「百獣の王と言えば?」その答えは言わずと知れた「ライオン」になりますね。
食物連鎖・生態系の頂点に君臨する最強の動物なんです。
人気の動物でも必ずTOP10には入って来るほどに知名度も人気も抜群!
集団で狩りをするシーンはテレビでもお馴染みですが、恐怖と共にライオン贔屓についつい見入ってしまいます。
そんなライオンですが、実は多くの種類が存在するまたは存在したことをご存知でしょうか?
今回はそんなライオンについて性格や生態、果ては最強の種はどれになるかなど掘り下げてみたいと思います。
目次
ライオン
ライオンは、食肉目ネコ科ヒョウ属に分類され、「百獣の王」と異名を持つ最もポピュラーな動物です。
別名(和名とする説もある)はシシ(獅子)、ネコ科ではトラに次いで2番目に大きな種になります。
あまり意識されることは無いですが、実はライオンは絶滅危急種であります。アジアは勿論、アフリカにおいもこの20年間で生息数が30から50パーセントになる程に個体数が減っております。しかも、専門家の間ではおそらくその回復は見込まれないと悲観的な意見が出ているのです。
国立公園や保護区以外での生息は絶望的とされる意見もある程です。その原因は生息地の減少や人間によるものと見られてはいますが、実施的なものは未だに解明されていません。
人間によるものとは少々考えさせられてしまいます。ライオンは古くより見世物として扱われ、現代でも動物園で断トツの人気を誇るのですから、因縁めいたものも感じてしまいますね。
当時は力の象徴としてライオンを従えるようなシチュエーションで、今の動物園では愛でるというニュアンスが強くその違いにおいては良いのですが…。
今では、世界規模でライオンを救うプロジェクトが始動し動物園同士でも協力しあってその繁殖と保護に取り組んでいるようです。
前述のように、一般的に強さの象徴とポピュラーな動物で、様々な文化においてこのライオンをシンボルとすることが多いのもその証となっています。例えば国獣として扱われている動物はライオンが最も多いようです。
彫刻や絵画、国旗や切手、映画に文学などでも広く扱われるなどライオン人気は世界共通のようで、古くは壁画などでも描かれています。
ライオンの特徴
「ライオンデータ」
- 分 類 食肉目 ネコ科 ヒョウ属
- 学 名 Panthera leo
- 英 名 Lion
- 体 長 雄170から250センチメートル程度 雌160から200センチメートル程度
- 体 重 雄150から250キログラム 程度 雌120から180キログラム 程度
- 尾 長 雄70から105センチメートル程度 雌60から100センチメートル程度
- 分布域 アフリカ大陸(サハラ砂漠以南)、インド北西部
- 生息環境 主にはサバンナや平原、茂みのある岩地
- 絶滅危惧種指定される
ライオンの分布域
ライオンの分布は現在ではサハラ砂漠以南のアフリカ大陸とインド北西部となりますが、かつては「アフリカ」「ユーラシア」「アメリカ」の3大陸で生存をしていて人間に次ぐ広さで世界に分布する大型の陸上哺乳類であったようです。
しかし次第に追いやられてしまい今の分布域とになってしまいました。
しかし、これも危ういようで、インドに分布するインドライオンは絶滅危惧種となっています。
これはアフリカのライオンにも起こっていることで、このままだと将来的には野生のライオンを見ることが出来なくなってしまう恐れもありますね。
ライオンの形態
ライオンはネコ科動物の中では種類による体格差はありますが虎に次ぐ大きさを誇り、またネコ科動物の中では比較的珍しく雄と雌で身体の形態が異なり、雄の方が雌よりも大きくなります。
特徴的なのは、雄の成獣にある長い鬣で頭部から肩・胸を覆うように生えています。この鬣がライオンの人気の秘密といっても良いかも知れませんね。
何故この鬣が存在するのか詳細は不明ですが、「身体を大きく見せる」や「防御の為」というのが定説になりつつあります。
子供の頃にはこの鬣はまだ生えていませんが、雄は1歳から2歳位になると鬣が生え始めます。それが立派になるのは5歳から6歳位で、初めは体色と同じ黄褐色ですが次第に黒くなっていきます。この黒い色は強さの象徴ともされているようですね。
身体の毛は短く体色は黄褐色(灰褐色もあり)で、おなかあたりは色が薄くなっています。耳は先が丸い形状をしていて後ろ側には黒い部分もあります。また尻尾の先も黒くなっています。この耳の後ろが黒いのは同じネコ科の大型動物虎にもありますが、子供が親の跡をついていく際の目印ではないかともされているようです。
また、子供のライオンは体に斑があり、大きくなると消えていきます。
その他特徴
