蟻地獄(アリジゴク)とは何の幼虫?仕組みや毒性について

危険な昆虫類

今回ご紹介するのは「蟻地獄(アリジゴク)」になります。

アリジゴクの写真

出典画像:Wikipedia

蟻地獄(アリジゴク)は人間の暮らす民家の軒下などに罠となるすり鉢状のくぼみの巣を作り、アリやダンゴムシなどを捕食するのです。

小学生時代に、この蟻地獄(アリジゴク)を自由研究などで調べた方も多いかもしれませんね。

巧妙に作られた罠の下で大顎を広げて待ち伏せる蟻地獄(アリジゴク)、下に落ちてしまえば最後逃れることは出来ません、蟻地獄(アリジゴク)の餌食となってしまうのです。

この獲物を捕まえる際に、蟻地獄(アリジゴク)は毒を注入して仕留めてしまうのです。

罠を仕掛け、掛かった獲物に毒を注入しとどめを刺す、実に計算された巧みな狩りを行うのですね。

この蟻地獄(アリジゴク)ですが、そのような種類の昆虫と思っている方も意外と多いのだとか。

実は、蟻地獄(アリジゴク)は幼虫で、成虫になるとウスバカゲロウとして今度は大空に羽ばたくのです。

今回は、この不思議な蟻地獄(アリジゴク)について、その生態から巣穴の仕組み、毒性などをご紹介いたします。



蟻地獄(アリジゴク)はウスバカゲロウの幼虫

蟻地獄(アリジゴク)について色々とご紹介をする前に、まずはウスバカゲロウについてお話をする必要があります。

ウスバカゲロウとは、「アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科」に分類される昆虫の総称で、トンボによく似た形態をしています。

