世の中には毒性の有無は問わず様々な種類のヘビが存在します。
ただやはりキングコブラに代表されるような毒を持つ最強のヘビにその関心をそそられるのも事実ではありますね。
しかし、そんなキングコブラを差し置いて毒ヘビ界最強、毒ヘビの頂点に君臨するとされるヘビがいるのをご存知でしょうか?
それがブラックマンバなのです。その強さからこの「ブラックマンバ」を名乗る格闘家もいたので格闘技に詳しい方なら聞き覚えがあるかも知れません。
このように恐ろしいブラックマンバですので人間が噛まれる事件も現地ではしばしば起こっているとも!
天敵となるのはライオンをも恐れないあの動物位かも知れません。
今回は、そんなブラックマンバを詳しく見て参りましょう。
目次
ブラックマンバ
ブラックマンバの基本データ
- 分 類 有鱗目 ヘビ亜目 コブラ科 マンバ属
- 学 名 Dendroaspis polylepis
- 英 名 Black mamba
- 和 名 ブラックマンバ
- 体 長 2mから3.5m 最大4.5m
- 体 重 最大2キログラム
- 寿 命 自然下では6から8年 飼育下では11年以上
- 分布域 アフリカ大陸東部から南部
- 生息環境 サバンナ(草原や森林など環境は選ばない)
ブラックマンバの特徴
全長は2メートルから3.5メートル程度だが、最大で4.5トールという数値が記録されています。これはヘビの中ではキングコブラに次ぐ大きさで、世界で2番目の大きさとなる毒ヘビです。
コブラの仲間でもあるので、威嚇の際には同様に首を広げ威嚇することも出来ます。
このブラックマンバの名前の由来は、威嚇などの際に見られますが、口の中が真っ黒なことから由来されています。体形は細長く、体色は褐色や灰色で一目ではブラックという怖い印象はありませんが、口を開けて威嚇する様は非常に毒々しく恐ろしいものがあります。
特徴的なのはその毒性で、非常に強力なうえ量も多く、即効性があります。血清もあり研究も進んでいるものの、噛まれた場合の致死率が非常に高いようです。
大きさでは、キングコブラの方に分がありますが、毒性においてはこのブラックマンバの方がキングコブラよりも圧倒的に強いのです。
ただし、実はその外見からはそれほど恐ろしいヘビとは思えないのです。この点も実は非常に怖いところでもあります。
実際に長さは、キングコブラに次ぐ長さですが、細く体重も2キロ程度とそれほど高圧的な体格ではありません。また毒ヘビ独特の三角頭をしていないのも特徴的ですね。
このような見た目から安心をしてしまうと危険な目に遭いかねませんので、気を付けなければなりません。
ブラックマンバの生態
ブラックマンバはそのほとんどがサバンナに生息をしておりますが、森林や草原に岩場などあらゆる所でその姿を見ることが出来るので、環境は選ばず生息範囲は広いようですね。
基本的には地上生活で、ヘビの中では移動速度も速く時速16キロと藪においては最もスピーディな生き物とも称されています。
これ以外にも運動能力は非常に高く、木登りや泳ぎも上手く、俊敏性においても他のヘビ同様に長けています。
このことから、厄介なことに攻撃の際も非常に素早く動きまた正確に相手を仕留めることが出来ます。
気性は荒いとする説と臆病とする説があります。これは、狩り以外では積極的に他の動物への攻撃を仕掛けていないことから、臆病とされているようですが、危険を感じると一転とても強い攻撃性を示すことから極端な説に分かれるようですね。
専門家の中には、キングコブラではなくこのブラックマンバをタイパンと並び世界で最も危険な毒ヘビ2種とする意見もあるようです。
食性は肉食性で、小型の哺乳類や鳥類を狩って食します。中でも得意の木登りを使って鳥の巣を襲撃する姿は良く見かけられています。
また、その繁殖は1回に10個程度の卵を産み繁殖をしています。
ブラックマンバが世界最恐と恐れられる理由
こちらは前述の特徴と生態でも説明しましたが、改めてここでもお話しておきますね。
専門家筋の中でも、このブラックマンバを世界最恐の毒ヘビとする声があるのは前述の通りです。
それは、「即効性があり非常に強力かつ多量の毒性(マムシの60倍という説もあり)」を有することと「速く移動する俊敏な動き更には上手に木にも登れる」と言うずば抜けた身体能力を持つことにあります。
これらに加え、危険を感じた際の強い攻撃性が加わるのですから、キングコブラよりも恐ろしい世界最恐の毒ヘビという肩書にも頷いてしまいますよね。
サバンナではブラックマンバに遭遇するとライオンも逃げ出すこともあるそうですよ。
もしもブラックマンバに噛まれたら
ブラックマンバの持つ毒は神経毒で、もしも噛まれてしまうと全身の神経がマヒしてしまいます。
しかも前述のように「非常に強力な毒性」「周りが早い即効性」「量が非常に多い」と最悪の三重苦となり、最後は呼吸困難となり死んでしまいます。
このため、早急な治療が必要となりますが、現地の場合には医療機関から離れた場合が多く間に合わないという悲しい状況もあるようですね。
ブラックマンバの天敵とは?
