モウドクフキヤガエルの生態と天敵とは?ヤドクガエル科の猛毒界のエース!

その他の危険生物

金色でとても綺麗なカエルが中南米コロンビアのジャングルにいます。

名前はモウドクフキヤガエル。なんとも物騒な名前ですが、その名の通り猛毒です。

ただの猛毒ではなく、世界最強の猛毒です。この記事ではそんなモウドクフキヤガエルの生態や毒性についてご紹介していきます。

モウドクフキヤガエルの基本情報

モウドクフキヤガエルの写真出典画像:Wikipedia

  • 学名:Phyllobates terribilis
  • 分類:無尾目ヤドクガエル科フキヤガエル属
  • 分布:コロンビアの固有種
  • 体長:5~6cm

モウドクフキヤガエルの生態

地球上で毒を持っている生物を挙げる場合、ヘビやクモについで「カエル」が出てくると思います。

その場合のカエルは「ヤドクガエル」です。ヤドクガエルは地球上に役200種類以上いて、それぞれ体色がバラエティに富み、その色あざやかな体色は「自分は毒を持っている」ということを相手に感じ取らせる警告色です。

そしてこの警告色を利用した無毒のヤドクガエルもいます。「ヤドクガエルはすごい色をしている」という捕食者の記憶は、無毒ではあるがあざやかな色をしているヤドクガエルをも守るのです。

ただし、そういった無毒性、または微毒性のヤドクガエルはヤドクガエルの中でほとんどと言われています。

しかしそんな無毒のヤドクガエルが生き残れるほど、「ヤドクガエルの毒は危険という記憶」は捕食者には強烈なのです。

そしてモウドクフキヤガエルはヤドクガエルの仲間で、オタマジャクシの世話をすることを特徴とします。

ただ、もう一つ際立った特徴があり、それは「ヤドクガエルの中で最強の毒を持つ」ということです。

モウドクフキヤガエル|最強の毒を持つヤドクガエル

モウドクフキヤガエルの毒はヤドクガエルの中で最強、そして生物界でも最強の毒性の部類に入ります。

それは、学名を「恐ろしいフキヤガエル【hyllobates terribilis】」と呼ばれるほどです。

モウドクフキヤガエルの毒性と矢毒の威力

モウドクフキヤガエルの持つ毒素はアルカロイド系の神経毒のバラコトキシンです。

この毒は生物界にある毒性の中でも「最強」と呼ばれるほどに強く、青酸カリの1000倍とも言われています。人間の致死量は0.01mg、1匹のモウドクフキヤガエルで大人10人を殺せるほどの毒を持ちます。

この毒は神経毒で、人間の神経と神経の連携を阻害し、混乱した神経伝達は筋肉の動きをストップさせ、呼吸器官や心筋の収縮運動すら麻痺させます。

この毒はモウドクフキヤガエルの皮膚を覆い、食べた者はもちろん、触れたものの命すら危機に陥れます。

現地ではモウドクフキヤガエルの皮膚の毒を矢じりに塗り、毒矢として狩に使います。人間10人を殺傷できる毒なので、この毒矢を受けた動物は大型のシカですら行動不能にし、昏睡状態にします。

モウドクフキヤガエルの天敵は?

アルカロイド系の神経毒のバラコトキシンを持つモウドクフキヤガエルは生物界でも最強と言われるほど強い毒を持っています。

ですが、そのモウドクフキヤガエルを食べる、いわゆる天敵がいます。それはノハラツヤヘビ属のヘビです。

このノハラツヤヘビ属のヘビは中南米に生息しているマイマイヘビ科のヘビで、このヘビだけがモウドクフキヤガエルの持つバラコトキシンに耐性を持っています。

そして、このヘビはモウドクフキヤガエルが大好物なのです。まさにジャングルの中の唯一の天敵です。

モウドクフキヤガエルの毒はどこからくるのか

コブラやタランチュラなど、毒グモや毒ヘビはもともと体の中に毒を生成する器官を持ち、自前の毒で獲物を捕食します。

一方、フグや毒鳥で知られるピトフーイなどは餌となるものが持つ微量の素を捕食を通じて体内に蓄積させて使います。

モウドクフキヤガエルはハエやコオロギ、アリやシロアリ、カブトムシやカナブン、ホタルのような甲虫を食べます。

これらの昆虫は植物が持つごく微量な毒を体内にわずかながら溜めています。そしてそれらの昆虫をモウドクフキヤガエルが食べて毒素を集約するのです。

フグも同じ理屈で猛毒テトロドトキシンを体内に蓄積するので、養殖のフグは無毒な人工餌を食べさせられているので無毒のフグが出来上がります。

モウドクフキヤガエルも同様に、人工餌を食べさせ続ければ体内に毒は蓄積せず、無毒のモウドクフキヤガエルが出来上がります。


モウドクフキヤガエルの飼育は可能か?ペットにして大丈夫?

前述の通り、モウドクフキヤガエルは飼育し、人口の無毒の餌を与え続けることで、体内の毒素は枯渇し、無毒なモウドクフキヤガエルになります。

ところが、このモウドクフキヤガエルは絶滅が危惧されている生物なのです。個体数の減少の原因は人間による森林の開拓が生息域を減らしてしまったからです。

そんなモウドクフキヤガエルをペットにしたいということであれば現地の業者にオファーを出し、その業者が現地の担当局に許可をもらい、初めて手元に届きます。

なので、手に入れることのハードルが高いのです。飼育方法は温度を25~27度、湿度は70%に設定し、水場と植物を配置した45cm四方のケージを用意して、市販の餌を与えます。餌は週に5〜7回です。

基本的にモウドクフキヤガエルに触るのはNGで、無毒の状態になったかどうかの判断方法が無いのと、そもそも人間の体温がモウドクフキヤガエルにとっては熱すぎるので多大なストレスになってしまうからです。

ただ、生き物としての丈夫さはあるので、比較的買いやすいペットとして取引されています。

モウドキウフキヤガエルのまとめ

今回は自然界で最強の毒を持つモウドクフキヤガエルをご紹介してきました。

その毒はフグ毒よりも強く、狩に使われるほどの猛毒です。

そんな世界最強の毒を持つモウドクフキヤガエルにも天敵がいて、モウドクフキヤガエルを好物として捕食するのですから、自然とはよくできていると感心させられます。

モウドクフキヤガエルの特効薬はできていません。ところがこのノハラツヤヘビ属のヘビは耐性があります。どういうメカニズムで耐性を持つに至ったのか、耐性の正体を突き止めるために研究が進んでいます。

そしてこの研究が無意味なものにならないよう、この色あざやかな色のカエルがジャングルで生き延びていくことを願っています。

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