レジャーシーズンの到来とともに、多くの方が海や山へと足を運ぶようになります。
野生の肉食獣が少ない日本においては、あまり重要視されていませんが、レジャー先には多くの危険が潜んでいるのです。
そこで、今回は登山時に注意すべき山の危険生物TOP10をご紹介します。
日本の山には、そこまでの大怪我は追わないけれども遭遇頻度の高いもの、反対に遭遇頻度は低いものの出会ってしまったら非常に危険なものまで様々な危険生物が存在しています。
今回は、登山中に出会ってしまったら非常に危険となる生物でランキングをしてみたいと思います。
目次
山の危険生物ランキングTOP10下位順位
それでは、登山時に気を付けたい「山の危険生物ランキングTOP10」まずは、直接生死の危険は少ないものの、出会ってしまうと厄介となる下位ランク第6位から第10位の発表になります。
山の危険生物ランキングTOP10 第10位
山の危険生物ランキングTOP10、第10位は「アシナガバチ」になります。
アシナガバチは日本全国の山間部や平地などで、その姿を見ることが出来ます。
体長は1から3センチメートル程度で、メジャーなスズメバチと比べると一回り小型になりますね。
その名前からも分かるように、手足が長く、特に後脚はずば抜けて長く飛行中でも確認することが出来ます。
比較的大人しい性格をしていて、こちら側から攻撃をしない限りは向かってくることはありません。
しかし、あくまでもその認識はアシナガバチ次第ですので、山道で躓いてアシナガバチの巣にうっかり近付いてしまった場合などは攻撃と認識されるかもしれません。
アシナガバチの攻撃は、多くのハチ同様に毒針を刺してのものになります。
アシナガバチの毒性は、スズメバチに比べると弱いのですが、それでもアナフィラキシーショックで死に至るようなケースも確認されているのです。
山道でアシナガバチの巣に誤って近付いてしまい、集団で襲われてしまうと非常に危険です。
また、特徴的なのが、毒性はスズメバチに比べて弱いのですが、刺された時の痛みはスズメバチ以上の衝撃ともされています。
集団で襲われてしまった場合には、毒による致命傷以前に過度なショックにより危険も考えられますね。
あくまでも、こちら側サイドから仕掛けてしまった場合に危険となるアシナガバチ、山で気を付けるべき危険生物では警鐘を鳴らす意味でも第10位にランクインとなります。
山の危険生物ランキングTOP10 第9位
山の危険生物ランキングTOP10、第9位は「マダニ」になります。
マダニは、日本全国の山間部に潜んでいます。
もっとも1ミリにも満たないマダニ自体が、人を食するとか有毒であるという危険な生物ではありません。
マダニが感染症を持つキャリアとなっている可能性があり、そのことが危険視されているのです。
山道や草原などを歩く際には、このマダニには充分に気を付ける必要がありますね。
マダニは、野生動物やその死骸に咬みつき血を吸います。
当然、その対象が人間となることもあるのです。この吸血の際に、他の動物または死骸からマダニにうつった病原体をうつされてしまう危険があるのですね。
感染症としては、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」「ライム病」「日本紅斑熱」などが有名で、これらにより人間が死に至るというケースもあるのです。
実際に2017年以降、マダニ感染によるSFTSによって人間が死亡する事故が増えてきているのです。
マダニに咬まれてしまった場合には、迷わずに医療機関に行く必要があります。
マダニは、それ自体の危険性としてはありませんが、感染症キャリアとなった場合の危険性は驚異です。
このことから、マダニは山で気を付けるべき危険生物第9位となります。
山の危険生物ランキングTOP10 第8位
山の危険生物ランキングTOP10、第8位は「ヤマカガシ」になります。
ヤマカガシは、北海道と沖縄を除く日本のほとんどでその姿を見ることが出来ます。
山では比較的低地の水辺付近に生息し、主にはカエルなどを捕食しています。
「危険生物にヤマカガシ?」と思われるかもしれません。
実は、以前ヤマカガシは有毒ではないとされていた時期もあったのです。
ヤマカガシの毒牙が非常に短く一見すると毒牙を持たないように見えてしまいます。
また、咬まれても厚手の服の場合には毒牙が肌まで達することもなく、その毒の存在が見過ごされていたようです。
しかし、実際には有毒で、しかも日本の毒ヘビの中ではニホンマムシやハブを凌ぐ最も強い毒性のヘビとなるのです。