ウスバカゲロウの写真

出典画像:Wikipedia

日本では、北海道から南西諸島まで幅広い範囲でその姿を見ることが出来ます。

体長は3.5から4.5センチメートル程度ほどで、空を飛ぶ様はトンボ程の上手な飛行ではなくひろひらと舞うような雰囲気に近いですね。

地方によっては、「極楽トンボ」や「神様トンボ」などとも呼ばれています。

蟻地獄(アリジゴク)は、このウスバカゲロウの一部の種の幼虫となるのです。

現在日本に生息するウスバカゲロウは17種とされていますが、その中で幼虫が巣をつくる蟻地獄(アリジゴク)であるのは4種とされています。

それ以外は、砂の表面で待ち伏せする種や詳細が不明なものも多いようです。

蟻地獄(アリジゴク)の生態

蟻地獄(アリジゴク)は幼虫である1から3年の間は、さらさらの砂地にすり鉢状のくぼみ(巣)を作ります。

アリジゴクの巣の写真

出典画像:Wikipedia

その巣の底で大きな顎だけを出して、アリなどの獲物となる昆虫が落ちてくるのを待ち続けています。

ただ待っているのかと思いきや、獲物を巣へと誘導するために、導線を作るなど様々な工夫を凝らしているのです。

アリなどの獲物となる昆虫がくぼみに落ちてくると底へと引きずりこんで、体液を吸い取ってしまいます。

そして体液を吸い取った獲物の死骸は、大顎を使って巣の外へと投げ捨ててしまいます。

また、蟻地獄(アリジゴク)は、飢えと渇きに非常に強い生物で、1月以上もの間獲物や水などが無くても生き続けることが出来ます。

成熟期を迎えると、腹部から糸を出して砂を絡めて1センチメートル程度の繭を作りその中で蛹になるのです。

その後2週間程の期間を経てウスバカゲロウへと姿を変えて、巣から飛び立っていきます。

ウスバカゲロウの寿命は2週間から1月程度で、その間に交尾と産卵を終えて、短い生涯を閉じてしまいます。

そう考えますと、成虫であるウスバカゲロウでいるよりも、幼虫の蟻地獄(アリジゴク)でいる期間の方が随分と長いのですね。

蟻地獄(アリジゴク)の特徴

蟻地獄(アリジゴク)は体長1センチメートル程度の小さな体ですが、頭部に不釣り合いな程に大きな鎌状の大顎を持っています。

アリジゴクの写真

出典画像:Wikipedia

この大顎は最大の武器で、自分と同等の大きさの獲物も捕まえることが出来ます。また、大顎の先端から毒液を出し獲物に注入するのです。

このように非常に恐ろしい印象を持ちますが、胴部はずんぐりとして柔らかく弱々しい印象を受けますね。

実際に移動能力は乏しく動きは非常に遅いですね。また、多くの蟻地獄(アリジゴク)は後ろにしか進むとが出来ません。

どうやら巣を作るタイプの種にとっては、後ろに進む方が都合が良いようです。

また、蟻地獄(アリジゴク)は肛門を閉ざしており糞を排出することがありません

成虫となった羽化時に、それまでの糞をまとめて排出します。

実は、もともとは糞のみではなく尿もしないとされていたのですが、2010年に小学生の研究により、これが覆されたのです。


蟻地獄(アリジゴク)の巣の仕組み

蟻地獄(アリジゴク)の巣の大きさは、直径1から6センチメートル程度、深さは0.5から3センチメートル程度のものになります。

入り口となる上部が広く底に向かって狭くなるすり鉢状の形をしています。

巣の壁面は、固められていないので常にサラサラの状態で非常に崩れやすい構造をしています。その傾斜は31から39度でぎりぎり砂が崩れ落ちない角度を保っているのです。

この壁面こそが、落ちた獲物が二度と地上に上がることが出来ない悪魔の巣を作るのです。

巣は完全な円ではなく、身体の前後に合わせた楕円形となります。

また、蟻地獄(アリジゴク)の成長とともにこの巣の大きさも大きくなっていきます。

この巣の底部分で、蟻地獄(アリジゴク)はアリやダンゴムシなどの獲物が落ちてくるのを待ち構えています。

アリジゴクの巣の写真

出典画像:Wikipedia

そして、獲物が巣に落ちると、蟻地獄(アリジゴク)は巣の底から獲物に向かって砂を投げつけ巣の最深部へと獲物を引きずり下ろすのです。

蟻地獄(アリジゴク)の持つ毒性

巣に落ちてきた蟻地獄(アリジゴク)は、最深部まで獲物を引きずり下ろし捕食します。

しかし、この時の獲物は元気な状態で落ちてきただけです。反撃をされることはないのでしょうか。

蟻地獄(アリジゴク)は、前述のように大顎を使って獲物に襲い掛かります。

この際に、大顎の先端から獲物に毒(消化液)を注入し動きを封じ込めてしまいます。

この毒性は、昆虫に対して非常に高度な毒性となる昆虫病原菌になります。

これは、蟻地獄(アリジゴク)の体内に潜むエンテロバクター・アエロゲネス(病原菌)によってもたらされているのです。

この毒性の強さは、フグの持つテトロドトキシンの130倍と言うのですから驚いてしまいますね。

テトロドトキシンの写真

出典画像:Wikipedia

この毒性で獲物にとどめを刺し、そして獲物の体組織を液状化させてその体液を吸っているのです。

体液を吸われた獲物の亡骸は、大顎を使って巣の外へと放り出し、蟻地獄(アリジゴク)は次の獲物が掛かるのを待つのです。

人間への害は?

フグの130倍と言う猛毒を持つ蟻地獄(アリジゴク)です、これが人間に向けられたらどうなってしまうのでしょうか。

どうやら、この蟻地獄(アリジゴク)の毒性は昆虫などの無脊椎動物にとっては非常に恐ろしい有害物質なのですが、脊椎動物に対しての効力は低いようです。

実際その論文は存在しませんが、それ以前に蟻地獄(アリジゴク)の顎の力がそこまで強くないので、人間の皮膚を貫通することはないようですね。

アリジゴクの写真

出典画像:Wikipedia

これまでにも、蟻地獄(アリジゴク)の毒による人間の被害報告はされていません


まとめ

今回、蟻地獄(アリジゴク)について色々とご紹介をいたしました。

自然界には種によって様々な狩りの方法が存在します。

その中でも、蟻地獄(アリジゴク)のそれは一際異彩を放つものでもありますね。

また、所有する毒性もフグの130倍という非常に恐ろしいものでありながらも脊椎動物に対しては効果が無いというのも実に不思議です。

小学生が自由研究に選ぶ昆虫の代表でもありますが、2010年にその小学生によって蟻地獄(アリジゴク)は尿を排出するという新しい発見がなされました。

もしかしたら、この蟻地獄(アリジゴク)はまだまだ未知の魅力を秘めているのかも知れません。

土が少なくなってしまった都会では、その姿を見かけることも少なくなってしまいました。

もし、地方などに行った際には軒下などを覗いて、蟻地獄(アリジゴク)を探してみては如何でしょう。

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