尻尾を振り「カラカラ」と威嚇音を鳴らして近付いてくる恐怖の毒ヘビ。
そうガラガラヘビです。
生息地であるアメリカでは、その毒の強さから非常に恐れられています。
もし噛まれてしまったら、どのような症状があらわれるのでしょうか?
また、そんな時の対象法は?
今回はこのガラガラヘビについて、生態などの解説とともにこれら疑問にもお答えして参ります。
目次
ガラガラヘビ
ガラガラヘビというのは「有鱗目クサリヘビ科ガラガラヘビ属」に属するヘビの総称になります。日本に生息する「マムシやハブ」もこのクサリヘビ科に属します。
これら毒ヘビの中でもガラガラヘビは非常に強力な有毒性のヘビとなるのです。
有毒性のヘビとしては、クサリヘビ科の他にコブラ科とウミヘビ科などの種類も存在します。
因みにガラガラヘビは英名でも「rattlesnake(ガラガラ)」つまりガラガラヘビは和名・英名ともに「ガラガラヘビ」と言うことになりますね。
この名前の由来は赤ちゃんのガラガラから来ているとされていますが、単純に発する威嚇音・警告音の擬音化という説もあります。
ガラガラヘビの特徴
ガラガラヘビは南北アメリカ大陸に広く分布しています。
生息地は、草原や森林に砂漠、平地、高地など様々であらゆる環境に適応する能力を身に着けていますね。
ガラガラヘビには39もの種類(最も有力な説)の存在がありますが、種類によって大きさがかなり異なります。
比較的、毒ヘビの仲間では大型の種類が多く存在し、最大種となるヒガシダイヤガラガラヘビで240センチメートル程度にもなります。
また、最小種となるカロライナヒメガラガラヘビでは60センチメートル程度と実に4分の1程度、同じ種でありながらこれほどの差があるのです。
ガラガラヘビは毒ヘビの中でも非常に毒性が強く、毒の量も非常多く有することから危険な種として現地では恐れられています。
ガラガラヘビの最も特徴的とされるのは、尻尾の先にあるガラガラの音を発する部分になりますね。
危険を感じた時に、この尻尾を激しく動かして警告音として「ガラガラ(正確にはシャカシャカやシャーに近いです。)」と音を鳴らして相手を威嚇します。
この尻尾のガラガラと音を発する部分は、脱皮した時の抜け殻の残りになります。脱皮時に残った皮が尻尾の先端部分にくっついている状態ですね。
なので、生まれた際にはこの部分はありません。脱皮をするごとに1つずつ増えていきます。8個程が平均的で、これ以降は古いものから切り離されていきます。
振動させることでこの部分がぶつかり合いあの威嚇警告音が発せられる仕組みになります。上述のように音としてはガラガラよりは「シャカシャカやシャー」と軽快に表現した方が正しいですね。
因みにこの部分の中は空洞になっています。
ヘビが暗闇でも獲物を見つけ出すことができるのは「ピット器官」を持ち、そこで温度を感知出来るからなのです。
ガラガラヘビのそれは目と鼻の間に位置しているのですが、非常に優秀とされ狩りには役立つようです。
ガラガラヘビの生態
ガラガラヘビは種によって異なりますが、草原や森林など様々な環境に適応し生息しています。
食性は動物食の肉食性で、爬虫類や鳥類、小型の哺乳類などを捕食します。夜行性なので、日中は岩陰や穴などに潜み夜になると活動的になります。
ガラガラヘビの狩りは、静かに獲物に近付き素早く一噛みして毒を注入したら獲物が動かなくなるのを待ち捕食するパターンで、毒をもたないヘビのように巻きついて絞殺すような労力を使わない省エネ手法なんです。
獲物は他のヘビ同様に丸呑みしてしまいます。この有する毒は消化を助長する作用もあるとされているので、攻撃面と消化面で優れた効果を発揮するのですね。
繁殖は卵胎生で、雌はお腹で卵を孵化させて子供(幼蛇)を産みます。このことから生存率としては卵生に比べて高くなります。
ガラガラヘビは、毒ヘビであることから、非常に怖く攻撃的な性格と思われがちですが、実際には臆病な性格になります。
威嚇音・警告音はその表れで、狩り以外でガラガラヘビの方から攻撃を仕掛けるようなことは無いようです。勿論、危険が迫れば別です。毒を使って攻撃を仕掛けることになりますね。
ガラガラヘビの種類
前述のようにガラガラヘビというのはガラガラヘビ属に属する種類の総称で様々な種類が存在しています。
多説あるのですが、その種類は39種というのが一般的に言われている数字になります。
その中でもメジャーな種としては次のものではないでしょうか。
【メジャーなガラガラヘビの種】
- ヒガシダイヤガラガラヘビ
- ニシダイヤガラガラヘビ
- アカダイヤガラガラヘビ
- ヨコバイガラガラヘビ
ヒガシダイヤガラガラヘビ
