ハイエナと聞いて一番初めに思い浮かぶのはブチ模様が特徴のブチハイエナではないでしょうか?
ブチハイエナは一般的なハイエナのイメージとは違い、狩りが得意でその成功率は60%ともいわれています。
対して百獣の王ともいわれるライオンの狩りの成功率は20%ほどです。
この数字だけみるとブチハイエナって実はすごく強いんじゃないか?と思いますが、ライオンが天敵でせっかく捕らえた獲物を横取りされてしまうこともしばしばあるようです。
今回はそんなブチハイエナの他にも、シマハイエナ・カッショクハイエナ・アードウルフという全部で4種類のハイエナ達の生態や性格についてご紹介します。
一番強いハイエナはやはりブチハイエナなのか?それとも他にも強く逞しく生きているハイエナがいるのか?詳しくみていきましょう。
ハイエナの種類
ハイエナは全部で4種類しかいません。
ブチハイエナ・シマハイエナ・カッショクハイエナそしてアードウルフです。
ハイエナに共通する特徴は、後肢よりも前肢が発達して長さも長く、腰が下がっているように見えるところです。
そして、見た目はイヌのように見えますが、ジャコウネコ科の近縁種なのでネコに近い動物です。
また、アードウルフを除くブチハイエナ、シマハイエナ、カッショクハイエナは顎の力が強く、消化器官も強靭なため他の動物が残してしまうような骨も食べることができます。
そのため「サバンナの掃除屋」とも呼ばれています。
ブチハイエナの生態と性格
- 科名:ハイエナ科
- 体長:95~165cm
- 分布:アフリカ大陸
- 環境:草原
- 危険な部位:顎の力が強力。噛みついた相手の骨まで砕ける。
ブチハイエナはハイエナの中で最大の大きさになります。
メスの方がオスより一回りほど大きく、肉食の哺乳類の中でも異例です。
体毛は褐色または灰褐色で黒い斑点模様が特徴です。このことから、マダラハイエナとも呼ばれます。
夜行性で昼間は木陰などで休んでいます。
クランと呼ばれる群れで生活をしており、コミュニケーション能力が高く12種類の鳴き声を使い分けているそうです。
獲物を捕まえると他の仲間に伝えるために、人の笑い声に似た鳴き声を出すためワライハイエナという異名もあります。
狩りは群れの仲間と協力して行い、シマウマやヌーなどを捕らえます。実は、積極的に狩りを行うのはブチハイエナのみです。
ブチハイエナは強力な顎と抜群のスタミナを使って獲物を追い詰めます。
しつこく、粘り強く追いかける性格のせいか狩りの成功率は60%にもなり、他のチーターやヒョウなどのハンターよりも成功率が高いです。
また、獲物の骨まで残さずに食べることが出来ますが、骨は非常食として巣の周りに持ち帰るようです。
ブチハイエナは体が大きく力も強いため、天敵はライオンのみと言われています。
ライオンには体の大きさで負けてしまうため、獲った獲物を横取りされてしまうこともあるようです。
シマハイエナの生態と性格
- 科名:ハイエナ科
- 体長:100~120cm
- アフリカ大陸、ユーラシア大陸(インド~アラビア半島)
- 環境:草原
- 危険な部位:顎
シマハイエナは唯一アジア圏まで生息しています。パキスタンでは標高3000mの高地でも生息が確認されています。
白や淡い褐色に黒色の縞模様が特徴です。体の大きさはオスの方がわずかに大きくなります。
基本的に夜行性で単独で行動し、主にチーターやライオンなど他の肉食獣が食べ残した死肉を食べます。
ブチハイエナと同様に顎の力が強いので、他の動物たちが食べることのできない骨もバリバリ食べます。
死肉が見つからないときは、自ら小動物を狩ったり果実などを食べます。
また仲間と協力してヤギやヒツジなどの家畜を襲うこともあります。
性格は穏やかで、危険を感じると威嚇してきますが、襲ってくることは少ないようです。
天敵はライオンやブチハイエナなどですが、一番の天敵はヒトです。生息地の開発が進み、個体数を減らしています。
カッショクハイエナの生態と性格
- 科名:ハイエナ科
- 体長:110~140cm
- 分布:アフリカ大陸南部
- 環境:砂漠、サバンナ
- 危険な部位:顎
カッショクハイエナは黒く長い体毛が特徴です。頭部のみ短い毛に覆われています。
昼間に行動することもありますが、基本的には夜行性です。
体の大きさはオスの方がわずかに大きくなります。
ブチハイエナのように群れで生活をし、シマハイエナと同様に主に他の動物たちの食べ残しを食べます。
一般的な死肉を漁るというハイエナのイメージに一番近いハイエナです。
嗅覚がするどく、2km先にある死肉も判別できるといわれています。
獲物が少ないときは、小動物などを狩りますが、あまり得意ではなく狩りの成功率は低いようです。
またカッショクハイエナは害獣として駆除されることもあり、現在は絶滅危惧種に指定されるほど個体数を減らしています。
アードウルフの生態と性格
- 科名:ハイエナ科
- 体長:55~80cm
- 分布:アフリカ大陸
- 環境:草原、サバンナ、低木林
アードウルフは黄褐色に黒い縞模様が特徴です。大きさはハイエナの中では一番小型です。
夜行性で昼間は巣穴に隠れています。
ウルフと名付けられていますが、耳が尖っていてキツネのようにも見えますね。
日本ではツチオオカミとも呼ばれ、地下に穴を掘ったりツチブタなど他の動物が使っていた巣穴を再利用して、単独かペアで生活をしています。生涯にわたり同じパートナーと生活するようです。
また、他のハイエナは前肢が4本指ですが、アードウルフは5本指です。
アードウルフは他のハイエナと違った特徴が多いですが最大の違いは、シロアリを食べる昆虫食だということです。
他のハイエナ達のように狩りをしたり、動物の死肉を食べることはありません。
シロアリを主食としているため、舌が長く粘着質を持っている一方で、歯は退化してしまいほとんど生えていません。
ハイエナを強い順番に並べると
ハイエナ達を強い順番に並べてみると
1位、ブチハイエナ
2位、シマハイエナ、カッショクハイエナ
4位、アードウルフ
というふうに筆者は結論を出しました。
ブチハイエナはライオンにも引けを取らない強さを誇っています。我々、人間が野性下で出会ってしまったら一番危険な種類だと思います。
シマハイエナ、カッショクハイエナは同率2位です。ブチハイエナほど気性が荒くはないものの、動物の骨をかみ砕く顎の強さを持っています。万が一噛まれてしまったら、噛まれた部分はあきらめるしかありません。
アードウルフは危険性などから見ると最下位ですが、食欲からみると1位に躍り出るかもしれません。シロアリを1週間でで300,000匹食べてしまうほど食欲が旺盛です。シロアリに困っている方はアードウルフがいればすぐに解決しそうですね。
まとめ
ハイエナと一口にいっても自分で狩りを行うハイエナと他の動物の食べ残しを漁るハイエナ、
そして意外な昆虫を食べるハイエナと食性がさまざまです。
また群れで暮らすもの、単独で生きるもの、生涯パートナーを変えないもの、
生活面からみてもハイエナはたったの4種類しかいないのにそれぞれ異なっていますね。
それぞれが自分を取り巻く環境に応じて進化していった結果だと思います。
ハイエナ達はみな強く逞しく生きています。これからも、環境変化に負けずに強く生きていって欲しいものですね。