同じネコ科のトラには体毛が白いホワイトタイガーが存在しますが、ライオンにおいても対応が白いホワイトライオンが生まれることがあります。これは遺伝的な要素が非常に強く影響しているようですね。
身体能力は非常に高く、普段は地面でゴロゴロとしていますが8メートルから12メートルにも及ぶ跳躍力に時速60キロで走ることができる脚力、飛び越えることができる高さも2.5程度なら軽く超えてしまうようです。
更には数百キログラムにもなる獲物を引きずることが出来るパワーに、泳ぎや中には雌や雄でも若い頃は木に登ったりもするようです。
この身体能力に加え8センチメートルにもおよぶ犬歯が生える強力な顎を持ち、大型の獲物も倒して狩ることが出来ます。
これらを武器に生態系の頂点に君臨するライオンですので成獣になれば外敵となるものは存在しません。しかし、同じライオン同士での争いで命を落とすこともありますし、小さな子供や病気や怪我で弱ってしまった個体は、ハイエナなどに襲われてしまうこともあるようです。
しかしもしかしたら、絶滅の原因となる人間がライオンにとっては一番の外敵かもしれませんね。前述のようにライオンは絶滅の恐れがある絶滅危惧種に指定されるほどにその生息数の減少はひどい状況なんです。
ライオンの生態
ライオンの寿命は動物園などの飼育下においては20年程度(25年を超える記録もあるようです)、野生下ではそれよりも短く10年程度と目されています。雄は争いなどで傷を負いやすく10年を超すのは稀で、雌の方が長生きする傾向にあるようですね。
生息地はサバンナや草原ですが、茂みや森などに潜んでいる場合もあるようです。
標高の高い山でも目撃がるようで、4000メートルを超す高地にもあらわれたようです。
一日のうちほとんどを寝そべるなどだらけて過ごしますが、もっとも活動的になるのは日没後でその間に狩りなどを行います。
ライオンは一夫多妻制で発情期も決まった時期がある訳では無く、3から4週間程度の間隔で発情するようですね。その妊娠期間は3カ月程度で1回に1頭から6頭くらいの子供を産みます。
離乳期間は7から10カ月程度で訪れ、雌で4歳雄では5歳程度で成熟性をします。
20から400平方キロメートルの縄張りの中で生活をします。この広さの差は、獲物の生息状況により違ってくるのです。ですので獲物が少なくなると縄張りを拡大していく傾向にあります。
縄張りの中では、群れで生活しますが小規模の群れに分散していることもあるようですね。
性格
ライオンは獰猛で凶暴なイメージがありますが、実はとても賢く性格的にも他のネコ科動物と比べると比較的穏和であるようで、ライオンがヒトを襲うことはあまりないようですが、ライオンによる犠牲者がいることも報告はされています。
群れ
ライオンは普通のネコ科動物と生活形態も異なり、プライドと呼ばれる群れを形成し、前述のように所有する縄張りの範囲内で生活をしています。
プライドは、以前は獲物が多いような場合には数十頭にもなる大きなものもあったようですが、今では1から2頭の雄(多くの場合が兄弟であることが多い)に数頭の雌と子供たちが集まる10から15頭程度のものがほとんどのようです。
また、雄は成獣になると群れから追い出されてしまうので、単独行動又は雄だけの群れなども見られるようですね。
このネコ科動物でライオンだけが何故群れを作るのかと言うことの詳細は分かっていませんが、狩の成功率を上げることが目的とされる向きが強いようです。
雄は重くて目立ちやすいため仮には向いておらず、群れの中で狩りをするのはもっぱら雌の仕事となります。一方雄には、群れを守るという大切な仕事があります。
このように群れの中で、雄と雌に明確な役割分担があるのもライオンならでは生態となります。
稀に外部の雄が戦いに勝利し群れを乗っ取ることがあります。その際、新しくリーダーとなった雄は群れの子供を殺す子殺しを行い、雌の発情を促し自分の子孫を増やそうとします。
食性と狩り
ライオンは言うまでもなく、食性は肉食で大型の草食動物を狩って食します。
この狩りの仕方も、他のネコ科の動物とは異なり仲間と連携したチームプレーで狩りを行います。とても賢く、追い立てる役と待ち伏せして捕まえる役とに分かれ、頭脳プレーの狩りを行うのです。
獲物となるのは主に大型の有蹄類でシマウマやヌーなどですが、時にはキリンや水牛若い象やカバまでも犠牲になることがあります。ただ、経験が浅く大型動物を倒せないようなライオンはウサギなどの小動物や鳥の卵、魚や爬虫類まで食することもあるようです。
また、狩りの成功率はそこまで高くないので時には死肉をむさぼる姿も目撃されているようですね。百獣の王が少し残念とも思いますが、生きていくためには仕方ないことかも知れませんね。
