色々な愛くるしいキャラクターのモチーフにもなるなど、優しく温厚そうなイメージで動物園でも人気が高いカバですが、実際には少々事情が違うようですね。
実は動物最強ともいわれるのがこのカバなんです。
雄は縄張り意識が非常に強く、そこに入ってしまうと大きな体格からは想像もできない程俊敏な動きで襲いかかります。
水中であれば天敵となるものは存在せず、よくどちらが強いのかと話題になるワニですら実際にはカバには敵いません。
以前は、様々な種類が存在していたカバですが、現在では世界三大珍獣の一つとされるコビトカバとの2種しか存在していないようなんです。
そんなカバの特徴や生態等詳しく見て行きましょう。
カバとは
カバは偶蹄目カバ科カバ属に分類されるのですが、鯨偶蹄目とする説もありDNAを使った検査の結果ではこの鯨偶蹄目の方により信憑性があるようです。
その生息はアフリカ大陸で、以前は広い範囲でその生息を確認出来ましたが、現在ではサハラ砂漠以南がカバの生息域となります。
カバ(Hippopotamus amphibius)という呼称は、ラテン語から来ているのですが、遡っても同様に「川の馬」という呼び方がずっと以前からあるようです。
日本語のカバ(河馬)もここから来ているようですね。
ワシントン条約で禁止されている象牙に代わり、カバの牙が高級素材として取引されるようになり、密漁などで殺されるカバが増えているようです。
尚、現在ではこのカバもワシントン条約附属書Ⅱのリストに入っています。
カバの種類としては、以前は沢山の種類の存在が確認されていますが絶滅してしまい、現在ではこのカバの他に世界三大珍獣の一つとされるコビトカバしか生存していません。
カバの特徴
カバはとても大きい動物でその体長が3.5メートルから4メートル程度、体重も雄で1,500キログラム雌で1,300キログラム程度と陸上動物ではサイと象の次の座を争う程です。
分厚い皮膚と皮下脂肪に覆われ、肉食動物の牙もなかなか通用しない程ですが、表皮が非常に薄くて脆く水分の排出量が非常に多いようです。
また、この皮膚は乾燥すると避けてしまうので、たいていは水の中で過ごしています。
この皮膚を保護するため俗に言う「血の汗」、ピンク色の粘液を分泌し紫外線や細菌、乾燥などから皮膚を守っています。
カバの顔においては、目と耳と鼻が一直線に並ぶように配置され、これにより水面からこの部分だけを出し周囲を見渡せるようになっています。
そして最大の特徴となるのが、150度まで開く大きな口と50センチメートルにも達するほどの牙ですね。
カバの生態
カバは15頭前後の雌と子供からなる群れで暮らしますが、乾季になると群れが結合し大きくなり150頭ほどになることもあります。
一方雄は単独生活又は優位なものは群れの周りに縄張りを作ります。縄張りを巡り雄同士による激しい争いは頻繁で、中には命を落とす場合もあります。
カバはそのほとんどを水中ですごしますが、水の中では水より比重が大きく、泳ぐのではなく歩いて移動します。
夜になると水から上がり草などを食べます。
見かけによらず俊敏に動くことが出来、陸上では時速30キロ、水中では60キロとも言われています。しかし陸上においては持久力が無いので長距離の移動は苦手なようです。
平均寿命は30年程度で繁殖力が高く、雄は5歳雌は4歳程度で繁殖可能になります。ただ同族間における近親交配が多く見られるようです。
実は肉食の一面も?
カバは基本的には草食で1日あたり40キログラムを食するのですが、その体重から考えると他の草食動物と比べ非常に小食になります。昼間は水中でほとんど動かないのでエネルギー効率が高いようですね。
このように分類上も草食動物されるカバですが、動物の肉を食するという報告が以前からありました。そしてインパラを捕食するカバの映像が海外のテレビで流されるというセンセーショナルな出来事があり、世界的に反響を呼んだのです。
これに続くように、シマウマを食する映像などもあり、この特異な生態には世界的な関心もあったのですが、実際にはその他の草食動物も肉を食べることがあるようです。
カバにおいてもその食性の中心はあくまでも植物であることと、肉への依存度は極めて低いことから分類上の草食動物に変わりは無いようです。
カバが動物最強と言われる理由
癒し系のキャラクターになるなど、温厚とどんくさいイメージが強いカバですが、野生のカバ特に雄のカバは非常に獰猛な性格を持っています。
縄張りへの侵入者は、ワニであろうがライオンであろうが、人又は同じカバであっても構わず攻撃を仕掛けていきます。このカバの攻撃を受け止められるのはなかなかいないようで、集団で狩りをするライオンでも成獣であるカバへの攻撃は難しいようです。
また、縄張り争いで新たにボスとなった場合には前のボスの子供を殺すという所謂「子殺し」も行うようで、意外な恐ろしい一面もあるようです。
雌カバにおいても子供を守ろうとする時は雄以上に気性が荒くなるようです。
大きく頑丈な体に大きな口と牙更には俊敏性、そしてこの攻撃性が加わるこの生態こそが、カバが動物最強と言われる所以のようですね。
陸上動物の大きさ2位なのはカバ?
陸上の動物で最も大きいのは象なのですが、その次がカバというのはどうやら微妙なようです。この場合の大きさとは体格(全長と重さ)であります。高さで考えたらキリンになってしまいますね。
2位の座は、このカバとサイ(白サイ)の間で微妙な争いが行われています。
様々な資料によって結果が異なっているのも事実で、実際に掲載されている数値を見ても体調・体重ともに同様の数値なんですね。
ここまで僅差だと個体によって結果が変わると言うしかないかも知れません。
いずれにしても、僅差で2位の座をカバとサイが争っているという事実ではあるようです。
ワニよりも強い?
ワニは凶暴な性格と強い顎の力に鋭い歯と非常に恐ろしい水中生物です。
よくこのカバとはどちらが強いのか?などの話が持ち上がりますが、実際にはこのワニもカバには敵わないようです。
縄張りに侵入したワニを噛みついて真っ二つにしたなどの報告もありますし、ワニが捕食する際にカバが妨害するなどもしょっちゅうあるようです。
実際にカバを倒せる天敵となるのは、象か群れで襲いに来るライオンのどちらかの様ですね。
しかし、草食動物である象はよほどのことが無い限りカバと戦うことは稀です。ライオンも、狙うのは子供のカバなので成獣となったカバを倒すのはなかなか至難の業のようです。
人間にとっても危険なカバ
カバは、意外に危険性が高い動物ということはご理解頂けたかと思いますが、実際問題このカバによる被害は我々人間も被っているのです。
アフリカでは、野生動物に襲われ人間が死亡する事故においてカバによるものが最も多いようです。
カバの縄張りへの侵入が主な原因なのですが、ライオンなどの肉食獣が生存するアフリカでの話ですので尚更に驚いてしまいます。
その数は500とも3000とも言われるのですが、最も被害が多いという事実に変わりは無いようです。
ペットとして飼育されていたカバに襲われた買主のバラバラになった死体が発見されたという驚くようなニュースも報道されたことがありました。
このように我々人間にもこのカバの恐怖は関わって来るようです。
まとめ
今回、実は恐ろしいカバについて色々と説明させて頂きました。
改めて考えると、カバにはとても怖い一面があることが分かります。
よく動物の中でカバが最強という話は耳にします。
その真意は定かではありませんが、その噂が全くの的外れでは無いことは確かなようです。
もし仮にアフリカで、野生動物を見学するツアー等に参加されるような時には、くれぐれもこのカバの危険性は忘れないでください。