ヒガシダイヤガラガラヘビは主にアメリカ合衆国東部に生息し、ガラガラヘビの中では勿論クサリヘビ科で最重量の種になります。
ガラガラヘビの仲間では最長にもなり240センチメートル程度の個体が確認されています。
この名前にあるダイヤですが、身体に施されるひし形(ダイヤモンド型)の模様からきていて、ダイヤモンドヘビには特徴としてこのひし形模様が入っています。
ニシダイヤガラガラヘビ
ニシダイヤガラガラヘビは主にアメリカ合衆国西部に生息し、こちらもヒガシダイヤガラガラヘビ同様に大型の種となり、個体の平均的数値ではヒガシダイヤガラガラヘビを上回ります。
アカダイヤガラガラヘビ
アカダイヤガラガラヘビは主にカリフォルニア半島に分布し、ダイヤガラガラヘビの中では比較的小型の種になります。
特徴的なところとしては、名前の通りに体色に赤みがかかっています。
ヨコバイガラガラヘビ
ヨコバイガラガラヘビは主にアメリカ合衆国西部に分布し、上述3種に比べては最も小柄な種になります。
移動する際にS字を描くように横に移動する様からこの名前が付けれています。
ガラガラヘビの毒性の強さと症状
ガラガラヘビの保有する毒は非常に強力な出血性の毒になります。
もう一方の毒ヘビの雄であるコブラ科とガラガラヘビのクサリヘビ科の毒は実は性質が異なるのです。
クサリヘビ科の細胞を破壊していく出血毒であるのに対して、コブラ科の毒は神経を麻痺させる神経毒になります。
しかし、実際にはクサリヘビ科の毒に神経毒が混ざっていたり、コブラ科の毒に出血毒が混じっていることもあるため主成分と考えた方が良いのかも知れません。
また、ガラガラヘビの毒には主成分である「出血毒」に加え上述の「神経毒」更には「筋肉毒」という成分が含まれることがあります。
筋肉毒は、筋肉痛のような症状が伴い最終的には多臓器不全で死に至ってしまうという恐ろしい毒になります。
「トラフガラガラヘビ」はガラガラヘビの種で最も強力な毒を有し威力はマムシの100倍程度(95倍と一般的には言われています)というのですから恐ろしいですよね。
出血毒に侵されてしまうと、噛まれたところからどんどんと細胞が破壊されていきます。出血と凄まじい激痛を伴い、血圧の低下、腎機能障害などが引き起こされます。
最悪の場合には多臓器不全で命を落とす危険性があるのです。
噛まれた時の対処法
もしもガラガラヘビに噛まれてしまったら、一刻も早く病院に行き手当をする必要があります。
時間と共に細胞の破壊が進み壊死してしまいます。
幸いにも、現在ではガラガラヘビの毒を中和する血清も多く存在するので、最悪の死に至るケースは減ってきているようです。
しかし、時間が経過してしまったり、毒の注入量が多い場合などには後遺症が残ったり一部切除手術を必要とする可能性もあります。これらを防ぐためにも一刻も早く病院で手当てを受ける必要があるのです。
また、病院で手当てを受ける際にはヘビの種類によって血清が異なるのでどの種類のヘビに噛まれたのかを伝えなければなりません。異なる種類の血清では中和効果がありません。
明確にわからなければ、ヘビの特徴や噛まれた場所などから判断することも出来るようです。
ガラガラヘビの天敵
このような恐ろしいガラガラヘビの天敵となる動物は存在するのでしょうか>
成長したガラガラヘビが襲われるということは滅多にありません。
身体が小さい内は、大型のトカゲやキングヘビ属のヘビなどの他にタカやワシなどの猛禽類がガラガラヘビを餌にしています。
また、アメリカでは日本のハブに対するマングースのようにガラガラヘビ対策としてクジャクを導入していますので、クジャクも天敵と数えて良いかもしれません。
日本にガラガラヘビはいるのか?
ガラガラヘビはもともとが南北アメリカ大陸に生息する固有種で日本ではその存在は確認されていません。
日本では、特定動物に指定されているので、飼育には政府の許可が必要となります。
このことから安易な飼育は出来ないので繁殖などの危険性は低いようですね。
特定動物
特定動物というのは、動物愛護管理法に基づき、「人の生命や身体、財産にとって有害とされる動物」として政府が定めた動物の種のことになります。
まとめ
今回、ガラガラヘビについて色々とご紹介をして参りました。
単純にガラガラヘビと言っても様々な種類が存在することに驚いてしまいました。
よくアメリカの映画に登場するので、存在や恐ろしさは知っていたつもりでしたが、改めてその恐ろしさを再確認出来ました。
日本でも、毒ヘビが存在し注意喚起はされていますが、ここまで規格外だとぞっとしてしまいますね。
もし旅行でアメリカに行かれる際には、このガラガラヘビには充分に気を付けてください。