よくライオンの食べ残しをハイエナが横取りするというような話も耳にするかと思いますが、実際にはハイエナが狩った獲物をライオンが横取りすることも多いようです。
少々残念なお話が続きましたが、獲物の仕留め方は流石百獣の王だけあり、小型の獲物であれば前脚の一撃で絶命してしまいます。大型の獲物は、噛みつかれ軌道を塞がれ窒息してしまいます。
ライオンの種類
ライオンは大きく分類すると今の生息地で別れるように「アジアライオン(インドライオン)」と「アフリカライオン」の2種に分類されています。
しかしこれは、どうやら少々怪しいようですね。それと言うのも、後者のアフリカライオンに関してはまだ実態が掴めておらず、1種ではなくここから更なる亜種への分類がされると言うのです。
それは、生息地や身体の大きさ、鬣などの違いがあり区別をされるようです。
それでは、ここでその区分される種類の中で主だったものをご紹介しましょう。
アジアライオン(インドライオン)
アフリカのライオンに比べ身体が少し小さく、狩りを単独で行うのが特徴です。
現在ではインド北西部の保護区のみでの生息で数も約500頭ほどと絶滅が危惧されています。
バーバリライオン(アトラスライオン)
残念ながら今は野生種は絶滅してしまいました。以前はアトラス山脈周辺やモロッコ、エジプトにもいたようです。
ライオンの中では最大種となり4メートルを超すものも確認されているようです。
現在様々な動物園にいるライオンは、実はこのバーバリライオンとの混血種である可能性が高いようです。
では純血は絶滅?かと思いきや、モロッコにあるムハンマド5世が所有する私的動物園にて純血種のバーバリライオンが飼育されていて繁殖活動が積極的に行われているようです。
セネガルライオン
セネガルやカメルーンなど西アフリカに生息するライオンで南アフリカ産のものに比べ、プライド構成数は少なく小柄で鬣も短いものが多いのが特徴的です。
コンゴライオン
北東コンゴライオンとも呼ばれ、コンゴ北東部にある草原地帯で生息をしているライオンです。
アンゴラライオン
カタンガライオンとも呼ばれ、アンゴラ、コンゴ(カタンガ)、ザンビア、ジンバブエなどで生息をしています。
比較的大型な種となり、たてがみの色が若干が薄いという特徴があるようです。
トランスバールライオン
クルーガーライオンとも呼ばれ、南アフリカのトランスバール地方に生息をしています。
こちらも比較的大型の種で鬣も立派です。
ホワイトライオンはこの種から生まれることが多いようです。
マサイライオン
東アフリカライオンやツァボライオンとも呼ばれ、ケニアやエチオピア、タンザニア、モザンビークなどに生息をしています。
鬣が発達していないオスも多く見られます。
ケープライオン
バーバリライオンに次ぐ大型のライオンだったようで残念ながら1865年に既に絶滅と確認されていますが、南アフリカに生息をしていたライオンです。ただし、詳細は不明なことが多いです。
また、遺伝的にはトランスバールライオンと変わりがないともされています。
最強とされる種類は?
上記のようにライオンには多くの種が存在するのですが、では真の百獣の王はどのライオンになるのでしょうか?
勿論、そんなことは分かり兼ねますし、個体によっても違いは出てくると思います。
しかし、そこはロマンとして考えてみませんか?
その答えは簡単です!
ずばり最強の種となるライオンは「バーバリーライオン」だと思われます。
ゆうに3メートルを超す巨体(中には4メートルを超すものも)ゆえに桁外れのパワーを誇ります。
圧倒的な体格差に桁外れのパワーこれに対峙したら他のライオン達は逃げ出してしまうでしょう。
ただ、野生下では絶滅、飼育下でも動物園のものはほとんどが混血種で純血種がようやく発見され、今日では100頭に届かないものの少しずつ個体数を増やしている状況です。
バーバリーライオンが昔の様に大自然の中で悠々と生息するさまを見たいものですね。
まとめ
今回百獣の王ライオンについてご紹介させていただきました。如何でしたでしょうか?
最強と思われる純血のバーバリーライオンも一度見てみたいものですね。
最もポピュラーで最も人気が高いライオンですが、その種類がたくさんあることや絶滅危惧種であることなど、意外な事実を知ることが出来ました。
映画や物語、更には様々な象徴として用いられるライオンは、私達の憧れでもあるのですよね。
そのライオンが我々人間が原因で絶滅の危機に瀕しているとは何とも心が痛んでしまいます。
勿論、日本では動物園などでしかその姿を見ることは出来ませんが、今生存する個体がこれ以上減らないことを願うばかりです。