人間を刺す蜂で最も危険なのがスズメバチです。
スズメバチは攻撃的な蜂で、協力なあごで噛みつき、腹部の先にある毒針で何度も刺すことができます。毎年スズメバチによる死亡事故がおこっていて、死因のほとんどが毒によるアレルギー症状です。
スズメバチは日本には17種がいます。巣やえさ場に近づくと人間や動物を集団で攻撃することもあります。
刺されると、激しい痛みを感じた後、頭痛がしたり、気分が悪くなったりします。刺されたら、死亡することもあるのですぐに病院に行きましょう。
山などに行くときはもちろん、人家の近くに巣をつくるものも多いので注意が必要です。この世界最大をほこるオオスズメバチには、虫除けもほとんど意味がありません。
出会ったら静かにその場を立ち去りましょう。
今回は、そんな危険なスズメバチの種類と危険度をご紹介します。また、巣の見分け方や大きさを写真でわかりやすく解説します。
この記事を読んで、スズメバチから自分の身を守りましょう。
目次
スズメバチの種類と巣を写真で解説
スズメバチの巣は、種によってある程度決まった場所につくられます。オオスズメバチやクロスズメバチなどは、木の空洞の中や地中につくります。キイロスズメバチやキオビホオナガスズメバチなどは、樹上や人家につくります。巣を見かけても、絶対にむやみに近寄らないようにしましょう。
オオスズメバチ
出典写真:グッドぐんま 2
- 科名:スズメバチ科
- 体長:25〜44mm
- 分布:北海道〜九州、対馬、屋久島
- 巣を作る場所:土の中の空間、木のろうなど
- 成虫が見られる時期:4〜10月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、蜂の中でも最大最強です。
攻撃性も非常に高いです。キイロスズメバチやモンスズメバチなどの巣をおそって絶滅させることもあります。知らずに巣に近づいた人間が攻撃される事故が毎年おきています。たくさん刺されると命にかかわります。腹部の1本目の帯が黄色です。
オオスズメバチの巣
オオスズメバチの巣は土の中に作られることが多く、モグラが掘った穴を利用することもあります。
出典写真:すずめばちや
オオスズメバチは林にすみ、木の穴や地中に大きな巣をつくります。昆虫類をおそうほか、樹液や果物に集まります。巣が大きくなる9〜10月は興奮しやすく、攻撃性が強いので近くを通るのは大変危険です。
オオスズメバチの見分け方は、とにかく大きいです。そして、他のスズメバチと同様に腹部からおしりにかけて黄色と黒の縞模様が入っています。
キイロスズメバチ
出典写真:Wikipedia
- 科名:スズメバチ科
- 体長:17〜26mm
- 分布:北海道〜九州、屋久島
- 巣を作る場所:家の軒下、壁の間、屋根の裏、土の中の空間、木のうろ、崖など
- 成虫が見られる時期:4〜11月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
都市で、もっともふつうに見られるスズメバチです。
都市部や住宅地などによく巣をつくり、衛生害虫として駆除されることが多いです。巣は大きく、攻撃性も高いです。飼育中のミツバチをおそうこともあります。全体的に黄色い蜂で、ジュースの缶に入っていることもあるので注意しましょう。
キイロスズメバチの見分け方としては、全体に黄色っぽく、金色の毛が生えているのが特徴です。また、胸の外側が黄色です。
キイロスズメバチの巣
出典写真:都市のスズメバチ
キイロスズメバチの巣は家の軒下や雨戸の中、屋根裏などでよく見つかります。近づくと攻撃してくるので多くの被害が発生しています。丸い形で、50㎝以上もの大きさになることもあります。
チャイロスズメバチ
出典写真:東京23区内の虫
- 科名:スズメバチ科
- 体長:17〜29mm
- 分布:北海道、本州
- 巣を作る場所:土の中の空間、木のうろ、家の壁の間、屋根裏など
- 成虫が見られる時期:6〜11月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
女王蜂は、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取るかわった習性をもっています、そして、その巣の働きバチに自分の幼虫を育てさせます。また、他のスズメバチよりも冬眠から目覚めるタイミングがワンテンポ遅いため、新女王蜂や雄蜂が生まれるタイミングも少し遅くなります。高い攻撃性と威嚇性がある非常に危険なスズメバチです。
チャイロスズメバチの見分け方は、体の色が黒と濃い茶色をしており、他のスズメバチに見られるような黄色と黒の縞模様はありません。
チャイロスズメバチが乗っ取ったキイロスズメバチの巣
チャイロスズメバチは、モンスズメバチ、キイロスズメバチ等の巣を乗っ取ることから「社会寄生性スズメバチ」と呼ばれています。
写真は、乗っ取ったキイロスズメバチの巣で営巣するチャイロスズメバチの様子です。
キオビホオナガスズメバチ
画像写真:北の森での散策日記
- 科名:スズメバチ科
- 体長:14〜22mm
- 分布:北海道、本州/ユーラシア
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
ユーラシアに広く生息するスズメバチで、日本では本州の北の方と北海道で見られます。暖かいところはあまり好きではないようです。女王蜂と働き蜂で大きさと色に違いがあります。女王蜂は働き蜂より大きくキイロスズメバチに似ています。
キオビホウナガスズメバチの見分け方は、他のスズメバチよりも黄色の縞が細いのが特徴です。
