現在では、シャチやサメと言った恐ろしい肉食魚(獣)が支配する広大な海ですが、太古の海にはそれらよりも大きてく凶暴な支配者が生態系の頂点と君臨していたことをご存知でしょうか?
その生物の名は「モササウルス」、史上最強の海棲爬虫類とされています。
海の支配者というとホホジロザメに近いメガロドンも有名ですが、モササウルスはそれ以上のようです。
映画でインドミナス・レックスをいとも簡単に飲み込んでしまうというシーンは鮮烈で一躍有名になりました。
今回はそんなモササウルスについて、生態から絶滅理由まで、詳しくご紹介してまいります。
モササウルス
「モササウルス基本 データ」
- 分 類 有隣目、トカゲ亜目、モササウルス科、モササウルス属(爬虫類)
- 学 名 Mosasaurus
- 和 名 モササウルス
- 英 名 Mosasaurus
- 体 長 12.5から18メートル程度
- 体 重 30トンから40トン程度
- 時 代 中生代白亜紀後期(約7,900万年から 約6,500万年前)
- 化石発掘 ヨーロッパ(オランダ)、北米大陸、アジア(日本)
実は、よく使われている「モササウルス」という言葉ですが、実際には広義の意味で、モササウルス化に属する爬虫類全てを指して使われる言葉なのです。
恐らく「史上最強の」というように使われているのはモササウルス科最強の「モササウルス・ホフマニイ(Mosasaurus hoffmannii)」を指して使われているようですね。
何故だが、このようなややこしい使われ方をしてしまうのですが、こちらの方が浸透しているようなので、ここでもモササウルス(ホフマニイ)としてご紹介してまいります。
モササウルスの特徴
モササウルスは、中生代白亜紀後期(約7,900万年から 約6,500万年前)に海に棲息をしていた大型の海棲爬虫類になります。
体長は最大で18メートルほどにも及ぶ最強の捕食者でありました。
現在のオオトカゲやヘビに非常に近いようで、見た目もオオトカゲというよりはワニに尾鰭と胸鰭が付いているような感じの容姿とされています。
尾鰭は尻尾なのですが、泳ぐのに適した太く幅広い形状で、尻尾の先はサメ同様に三日月型の形状をしていたようです。
また、頭(顎)は非常に大きく頭蓋でも1.6メートル、その噛む力も非常に強かったようです。
そこに並ぶ鋭い歯は、後方へ湾曲し噛みついた獲物が逃げられないようになっています。
モササウルスの生態
モササウルスの棲息していた時代の海には、モササウルス以外にも多くの大型の肉食魚や棲爬虫類が存在をしておりました。
これにより生存競争は非常に厳しかったと考えられています。
そんな中でモササウルスは、多くの捕食者たちが襲う中型の海生生物だけではなく、あまり襲われることの少ない大型海生生物をも獲物することでライバルとの競合に勝ち抜き生き延びる道を選んだのです。
ただし、イカやアンモナイト、ウミガメなども捕食していたようであらゆるものを捕食対象として可能性もあります。
また繁殖は卵胎生(胎生とする説もあり)で、体内で卵から孵化させある程度成長した子供を海中で出産していたと考えられています。
この方法は、卵生の場合に比べて子供(卵)が捕食される確率が低いので繁栄を極めるには有効的な手法だったのかも知れません。
驚愕の身体的特徴や機能
第三の眼「松果体」
モササウルスには第三の眼と呼ばれる「松果体」があったとされているのです。
正確には眼というよりも精巧な光探知センサー機能で頭頂眼とも呼ばれていますね。
これにより獲物の存在を瞬時に把握することが可能ですので、狩りの際には非常に役立っていたと思われます。
泳ぐ速さと狩りの手法
以前まで、モササウルスはその巨体故あまり泳ぎが得意ではなかったのではないかとされていました。
狩りの方法も奇襲をかける待ち伏せ型と考えられていたのです。
しかし、研究が進むにつれてモササウルスには泳ぎに適した非常に発達した鰭(尾鰭と胸鰭)があることが解明されたのです。
泳ぎが苦手どころか「効率的」「高速」「長距離」の泳ぎの名手であることが分かったのです。
これを最も決定づけたのが、現存する遠洋性のサメと同じような形状をしている尾鰭です。
また体形も泳ぐのに適した流線型で、遠洋性のアオザメなどと同じように高い遊泳能力を所持していた可能性が高いのですね。
因みにアオザメの泳ぐ速度は時速55キロになります。
これをそのままモササウルスに当てはめるとすると恐ろしくなりますね。
このことから、狩りも待ち伏せ型ではなく攻撃的に襲っていた可能性が高いのです。
化石に残る傷跡
上述の攻撃的な狩りを示唆するともされるのですが、モササウルスの化石には何者かに襲われたような傷の痕跡があるものが多いのです。
これは、獲物となる大型生物の反撃、特にサメ類とはすさまじい対決を度々していたようでサメ類から付けられたと見られる噛み跡が多数あるのです。
治癒の痕跡があったり、そのまま傷跡が広がっていたりと絶えずモササウルスは戦闘を繰り広げていたようですね。
また、同族の歯型もあるので日常的に仲間同士により雌の奪い合いや縄張り争いもあったようですね。
史上最強の海棲爬虫類いや海棲生物!
