アフリカサバンナには様々な動物が生息し生態系を構築しています。
その中でも頂点に君臨するのは、百獣の王ライオンとなるでしょう。
それでは、その次の座を争うとしたらどうでしょうか?
ヒョウやハイエナ、チーター、リカオンなど様々な肉食動物が名乗りを上げて来そうですが…。
今回は、その中でチーターとハイエナに注目して考えてみたいと思います。
題して「チーター対ハイエナ!どっちが強い!?」です。
さー、その結末はいかに?
目次
「チーター」と「ハイエナ」の基本データ
それでは、今回の主役となるチーターとハイエナ、それぞれの基本データと特徴を比べてみましょう。
チーターは1属のみなので問題はありませんが、ハイエナは2亜科4属(3属とする説もあり)4種が存在します。
今回は、その中でも最もメジャーで最大種となるブチハイエナで想定してまいります。
チーターの基本データ
- 分 類 食肉目 ネコ科 チーター属
- 学 名 Acinonyx jubatus
- 和 名 チーター
- 英 名 Cheetah
- 分 布 アフリカ大陸(熱帯雨林を除く)及びイラン
- 生 息 草原や半砂漠・藪地
- 体 長 110から150センチメートル
- 体 重 35から75キログラム程度
- 尾 長 60から90センチメートル
- 肩 高 67から94センチメートル
- 備 考 動物界随一の俊足スプリンターで時速100キロ以上(104キロ)の記録がある。
チーターは、とにかく速く走ることに特化した動物で、顔なども小さく肉食動物としては体形的にも非常にスマートです。
地上生活をすることが多いですが、木に登ることもありますね。行動は基本的には単独行動ですが、小規模の群れを形成する姿も確認されております。
チーターは、俊足で優秀なハンターではありますが、その狩りの成功率は50パーセントとまずまずと言ったところでしょうか。
これには理由があり、俊足ではありますが持久力に乏しく全速力で走れるのは300メートル程度、しかも一度全速力で走ると休憩を必要とするからなのです。
スピードを重視したため不要な筋肉はそぎ落とし、顎の力もそれほど強くないので、仕留めた獲物が逃げてしまうこともあるようです。
また、チーターは怪我をすることを非常に恐れるため、むやみに争いをしません。
このことから、例え獲物を狩ることが出来ても、ライオンやヒョウ、ハイエナなどほかの肉食動物が近寄ってくれば争うことなく譲ってしまうのです。
チーターは、平和主義の優しい肉食獣と言ったところでしょうか。
ハイエナの基本データ
- 分 類 食肉目 ハイエナ科 ブチハイエナ属
- 学 名 Crocuta crocuta
- 和 名 ブチハイエナ
- 英 名 Laughing hyena、Spotted hyena
- 分 布 アフリカ大陸(アフリカ大陸最南部、サハラ砂漠やコンゴ盆地を除く)
- 生 息 草原
- 体 長 95から165センチメートル
- 体 重 40から86キログラム程度
- 尾 長 25から36センチメートル
- 肩 高 70から90センチメートル
- 備 考 驚異的な顎の力を持ち、ライオンそれをも上回ります。
ハイエナと言うと、腐肉を貪ったり他の動物が仕留めた獲物を横取りするイメージがありますが、実はそれ誤解なんですね。
実際には、ハイエナは俊足でスタミナも抜群の優秀なハンターなんです。
もちろん、獲物を横取りすることもありますが、実際に口にする獲物の6割が自分たちで仕留めたものなんです。
むしろライオンに横取りされる確率の方が高いと言われていますね。
ハイエナの中でもこのブチハイエナは最大種かつ最強種となります。
ハイエナは雌のリーダを頂点とする群れを作り、抜群の統率力で非常に優れた狩りを行うのです。
群れになった時の強さはずば抜けて高く、時にはライオンなども追い払ってしまうこともあります。
何と言ってもハイエナの武器はその強力なパワーを秘めた顎ですね。
ライオンのそれを上回る強力な噛む力に丈夫な歯で、獲物の骨なども簡単に噛み砕いてしまいます。
また、雌がリーダーとなることからも分かるように、ハイエナは動物の世界では珍しく雄よりも雌の方が大きく強いと言う特徴を持ちます。
「チーター」と「ブチハイエナ」が自然下で戦う可能性はあるのか?
さて、このチーターとブチハイエナですが自然下において戦う可能性はあるのでしょうか?
