水族館や動物園で見るシャチは愛らしく、癒しを与えてくれますが、一方で「海の王者」とも学名では「冥界からの魔物」と呼ばれています。
実際のシャチは海殺し屋であるホオジロザメや陸上最強生物のシロクマよりも強いそうですが、では、そんなシャチの生態と強さの秘密についてこの記事ではご紹介していこうと思います。
目次
シャチの生態
出典画像:Wikipedia
- 学名:Orcinus orca
- 分類:クジラ目マイルカ科シャチ属
- 分布:世界各地の海
- 体長:5.8~6.7m
- 体重:3.6~5.4t
シャチは人間同様に哺乳類に分類され、肺で呼吸し子供を出産し母乳を与えて子育てをします。
種類的にはイルカに近く「ハクジラ」に分類されます。
ハクジラと対をなす種類としてヒゲクジラがいますが、ヒゲクジラはオキアミやプランクトンを食べます。
また、同じハクジラに分類されるイルカは魚を主に食べます。
ではシャチはというと、イルカを含む色々な生物を食べてしまいます。
シャチの目について
シャチの目はどこについているのか。シャチの頭の両サイドには白い目のような模様がありますが、あれは目ではなく、あくまで模様で、「アイパッチ」と呼ばれています。
本物の目はアイパッチのすぐ下にあります。
このアイパッチの存在理由については、水中で魚の形に見せてイルカやアザラシを呼び寄せるとか、急所である目を誤認させるためなど諸説あります。
視力は海洋生物としては高く、人間で目が悪い人並の0.18程度です。
シャチの性格は?
シャチの性格はかつて「温厚」と言われていますが、今ではその「凶暴性」も認識され、熱心にその生態について研究が進められています。
水族館でのシャチは観客に癒しを与えていますが、一方でキラーホエールとも言われていたり、学名のOrcinus orcaは「冥界からの魔物」を意味するように、人間にとってどう猛なハンターと認識されていた歴史があります。
一つ考えられていることが、凶暴性のトリガーが「ストレス」なのではないかと言われており、ストレスフリーな環境で飼育することで凶暴性の発現を防げるのではないかと研究されています。
シャチは最強!?強すぎる理由をご紹介
「冥界からの魔物」とも言われているシャチですが、実際海では最強の生物と言われています。
この章ではそんなシャチの強さの秘密を紹介し、さらに海洋生物でも強いと言われているサメ、そして陸上最強生物のシロクマとの比較をしていきます。
海の生態系の王者、シャチ
シャチは海の生物の中で最も強いと言われています。
まず、噛む力は動物界でもトップクラスに強く、それゆえにハンティングにおける殺傷能力も高いです。
また、シャチの巨体とそれに似合わないほどのスピードも王者と言われる理由の一つです。体長は6m弱あり、体重は平均で4~5tです。
それなのに時速65kmほどの速さで海中を移動するので、巨体による突進力と咬合力で海の生態系の頂点に君臨しています。
シャチvs人喰いサメ:勝敗の決め手は骨格!?
では、海の王者シャチと海の殺し屋ホオジロザメとではどちらが強いのでしょうか。
実は、軍配は圧倒的にシャチに上がります。ほぼ勝負にならないほどです。
まず、体格差でシャチに軍配が上がります。シャチの体長はホオジロザメの兵器展的な大きさの2倍ほどあるので、突進した時の力はシャチが圧倒的に強いです。
一方の噛む力ではホオジロザメが約600kgに対してシャチが約300kgと半分ほどです。
殺傷力に直接結びつく咬合力がシャチの方が低いのになぜ、シャチが圧勝するのかというと、それはスピードと骨格です。
シャチは時速65kmほどで泳げるのに対して、サメは時速25kmなので、シャチの動きにサメはついてこれません。
また、骨格的にサメは軟骨魚類のため、肋骨がありません。なので、シャチが下から突き上げると簡単に内臓破裂で致命傷を負ってしまうのです。
シャチの方が動きが早いのでこの差は致命的です。よって、軍配はシャチに上がるのです。
シャチがシロクマの天敵!?
海の王者がシャチならば、陸上最強生物シロクマとはどうなのかというと、これもまた圧倒的にシャチです。
実はシロクマを捕食する、いわゆるシロクマの天敵というのがシャチなのです。
シロクマは泳ぎが得意ですが、海中でのシャチとは勝負になりません。
シャチの方は積極的にシロクマを捕食するわけではありません。
陸上生物の肉はアンモニア臭がするため、アシカやオットセイ、クジラやイルカなどの海洋哺乳類をシャチは主に食べています。
シャチの高すぎる知能
シャチの身体的な強さは他の追随を許さないほど圧倒的でした。
しかし、シャチの強さは体型や筋力だけではありません。シャチは知能もかなり発達しており、知略をめぐらして狩を行う頭脳プレイヤーなのです。
氷の上に逃げたアザラシを狩るために、ヒレで氷に海水をかけ氷を小さく溶かしていく様子が記録されていたり、魚をあえて逃し、その魚を食べに来たより大きな海鳥を捕食することもあります。
まさに海の王者と言えるでしょう。
シャチの天敵は人間
では、シャチにとって天敵はいないのかといえば、実はいます。それが人間です。
人間は体格も泳力もまるでシャチには敵いませんが、唯一圧倒的に勝っているのが頭脳です。
人間はその頭脳でシャチを観察し、水に入らなければ勝機があると分析し、シャチを殺すための道具をつくることができます。
人間の大きく進化した脳こそが、シャチの唯一の脅威となるのです。
海の王者シャチはまだ謎だらけ
ここまでシャチの強さについてご紹介してきました。泳力、体格、咬合力、知力これらの能力が高いことこそがシャチの強さの理由でした。
ところが、シャチの生態はまだまだわかっていないことが多いです。
今後、シャチの新たな一面、新たな強さが明らかになるかもしれません。
そのためにも我々人間が持つ発達した頭脳で、もっとシャチ理解し、そして守っていかなくてはならないのです。