しかも、このヤマカガシの毒性に対する特効薬は今のところまだ無いので、毒が体内に入ってしまうと非常に危険な状況となるのです。
ヤマカガシは、ハブやニホンマムシに比べて毒ヘビとしての知名度は低いかもしれません。
また体長も60から120センチメートル程度と中型のヘビですが潜在的危険性はトップクラスとなるのですね。
人間が襲われるという事故数もそこまで多くはないことと、咬まれても毒が注入される危険性の少なさもあり、山で気を付けるべき危険生物第8位としました。
しかし、実際に毒が体内に入ってしまった時の危険性は忘れてはいけません。
山の危険生物ランキングTOP10 第7位
山の危険生物ランキングTOP10、第7位は「ニホンザル」です。
ニホンザルは、本州に四国、九州と日本のほとんどの場所でその姿を見ることが出来ます。
体長は60センチメートル程度、体重20キログラム程度とサルとしては中型の部類ですね。
食性は雑食性で、果実に木の実、昆虫、魚など何でも食べてしまいます。
近年では、ニホンザルが農作物を荒らしたり、民家に忍び込み食料を強奪するなどの被害も増えています。
また、観光地ではニホンザルが観光客を襲い食料を強奪するという被害も多発しています。
ニホンザルは非常に学習能力が高く、人間が食料を持っていること、自分達には危害を加えないことを重々承知しているのです。
登山中に遭遇する場合には、人間慣れしていないことも考えられますが、それでも悪戯に刺激をしてしまうと攻撃をしてきます。
基本的にニホンザルは群れで行動するので、より危険度が高くなりますね。
鋭い牙で咬みつかれたり、同じく鋭い爪で引っ搔かれたりしたら大怪我を負うことになってしまいます。
死亡事故に至る可能性は極めて低いですが、襲われれば大怪我必死のニホンザル、山で気を付けるべき危険生物第7位となります。
山の危険生物ランキングTOP10 第6位
山の危険生物ランキングTOP10、第6位は「イノシシ」です。
イノシシは日本では北海道を除くほとんどの地域で見ることが出来ます。
沖縄に生息するイノシシは、比較的小柄な別種でリュウキュウイノシシと呼ばれています。
一方、本州や九州に四国で見るイノシシは大きいものでは体長180センチメートル、体重180キログラムと非常に大柄になります。
「猪突猛進!」この巨体で突進して来るのですから、非常に危険ですね。
また、下あごには巨大な牙があり、咬まれてしまうと大怪我に繋がります。
食性は、雑食性ですので人間を餌と見ることはありません。また、基本的には臆病な性格ですが、敵とみなした場合には恐ろしい悪魔に豹変してしまうのです。
イノシシに人間が襲われる事故は、近年多発しています。
これは、イノシシの生息地が減少していることに、餌が少なくなって来たことなどがその原因としてあげられています。
このことからイノシシが人里へ降りてくるようになったために、イノシシによる事故が増えているのです。
イノシシは非常に賢い動物ですので、人間が怖くない存在と言う事を既に認識していると考えられます。
イノシシに襲われた事故での死亡例は少ないですが、実際に起こっているので気を付けけなくてはなりません。
また、非常に身体能力が高く、走る速さは時速45キロ、1メートルの塀も余裕で飛び越すジャンプ力も持ち合わせています。
出会うのが、足場の悪い細く険しい山道の場合には、このイノシシの突進をかわすことは非常に困難でしょう。
事例数はまだそれほど少ないものの、被害に遭えば大怪我必至のイノシシ、山で気を付けるべき危険生物第6位となります。
山の危険生物ランキングTOP10上位順位
さて、「山の危険生物ランキングTOP10」第6位から第10位をご紹介しました。
意外に感じる生物から、なるほどと納得の生物まで、あらためて日本の山には様々な生物が存在すると再確認できました。
これより、上位ランクの発表となります。
上位ランクは、それ自体出会ってしまうと死の危険性もある恐ろしい種ばかりになります。
それでは、気になるランキング結果を見てみましょう。
山の危険生物ランキングTOP10 第5位
山の危険生物ランキングTOP10、第5位は「ツキノワグマ」です。
日本においてツキノワグマは、本州と四国の山に生息しています。以前は九州でも見ることもありましたが、今では絶滅してしまいました。
成獣でも体長150センチメートル程度、体重も90キロ程度と、クマとしては小型の部類になります。