先ほどチーターの紹介のところでネタバレしておりますね。双方ともにアフリカ大陸に生息しており、実際に獲物をめぐり日々争いが起きています。
またそれぞれ幼獣が襲われるなどの争いもあるようですが、チーターがハイエナの幼獣を襲う例は極めて少ないようです。
何と言ってもブチハイエナはあのライオンと渡り歩くほどの力を持っているのです。生息域における争いでは、ブチハイエナが圧倒的に優位にあります。
これは、ブチハイエナが群れで生息していることが大きいですね。怪我を恐れるチーターは無駄に争うことはしませんので、ハイエナが近づいてくれば退散してしまいます。
しかし、これは自然下における群れのブチハイエナ対一頭のチーターと言う構図での戦いになります。
そうであるならば、単体の成獣同士が「もしも戦ったら、強さはどちらが上なのか?」という想像をしたくなってしまいますね。
「チーター対ブチハイエナ」!もしも成獣同士が1対1で戦ったらどちらが強いのか?
さて、それではようやくですが本題に入りたいと思います。
雄のチーターと雌のブチハイエナ、それぞれの成獣が1対1で戦ったらどうなるのでしょうか?
まずは、それぞれの攻撃力を比べてみましょう。
- チーターの攻撃力
チーターの攻撃力は、何と言っても機敏性でしょう。これにはさすがにハイエナは足元にも及びません。
しかしながら、この機動性を重視したため、チーターは顎も小さくし肉食獣としてのパワーを少々低下させているのです。
ライオンやハイエナのように短時間で獲物をしとめることが出来ず、チーターの場合には獲物ののど元に噛みついてから窒息させるまでに10分もかかることがあるようです。
また、身体を軽くしたことで防御力も失っていますね。
- ブチハイエナの攻撃力
ブチハイエナの攻撃力は、やはり骨をも噛み砕く顎の力(280から320キロと目されています。)に丈夫な歯があげられます。
俊敏性・機動力ではチーターにかないませんが、一撃必殺の噛み付きが決まれば華奢なチーターには簡単に致命傷を与えることが出来るでしょう。
また、チーターに比べると幾分かずんぐりとした体形は、防御面でも上回ると考えられますね。
チーター対ブチハイエナ!その勝者は?
前述の攻撃力の比較を参考に考えてみますと、やはりブチハイエナの優位性は変わらないと考えられます。
チーターのスピードについていけず噛みつかれたとしても、ブチハイエナに致命傷を与えるには至りません。
反対に反撃にあってしまえば、チーターにとっては一撃で致命傷を与えられてしまいます。
また、普段よりライオンなどを相手に戦いを行っているブチハイエナと、争いごとを避けているチーターの経験の差も出てしまいそうです。
チーターに逃げられることはあっても、ブチハイエナが負けることは余程のアクシデントが無い限り考えられませんね。
反対の結果となる可能性は?
さて、前項でチーター対ブチハイエナでは、ブチハイエナの優位性は変わらないとしました。
しかし、チーターが勝利することが無いとは言えません。
例えば、機動性をフルに活用して、ジャストのタイミングとポイントでブチハイエナの喉元に噛みつくことが出来れば!
ブチハイエナにはネコ科動物のような鋭い爪がありませんので、これが出来ればチーターにも勝機があるかと思います。
しかし、それが達成できるのは余程のことで、その前に命を落としてしまうチーターの数の方が圧倒的に多くなくなるでしょう。
また、今回ハイエナの種類をブチハイエナの雌にしましたが、雄であったりそれ以外の「シマハイエナ」や「カッショクハイエナ」、「アードウルフ」との闘いであれば、十分チーターでも勝機があります。
特にシロアリを主食とする小型のアードウルフであれば、チーターが負けることはないでしょう。
まとめ
今回「チーター対ハイエナ!どっちが強い!?」を考えてみました。
やはり、日頃からライオンを相手に過酷な戦いを強いられているブチハイエナに一日の長があると思われます。
そのせいでしょうか?
体格としては、双方同じようなものなのですが、実際に並ぶとブチハイエナの方が貫禄があるように思えてしまいます。
恐らく、今回のように「チーター対ブチハイエナ」となったら、多くの方がチーターを応援するかも知れませんね。
ブチハイエナには何となく、「獲物を横取りする」ずるがしこいイメージがついてしまっていますから。
しかし、それは誤解なんです。ブチハイエナもほとんどは自分たちで狩りをしますし、反対にライオンに獲物を奪われることの方が多いのです。
とは言え、普段より争わず譲る姿勢のチーターに同情票が集まるのは仕方ないことですね。
ただ一つ、厳しい自然界においてはチーターもブチハイエナも、ごく当たり前に生きていると言うことは確かです。
そこには、「ずるいとか正しいとか」人間の価値判断が入るような隙間はないのかも知れません。