さて、これほどまでの強くて恐ろしいブラックマンバですが、天敵となる動物は存在するのでしょうか?
その大きさからまた毒の強さから、ブラックマンバを好んで襲う動物は実際には少ないようですが、実は天敵となる動物は存在するようなんです。
やはりヘビの天敵と言えばマングースがあげられますよね。
ここでもマングースは天敵として登場します。マングース以外にもワシなどがこのブラックマンバを捕食する姿は目撃されています。
ところがこれらの場合には、時にはブラックマンバが相手を返り討ちにすることもあるようなんです。
ブラックマンバの最強の天敵
しかし、そのブラックマンバが絶対に敵わない相手が存在するようです。それがマングースと同じイタチの仲間「ラーテル」なんです。
ラーテルと言えば、「最も怖いもの知らずの動物」としてギネスにも認定されているように、コブラなども捕食しますし、たとえ相手が百獣の王ライオンであっても果敢に立ち向かって行くのです。
しかもラーテルは毒に対する免疫があり噛まれても死にません。これではブラックマンバもなす術がありませんね。
仲間同士では殺し合いはしない
実は意外なんですが、ブラックマンバ(コブラの仲間)は自分が持つ神経毒に対する免疫がありません。他のヘビに噛まれた場合は勿論ですが、万が一自分で自分を噛んでしまっても死んでしまうことになります。
そのこともあり、同族での戦いの場合にはこの毒を使うことはしないのです。それをやってしまえば絶滅への階段をまっしぐらですから毒を使うことはありませんね。
毒を使わず絡み合いねじ伏せて優劣を決めるものです。これはプレイティング・コンバットと呼ばれ雄同士による縄張りや雌をめぐるヘビ同士の戦いでは主にこちらになります。
誰に教わる訳でもなく…このあたりも生命の神秘ですよね。
ブラックマンバと人間の関係
これまで説明して参りましたようにキングコブラよりも強い毒を持ち非常に危険なブラックマンバですが、実際に人間が襲われ噛まれたなどの被害はどうなのでしょうか?
様々な資料を見ると最も人を殺したヘビとかの記述を見かけるのですが、実際のところは詳細の数値が報告されているわけではないようですね。
その恐ろしさから少々誇張的な表現も含まれているようなんです。
勿論、死亡例などの報告はありますが、人に対して積極的に襲い掛かるケースが少ないことや生活域が人間との重なりが少ないことから頻繁に起こっているとは考えにくいようです。
ブラックマンバの毒で薬
このブラックマンバの毒は勿論恐ろしいのですが、もしかしたら私達にはとても良い効果を与えてくれるものに変わるかも知れないのです。
実は現在のブラックマンバの毒の研究が進められていています。それは鎮痛剤生成なのですが、毒性のなかから「マンバルジン」という成分の抽出に成功したのです。
この成分には、強い鎮痛効果が見込まれそれはモルヒネ並みと期待されています。まだ実験段階ではありますが、副作用も見られず完成すればこれまでにない優れた鎮痛剤の誕生となるようですね。
この生物の持つ毒性から薬を作り出す研究は、ヘビに限らず様々な毒性生物でも進められています。
いつの日か、危険と恐怖で恐れられる生物が、私達人間の命を救う尊い生物へと変わる日が来るかもしれません。
強さの象徴からリングネームに使う格闘家も
これは余談になりますが、このように強さ怖さの象徴でもあるブラックマンバをリングネームとする格闘家もあらわれました。
インド系カナダ人のこの選手は、「ブラックマンバ」のリングネームでK-1など日本でも活躍しておりましたのでご存知の方もいらっしゃるかも知れませんね。
ただ、彼に所縁のあるインドもカナダも本物のブラックマンバには繋がりはないのですが、強そうな名前であることは確かです。
まとめ
今回、世界最恐と称される毒ヘビブラックマンバについてご説明をして参りました。
日本ではその姿を見ることはまずないと思いますが、遭遇したくない相手と思いつつもキングコブラよりも強力というこの毒ヘビも一度くらい見てみたい気がしてしまいます。
しかし、実際に目の当たりにしてしまうと腰が抜けて動けなくなってしまうかも知れませんね。
血清があるのに助からない可能性がある猛毒、想像しただけでも怖くなってしまいます。
しかし一方でこれから薬の生成の研究が進められているというのも驚きです。
出来れば、これが完成してブラックマンバがありがたい生物と呼ばれるようになって欲しいものです。