もともとは臆病な性格で人目に付かないように生活をしていましたが、生息地の環境の変化や餌事情などが厳しくなり、人里まで出没し始め、頻繁に人間と接するようになっています。
ここ数年テレビのニュースでも、人間がクマに襲われたという話題がたびたび報じられていますね。
前述のように、ツキノワグマは基本的には臆病な性格ですので人間と出会えば逃げるのですが、子育て中の場合には非常に厄介なのです。
子供を守るために人間に対して攻撃を仕掛けてくることが多くなるのです。
実は、毎年のように人間がツキノワグマに襲われ死傷する事件が起こっているのです。
これらは、そのほとんどの場合でツキノワグマが人里へ現れるものですが、山の場合には人間がツキノワグマの住処へと入っていくのですから、尚更気を付けなくてはいけません。
食性は、植物性の強い雑食性なのですが、気になることもあるのです。
解剖したツキノワグマの胃の中から、人間の肉片が検出されていたのです。
人間を餌と認識してしまうと、今まで以上にツキノワグマから積極的に仕掛けてくる可能性が高くなります。
今回は、山で気を付けるべき危険生物第5位としましたが、人間を餌と認識した場合には非常に厄介でTOPを争う程の危険生物となり得ます。
山の危険生物ランキングTOP10 第4位
山の危険生物ランキングTOP10、第4位は「ハブ」になります。
ハブは、日本の沖縄や奄美大島などに一部地域に生息する危険な毒ヘビです。
体長が1メートルから2メートルと大型種となるうえに木の上などにもするすると登る機敏性を持ち合わせています。
基本的にほとんどのヘビは、臆病な性格をしていて積極的に攻撃を仕掛けてくることはありません。
しかし、ことハブに関してそれが例外となるようです。
気性が荒く非常に好戦的な性格をしており、不用意に近付いてしまうと襲われてしまうことがあるのです。
登山中に、美しい景色などに気を取られ、足元の注意が疎かにならないように気を付けなくてはいけません。
毒性自体は、ニホンマムシやヤマカガシに比べると比較的弱いとされています。
しかし、大型のヘビの為一度に出される毒量が多くなるので、単純に毒性の強弱だけで安心してはいけません。
ハブに咬まれると、激痛に腫れなどの症状は勿論ですが、ひどい場合には患部の壊死や運動障害、麻痺などが後遺症として残ってしまうこともあります。
血清が整備されている近年では、ハブによる死亡事故は激減しています。
しかし、それでもハブに咬まれる事故は変わらずに多発しているので気を付けなくてはなりません。
血清があるとは言え、死の恐怖にもつながる毒ヘビのハブは、山で気を付けるべき危険生物第4位となります。
山の危険生物ランキングTOP10 第3位
山の危険生物ランキングTOP10、第3位は「ニホンマムシ」になります。
ニホンマムシは、ほぼ日本全国どこにでも生息するヘビで、第4位にランクインしたハブと並び日本を代表する毒ヘビとなります。
体長は45から60センチメートル程度とそこまで大型のヘビではありませんが、北海道では稀に1メートルオーバーの大型種が目撃されています。
ニホンマムシは、基本的には臆病な性格とされているので積極的に攻撃を仕掛けてくることはないようです。
しかし、登山中に気が付かずに、ニホンマムシを踏んでしまったり脅かしてしまうと咬みつかれてしまいます。
ニホンマムシの毒は非常に強力で、出血に激しい痛み、発熱やめまいなどの症状が現れ、6時間以内に血清投与をする必要があります。
山でニホンマムシに咬まれた場合には、時間との勝負となりますので気を付けなくてはなりません。
登山中とは限りませんが、毎年3000人以上の方がニホンマムシの被害を受け、その内の10名ほどの方が亡くなっているのです。
数字だけ見ると死亡率は低く感じますが、血清が整っている今と考えると、数字以上にニホンマムシの恐怖を感じてしまいます。
被害件数に死亡事故など、ニホンマムシは山で気を付けるべき危険生物第3位となります。
山の危険生物ランキングTOP10 第2位
山の危険生物ランキングTOP10、第2位は「スズメバチ」です。
日本には16種にも及ぶスズメバチが存在するとされていますが、山で気を付けなくてはならないのはオオスズメバチです。
日本最大となるハチで、最も攻撃的であり最も強力な毒を有しています。
生息域も日本全国となるので遭遇する確率も非常に高くなります。
オオスズメバチに刺されてしまうと、激しい痛みとともに患部が腫れあがるような症状が起こりすぐに病院に向かう必要があります。