キオビホオナガスズメバチの巣
出典写真:こんなものを見た
庭の樹木や人家の軒下に灰色の和紙のような質感の巣をつくります。怒りっぽい性格で巣の1~2mくらいまで近づくと刺される危険性がありますので注意しましょう。
コガタスズメバチ
写真出典:ついでの鳥見人のFiled note
- 科名:スズメバチ科
- 体長:21〜29mm
- 分布:北海道〜九州、南西諸島
- 巣を作る場所:木の枝、家の軒下、崖など
- 成虫が見られる時期:4〜10月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
コガタスズメバチは都会の周辺でよく見られます。昆虫やクモをとらえるほか、花にも集まり、庭のツバキやサザンカや人家の軒下などに巣を作ります。おとなしい種ですが、巣をこわしたり刺激したりすると攻撃してきます。樹液にもよく集まります。
攻撃性は他のスズメバチと比べるとやや低く、巣に振動などの刺激を与えない限り、攻撃してくることはほとんどありません。
コガタスズメバチの見分け方として、腹の黒帯が広いのが特徴です。
コガタスズメバチの巣
写真出典:ついでの鳥見人のFiled note
コガタスズメバチの巣は、とっくりをさかさにしたような形をしています。働きバチが増えてくると、つつの部分が壊されて巣は丸くなります。
モンスズメバチ
出典写真:Wikipedia
- 科名:スズメバチ科
- 体長:19〜28mm
- 分布:北海道〜九州
- 巣を作る場所:木のうろ、土の中の空間、家の屋根裏、壁の間など
- 成虫が見られる時期:4〜10月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
モンスズメバチは、林の近くで見られ、木の穴や屋根裏、かべの隙間などにつりがね型の巣をつくります。スズメバチの仲間では、最もおそい時間まで活動します。明かりがある場所では午後9時をすぎても活動が見られますので注意が必要です。攻撃性がとても高く、巣の近くを通っただけでも刺されることがあります。モンスズメバチは、幼虫にあたえるために、セミ類を好んで狩ります。
モンスズメバチの見分け方としては、腹のすじが波打っているのが特徴です。
ヒメスズメバチ
画像出典:Wikipedia
- 科名:スズメバチ科
- 体長:25〜35mm
- 分布:本州〜九州、南西諸島
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
名前にはヒメとついていますが、体のサイズはオオスズメバチにつぐ大きさです。アシナガバチのみを獲物とします。巣は体の大きさの割には小さく、天井裏など閉鎖された空間を好んで作ります。おとなしい種で巣に近づいたくらいでは攻撃してこず、カチカチと音を出して威嚇してきます。もちろん、巣を刺激すると攻撃してきますので、ちょっかいを出すのはやめましょう。
ヒメスズメバチの見分け方は、腹の先が黒いのと、腹の一部分が赤くなっているのが特徴です。
クロスズメバチ
出典画像:Wikipedia
- 科名:スズメバチ科
- 体長:10〜15mm
- 分布:北海道〜九州、屋久島、種子島
- 巣を作る場所:木のうろ、土の中の空間など
- 成虫が見られる時期:4〜11月
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
地中に巣をつくる小型のスズメバチです。体が小さく攻撃性も弱いですが、知らずに巣に近づくと刺されることがあります。また、ジュースなどを飲んでいると集まってくることがあり、追い払おうとして刺される事故がおきています。
クロスズメバチの見分け方としては、帯が白いのが特徴です。
ツマアカスズメバチ
画像出典:毎日新聞
- 科名:スズメバチ科
- 体長:約20〜30mm
- 分布:中国南部、東南アジア、インド北部
- 危険な部位:おしりの毒針
- 危険度:
ツマアカスズメバチは、中国や東南アジア原産のスズメバチで、ミツバチを好んでおそいます。ヨーロッパや韓国に侵入して、ハチミツをつくるためのミツバチをおそっていることが問題になっています。
ツマアカスズメバチの見分け方は、名前の由来になっているように全体的に黒色なのに対し、おしりの先端のみ赤味を帯びた色をしています。
スズメバチに刺された時の対処法
スズメバチの毒には激しい痛みをあたえる毒(小さな毒)と、赤血球や体の細胞をこわすタンパク質などの毒(大きな毒)があります。頭痛や気分が悪くなるほか、様々な症状がおこります。
スズメバチに刺されても、アナフィラキシーショックなどの特別な症状が出なければ、命にかかわる心配はほとんどありません。刺された場所から十分にはなれた安全な場所で、落ち着いて手当をしましょう。
こわいのは、タンパク質などの毒で、吐き気、呼吸困難、意識がうすれるなどの強いアレルギー反応をおこしたときです。これはアナフィラキシーショックという症状で、死亡することがあります。前に刺されたことのある人は特に注意が必要です。刺されたらすぐに病院に行きましょう。
アンモニアやおしっこをかけても効果はありませんので注意が必要です。
- 刺されたところを水でよく洗います。
- 傷口をつまんで、毒を絞り出します。口で吸い出すのはやめましょう。
- 腫れた痛みをやわらげるには、冷やすのも効果的です。
- はれや痛みがひどい時は、病院で薬を出してもらいましょう。
スポイトのように毒を吸い出す専用の道具もあります。薬局やアウトドアショップで買えます。