると言う悲惨な結果も生じています。
恐らく秋田犬にしてみれば、飼い主を守るつもりや、不意を突かれて自己防衛のスイッチが入ってしまったのでしょう。
これをもって「秋田犬=危険」となってしまうのは、秋田犬がいささか気の毒ですね。
何と言っても、世界中に感動を与えたあの「忠犬ハチ公」なんですから。