“家コウモリ”とも呼ばれ、我々の生活するすぐそばに住んでいるのがアブラコウモリです。この記事ではその生態や天敵、我々にもたらす害と実施できる駆除対策についてご紹介していきます。
目次
アブラコウモリ(家コウモリ)の生態
出典画像:Wikipedia
- 学名;Pipistrellus abramus
- 分類:コウモリ亜目ヒナコウモリ科アブラコウモリ属
- 分布:ロシア東部、東アジア(北海道道央部以北は除く)
- 体長:4~6cm
- 体重:5~10g
アブラコウモリは主に民家や建造物の屋根裏、高架下に棲みつくコウモリで、大きさは大人の手のひら程度と小型です。そのため、2~3cm程度の隙間があれば侵入できます。ちなみに、名前はかつて長崎県で「アブラムシ」と呼ばれていたことに由来しています。
アブラコウモリの鳴き声
「家の屋根裏からネズミの声がする」この場合、声の主がネズミばかりとは限らず、アブラコウモリである可能性もあります。両者の声は聞き分けにくいので、ネズミと間違えてしまうことがるようです。
ところがコウモリの声の周波数は超音波の域なので、基本的には人間の耳で聞くことはできません。コウモリの声が聞こえた=コウモリが比較的大声で鳴いたと言えます。
アブラコウモリとネズミのどちらが屋根裏にいるのか、これを判別する方法は「羽音」と「フン」しかありません。夕方あたりに屋根裏でバタバタと羽音する、家の周囲にコウモリの糞(大きさ5~10mm、非常に脆い)がないかを確かめます。
ただし、判別は素人には難しいのでコウモリ・ネズミどちらもカバーできる業者に依頼した方がいいでしょう。
アブラコウモリの飼育方法
アブラコウモリの飼育は虫かご、天井が網状になっているケージなどの中で行います。
子どものアブラコウモリならばミルクをスポイトで1滴、これを1日に4〜5回で十分です。ミルクを飲まなくなるまで成長したら、ミールワームを1日に30匹与えます。また、口が小さいため、なかなか食べない場合は切って与えます。
アブラコウモリの飼育方法は以上ですが、実はアブラコウモリの飼育には役所への届出と許可が必要ですので、無断での飼育はできませんので注意しましょう。
アブラコウモリの天敵
アブラコウモリが家屋の屋根裏に住んでいる理由として、防寒などもありますが、一番は外敵に襲われにくいということが言えます。
主な天敵としては鳥類です。フクロウや鷹、ワシなどの猛禽類やカラスなどの野鳥もアブラコウモリを捕食します。ただし、それらの天敵は家屋へは入ってこないので、なかなか食べられてしまうというのはないようです。
アブラコウモリの被害
アブラコウモリが屋根裏に住んでいても害がなければいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、実は害があります。
この章では屋根裏に住むアブラコウモリがもたらす人への害についてご紹介していきます。
アブラコウモリ(家コウモリ)のフンの被害
屋根裏にアブラコウモリがいるということは、彼らの糞尿が屋根裏に降り積もることになります。コウモリの糞尿は体積することで家屋の壁や天井の板にシミを作り、強烈な悪臭を放ちます。
そうなってしまうと壁面の洗浄や板の交換など、修繕費もかかってくるのですが、何よりも厄介なのが感染症問題です。
アブラコウモリ(家コウモリ)が媒介する感染症
アブラコウモリの主食は主に昆虫類です。そのため、アブラコウモリのフンは非常に脆く、砕けて粉塵になります。また、彼らは天井裏を飛び回るので、1箇所に堆積するのではなく天井裏中がアブラコウモリの糞尿だらけということも起こり得ます。
アブラコウモリは東アジアほぼ全域に生息しており、彼らはエボラ出血熱やSARS(重症急性呼吸器症候群)、狂犬病、脳炎を引き起こすニパウイルスなどの感染症を媒介すると言われており、彼らの糞による粉塵にはそれが含まれている可能性が高いです。
ただし、日本には上記の感染症がいないので、アブラコウモリが屋根裏に棲みついたからといって、こういった感染症の危険性はまずありません。
しかし、カビやダニ、寄生虫は含まれているので、人間が吸い込んでしまうとアレルギーの症状が出たり、ダニによる感染症も考えられます。何れにせよ招かれざる者であるので、駆除が必要となります。
アブラコウモリの駆除対策
東アジア全域に生息しているアブラコウモリは、我々の生活圏に非常に近く、かつアレルギー原因になるなど、健康被害の危険性があります。
実際に駆除するときはどうしたら良いのかなど、この章ではアブラコウモリの駆除方法や駆除に適した時期をご紹介していきます。
アブラコウモリを撃退する!その退治方法をご紹介
我々ができる範囲でのアブラコウモリを撃退する方法として、なんとかしてアブラコウモリを家から追い出すことです。
工程としては①「家から追い出す」、②「侵入経路を塞ぐ」です。
①の家から追い出す方法としてはスプレータイプの対コウモリ向けの「忌避スプレー」とジェル状の忌避剤があります。
スプレータイプは即効性に優れている一方、効き目が持続しない欠点があります。ジェルタイプの場合は次第に揮発するものなので、即効性は期待できませんが、持続力はあります。この二つの合わせ技であれば追い出してから寄せ付けないということができるでしょう。
また、工程②も合わせて実行すると、より確実性をもってアブラコウモリ駆除ができます。換気扇のダクトなどの隙間を埋める場合はネズミ用のパテや金網などを使うと効果的です。
冬眠時期の駆除は避ける!?駆除に適した時期とは
アブラコウモリを家から追い出すとして、他に気にかけることとしては、「時期」です。そして避けなくてはならないのが、生まれたばかりの子どものアブラコウモリが屋根裏に残ってしまうことです。
残ってしまうと糞尿や死骸がアレルギーの原因にもなるので、オススメの駆除シーズンは「春」です。
春は繁殖期の前で子どもいないので、子どもが残ってしまうことはありません。
アブラコウモリのまとめ
コウモリは我々の身近にいる動物です。それゆえに駆除の失敗は住居へのダメージや健康被害は大きいものになります。もし少しでも自信がないならば、業者への依頼がベストと言えます。