キリンもカバもおっとりしていて、アフリカの大地をのそのそ歩いてそうなイメージがありますね。
ところが、どちらもアフリカの大草原で出くわしたら危険な生物なのです。
では、キリンとカバはどちらが強いのでしょうか。
この2種類の危険生物の生態からどちらに軍配があがるのかを検討してみたいと思います。
目次
キリンの生態
キリンといえば動物園でも人気の動物で、子供に動物園の絵を描かせれば、ほぼ間違いなく描かれる動物です。
キリンに対するイメージとしては「おっとりしていて」「大人しそう」というところじゃないでしょうか。
ところが、実際のキリンはそんなになまやさしくはありません。むしろ、サバンナで遭遇したら逃げるべき動物であり、警戒を怠ってはいけません。
さもなければ命すら落としかねないのです。
この章では、そんなキリンの生態と危険性についてご紹介していきます。
出典画像:Wikipedia
- 学名:Giraffa camelopardalis
- 分類:偶蹄目キリン科キリン属
- 分布:アフリカ中部以南
- 体長:4.7~5.3m
- 体重:800~1930kg
キリンの強さ|驚異のキック力
まず、キリンで警戒しなければならないのは、強力なキックです。
キリンはおっとりしたイメージとは裏腹に、時速50kmで走ることができます。それも体重は平均で1t近くあるので、1tほどの体重を支えながら時速50kmで走ることができる強靭な「脚力」があるのです。
この脚から繰り出されるキックは天敵でもある百獣の王ライオンを一撃で蹴り殺すほど強力で、ライオンもキリンと1対1なら勝ち目はかなり低く、襲うにもかなりリスクが伴う獲物といえます。
なので、ライオンがキリンを襲うときは夜間に一頭だけはぐれて眠っているキリンか、子供のキリンです。
これほどまでにライオンを警戒させるほどキリンの強烈な蹴りは危険なのです。
キリンの強さ|しなる首の一撃は致命的
キリンの蹴りはライオンを一撃で殺してしまうほど強力ですが、前方か後方の限られた範囲しか攻撃することはできません。
では、側方から奇襲すればどうかといえば、それもまた危ないのです。
なぜなら側方含めキリンの半径2~3mはキリンのもう一つの武器の攻撃範囲内だからです。
キリンのもう一つの武器、それはムチのようにしなる首から繰り出される一撃です。
キリンの首の一撃は主にオス同士が繁殖期にパートナーを巡って戦う際に使われるものですが、肉食獣や自分に敵対する相手にも使います。
その威力はというと、キリンの首はおよそ200kgあるとも言われているので、普通に考えて数百kg〜1tほどの威力はあると考えられます。
ライオンも不用意に近づくと致命傷を負いかねないのです。
カバの生態
キリン以上に穏やかなイメージのある動物がカバです。
のそのそ歩いて、川で大あくびをしているイメージを誰しも持っているのではないでしょうか。
ところが、カバに関して恐ろしいデータがあります。
それはアフリカにおいて「年間で最も人を殺している動物」がカバであるということです。
年間で500人はカバの襲撃を受けて亡くなっているのです。
カバの生態は決しておっとりしてはいません。キリン同様、アフリカで遭遇したら最高レベルに警戒し、居場所を常に確認しなくてはならない生き物です。そうでないと、手遅れになってしまうのです。
出典画像:Wikipedia
- 学名:Hippopotamus amphibius
- 分類:偶蹄目カバ科カバ属
- 分布:アフリカ中部以南
- 体長:3.5~4m
- 体重:1.5t
カバの強さ|ワニも真っ二つな咬合力
カバで最も警戒されるのは、それはトレードマークでもある大きな口です。
この口は最大で150度も開口することができます。この大きく開くことができる口こそがカバにとっての最大の武器であり、その噛む力である咬合力は推定約1t。
川のどう猛なハンターでもあるワニの硬い皮ですら突き破り、真っ二つに引き裂いてしまうほどです。
また、カバは自分の縄張りに入ったものがたとえ陸上最強生物であるゾウであろうと襲いかかるほどに気性が荒いのです。
カバの強さ|逃げようにも逃げきれない
カバは分類的には偶蹄目に分類され、よく知られている同種族の動物としてはウシやキリンです。
走ることは奇蹄目のウマやサイに比べると得意ではないのですが、それでも最高速度は陸上で時速30kmにも達し、さらに泳ぐとなると時速60kmも出せるのです。
なので、サバンナでカバを見つけたら目を離さず常に居場所を把握しておく必要があるのです。
そうでないとあっという間に襲い掛かられてしまうのです。
カバの強さ|頑丈な皮膚
カバの強さは攻撃面だけでなく、守備面でも優秀です。
カバの皮膚は1.5~4cmほどの厚さとその下の脂肪層が3~5cmあります。
また、皮膚はゴムのような弾力性があるため、肉食獣の牙ですら受け付けないのです。
キリンとカバ、どっちが強い?
ではキリンとカバどちらが強いのでしょうか。
攻撃範囲に死角なしのキリンなのか、怒らせると手がつけられない殺人マシーンのカバなのか。
答えは実はカバが優勢なのです。
決め手は足元
キリンは前後を強力な蹴りで、それ以外の部分を首のムチで攻撃することができます。
どれも強力な一撃を放つことができ、弱点がないように思えます。
ところが、キリンの特徴でもある、その高い身長と長い脚が大きな弱点となってしまうのです。
なぜなら、カバがキリンの脚に噛み付くことができれば、キリンは地面に倒れ、カバの強力な咬合力の餌食になるからです。
キリンも足元に入られないように応戦しますが、ライオンやほかの肉食獣と違い、カバは皮膚が厚く、多少の打撃にも耐えることができます。
なので、カバが蹴りに耐えつつキリンの脚を崩すことができれば十分勝機があり、言い換えると、キリンは防戦をするしかないことになります。
よって、どちらが強いのかといえば、カバが優勢となります。
キリンvsカバのまとめ
どちらもイメージとはかけ離れた生態を持っていました。
なぜここまで強くならなければならなかったのか。
それはどちらもそこそこ大型の草食動物だからです。サバンナは過酷です。食べ物も限られ、そして草食動物にとっては肉食動物という脅威がいます。
なので、自衛のために強力な一撃を持つという選択をしたのがカバやキリンなどの大型草食動物なのでした。