モササウルスは、史上最強の海棲爬虫類いや海棲生物ともされています。
これは、その大きな身体(最長体長18メートル、最大体重40トン)は勿論ですが、巨大な顎に並ぶ鋭い歯そして類まれなる遊泳能力がその強さを物語っているのです。
勿論、その当時では最強の捕食者として生態系の頂点に君臨していたモササウルスですが、現代に至る海棲生物を見てもここまでの強さを誇る生物は見当たらない様なのです。
モササウルスが狩りの対象としてものの中には、現代のホホジロザメの祖先筋にあたるサメやプレシオサウルスという大きな首長竜までもが含まれます。
勿論、化石からはすさまじい戦いの痕跡が示されていますが、これら猛者たちを狩っていたことを考えるとモササウルスの最強説も納得してしまいます。
後に登場するメガロドンも時代の生態系の頂点に君臨し最強とされるのですが、後述する絶滅理由を見てもモササウルスの優位性は動かないと考えられますね。
モササウルスは他の恐竜たちと同様に小惑星の衝突により絶滅したとされています。
つまり生存することが出来る環境では無くなってしまったのです。
一方のメガロドンは、後にあらわれるシャチやサメなどとの生存競争に負けてしまった(海水温の低下も含め)のですから生き残り術としては分が悪いですね。
またメガロドンなどのサメ類は、軟骨魚類で内臓を守る骨格がない為衝撃には弱いという弱点もあります。
一方モササウルスは爬虫類なので頑丈な骨格を有しているのです。
クジラと同等の恵まれた体格に優れた遊泳能力、強力な顎に鋭い歯、獰猛で好戦的な性格を持つモササウルスをあらゆる海棲生物の中で最強とする専門家も多くいます。
絶滅の理由
そんな最強のモササウルスは何故絶滅という道を歩んでしまったのでしょうか。
これには諸説あるのですが、最も有力なのは時代背景から考えると恐竜を滅ぼした「小惑星の衝突説」になります。
およそ6600万年前の地球に直径10キロメートルに及ぶ小惑星が衝突したのです。
衝突したのはユカタン半島で周辺市域は燃え上がり消滅、この時の衝突の衝撃で砕け散った地層が粉塵となり舞い上がりました。
この舞い上がった粉塵が大気中に長期間にわたって滞留したことから太陽光は遮られ寒冷期をもたらすことになったのです。
これにより植物が枯れ、それを餌としていた草食動物が滅亡し、そしてそれを餌としていた肉食動物が滅亡をしてしまったのです。
この衝突で海では70パーセント近い生物が滅びてしまいました。
こうなると生態系の上層部にいるものほどその影響を受けてしまいます。
こうして生態系の頂点にいたモササウルスは滅亡してしまったのです。
まとめ
今回はモササウルスについてご紹介をしてまいりました。
太古の海に存在した最強の海棲爬虫類「モササウルス」。
現代にその姿が無くてホッとする一方で、その雄大かつ恐ろしい姿を見てみたいと思う気持ちもあります。
彼らが生き抜いた厳しい時代を想像すると、胸が高鳴り非常にワクワクしてしまいますね。
太古のロマンに胸躍らせて想像する。
これが我々の唯一できること、そして彼らを想う正しい立ち位置なのかも知れませんね。