例え、助かってもアナフィラキシーショックの危険性もある程に非常に危険なのです。
しかし、場所が山の中であるとすぐに病院へと向かうことも困難なうえ、もし敵とみなされ集団で襲われてしまうとそのまま絶命してしまう危険性もあります。
このように非常に厄介な生物なのです。
スズメバチは、毎年夏から秋にかけての期間に非常に活発となり、丁度レジャーシーズンとも重なるのですね。
毎年のようにこのスズメバチに襲われて命を落とす事故も発生しています。
発生頻度に致死率、いずれも非常に高いスズメバチは山で気を付けるべき危険生物第2位となります。
山の危険生物ランキングTOP10 第1位
山の危険生物ランキングTOP10、第1位は「エゾヒグマ」になります。
北海道に生息するエゾヒグマは、大きいもので体長が300センチメートル、体重が500キログラムと第5位にランクインしたツキノワグマとは比べ物にならない程の大きさなのですね。
エゾヒグマは日本国内の陸上動物としては最大級の大きさを誇るのです。
食性は、基本的には雑食性で何でも食します。
当然肉食獣としての一面も持っていて、エゾシカの味を覚えたエゾヒグマが、エゾシカを襲うようになるケースも増えています。
これが、人間に向けられてしまうと非常に厄介になりますね。
一説には、エゾヒグマにとって人間の肉は意外とご馳走となるようで、一度人間を襲い獲物と認識するとそれ以降も人間を襲うようになってしまいます。
過去に発生した「三宅別ヒグマ事件」などはその最たるものですね。
昼夜を問わず活動し、木登りも泳ぎも得意で走るのも速いと、遭遇してしまうと逃げることは不可能でしょう。
強靭な牙に鋭い爪、桁外れのパワーで襲われてしまえば、まず助かる見込みはありません。
しかも、実際に人間がエゾヒグマに襲われる事故は毎年のように発生しているのです。
北海道限定とは言え、遭遇してしまった場合の危険度は断トツと言えるでしょう。
山の危険生物対処法
今回、ご紹介した山の危険生物TOP10ですが、その対処法を簡単にご紹介しておきましょう。
ハチの場合
まず、スズメバチにアシナガバチなどは、巣に近付かないことが鉄則です。
山道で、人が足を踏み入れていないような場所には入らないことです。
人が通った形跡があれば、そこの安全性は比較的高くなります。
また、長袖長ズボンなどを着用し肌の露出は極力避けてください。
もし刺されてしまったら、すぐさま病院へ向かうことです。
ヘビの場合
基本的には、山道の端などヘビが潜みそうなところは避けて歩きましょう。
こちらも、もしも出会ってしまったらすぐにその場を去ることが鉄則です。
基本的には、まず威嚇がありますので、その間に逃げるのが可能かも知れません。
また、熱を感知して攻撃を仕掛けてくるので、ここでも肌の露出は控えましょう。
ハチ同様にもしも咬まれてしまったら病院へ向かう必要があります。
哺乳類の場合
山に登る場合には、クマよけスプレーなどの防御アイテムは必ず持っておきましょう。
これらは、クマ以外にも効果的です。
また全ての動物共通ですが、もし出会ってしまったら背中を見せて逃げると追ってきますので、後ずさりをしながら徐々に距離を広げていきます。
子供連れの場合には特に気を付けることも全ての動物に共通です。子連れの場合には、いち早く距離を取る必要があります。
サルは目を合わせると、威嚇とみなし攻撃してきます。決して目を合わせてはいけません。
クマの場合には、ラジオなどで音を出すのが良いとされていましたが、どうやらケースバイケースのようです。
人間を襲うクマの場合には、わざわざ存在を教えることとなりますし、こちら側もクマの存在に気付きにくいことがあります。
大きな音のする笛を鳴らすのも効果的ですが、子連れの場合には逆効果のようです。
いずれにしても、動物の糞や足跡など、痕跡があれば必要以上に注意をしなくてはなりません。もしくは進行をあきらめるのも賢明な判断かも知れませんね。
まとめ
今回、山の危険生物TOP10をご紹介しました。
日本の場合、あまり生物による危険を感じにくいのですが、実際にはその危険性はたくさん潜んでいるのです。
折角楽しみにしていた山のレジャーですから、安全に楽しく過ごしたいものですね。
そのためには、このような危険が潜んでいることを知っておくことも必要です。
お菓子にお弁当は勿論必需品ですが、それ以外にも危険防止グッズの形態など危険対策を充分に施して、レジャーを楽しんでください。
「後悔先に立たず。」決して忘れないでください。