淡水魚のナマズの仲間の「ギギ」
胸びれのトゲと基底部の骨をこすり合わせてギーギーと音を出すことからその名前がつきました。
淡水魚の中でも美味らしく、滋賀県や京都府ではギギの蒲焼きが売られているそうです。
また、ナマズの特有のヒゲのあるへにょっとしたかわいい顔と大きな背びれが鑑賞用としても人気があります。
一方で、ギギの胸びれと背びれのトゲには毒性があり注意が必要です。
今回は、ギギの生態と特徴、寿命と飼育方法そして刺された時の症状と対処法をご紹介します。
ギギの生態
- 科名:ギギ科
- 体長:30cm
- 分布:日本、朝鮮半島、中国、ベトナム
- 環境:淡水の湖や用水路など
- 危険な部位:胸びれと背びれにあるトゲ
ギギは淡水魚で湖やため池、用水路などに生息しています。
日本では主に西日本に生息していましたが、近年関東でも報告例があります。
アユの放流に混じってやってきているのではないかと考えられています。
体色は黄褐色または黒ですが、弱ると黄色に体色が変化します。水質変化に弱いそうです。
ギギ科の中では最大種で、特徴は8本のヒゲと尾びれが2又になっていることです。
特にヒゲの本数を覚えておくと、姿が似ているナマズやギバチなどと見分ける時に役立ちます。
また、釣り上げた時などに胸びれと基底部の骨を使ってギーギーと音を出します。
ギギの呼び方は地方によって異なりますが、ギュギュやギンギ、クロギギなどギーギーと音を出すことからつけられた名前も多いです。
ちなみに、ギギというのはもともと琵琶湖周辺で呼ばれていた名前だそうです。
夜行性で、昼間は岩などに隠れていて、夜になると小魚やエビなどを食べに姿を現します。
ギギは昔はポピュラーな魚で、ギギのいる地方ではよく食べられている魚でしたが、現在は河川の汚染により個体数が減ってきており希少種となっています。
ギギを必要以上に釣り上げるのはやめておきましょう。
また、あまり研究がされてきていないため、詳しい生態はあまり分かっていません。
ギギのトゲの毒性について
ギギの胸びれと背びれには堅いトゲがあり、そのトゲには毒もあります。
刺さっても死に至ることはありませんが、数時間~数日間、激しい痛みにおそわれます。
ギギのトゲが刺さってしまった時の対処法としては、まずトゲが患部に残っているようなら取り除きます。
次に患部から血を絞って毒抜きをします。最後にキレイに水で洗って、絆創膏を貼っておきましょう。
この処置で痛みがとれないようなら病院で診てもらいましょう。
ギギはナマズの仲間ですので、ウロコがなくヌメヌメした体をしています。
そのため、トゲに触らないように気を付けていてもうっかり触ってしまう危険性があります。
ギギに触る時は、ゴム手袋などをして手を保護しておいた方が安心です。
ギギの飼育方法
ギギは比較的に飼育のし易い魚です。寿命は10年程と魚にしては長寿の部類に入ります。
ただ、肉食魚で小魚やエビは食べらてしまうので混水が出来ないのと、体長が30cmと大きくなるので水槽は60cm以上の大きさが必要になります。
ギギを飼育したい場合、まずこの2つの問題をクリアする必要があります。よく検討してください。
ギギの入手方法
ギギを入手するには2パターンあります。1つめは野生のギギを釣り上げる方法です。
ギギは成魚になるにつれ攻撃的な性格になってきますので、釣り上げるのは10cmくらいの幼魚がおすすめです。
雨の日や曇っている日は日中も活動していることがあり、ギギ釣り日和です。
水質変化に弱いので飼育開始直後はとくにメンテナンスをしっかりしましょう。
また、もともとは広い場所で生活していたので、できるだけ大きな水槽を用意してあげた方がストレスがかかりません。
2つめはアクアリウムショップで購入する方法です。
こちらでもだいだい10cmくらいの幼魚が売られていますので、元気な個体を選んで購入しましょう。
白点病やひれがボロボロの個体、やたらと泳ぎ回っている個体は避けた方が無難です。
ギギの飼育方法
水質を保つためにエアーポンプがあった方がいいです。
ろ過装置は底面式だとエサが詰まってしまう可能性があるので、それ以外のろ過装置を選びましょう。
ギギはキレイな水質を好みますので、水替えはきちんと行いましょう。
水替えの際にはギギに噛まれないように注意してください。成魚になるにつれ攻撃性が高まるのと、肉食魚なので結構しっかりとした歯が生えています。
水槽に手を入れる時はゴム手袋をした方がいいでしょう。
水温は30℃以上になると暑くて弱ってしまいますので、30℃以下に保ちましょう。
また1日の中で水温が急激に変わるような場所に水槽を置く場合は、ヒーターで水温が一定になるよう管理する必要があります。
夜行性のため昼間の明るい時間帯にギギが隠れられるようなスペースがあると好ましいです。
エサは幼魚のうちは比較的に色んなエサを食べてくれますので、いろいろ試して用意しやすくてギギの食いつきがいい生き餌を見つけましょう。
アカムシやミミズの他に、ホームセンターなどで売っている金魚やナマズ用の人工飼料なんかも試してみる価値がありますね。
野生のギギを飼育する場合は、ギギを捕まえる時に一緒にドジョウやオイカワなどエサになりそうな小魚も釣っておくといいかもしれません。
まとめ
ギギは食べておいしく、見て面白く、さわってイタイお魚です。
釣り上げたりしたときはトゲに十分に気を付けましょう。万が一、ギギのトゲが刺さってしまっても慌てずに冷静に対処すれば大丈夫です。
ちなみに、ギギの毒はタンパク質のため加熱すると無害になるそうです。
もし、食べる機会がありましたら、安心してお召し上がりください。(毒のあるトゲは調理前に取り除いていると思いますが…)
ところで、ギギを実際に見てみたくなった方もいるのではないでしょうか?
ギギは釣らなきゃ会えないという訳ではなく、水族館に行けば会えますよ。
滋賀県の「琵琶湖博物館」や山梨県の「森の中の水族館」に展示されています。ぜひ、実際に泳ぐ姿を観察してみてください。