今回は、「スミロドン」に「ティラコスミルス」そして「ライオン」この3種において、最強となるのはどの種かということを考えてみたいと思います。
スミロドンもティラコスミルスも既に絶滅してしまった獰猛な肉食獣で、ライオン同様に当時の生態系の頂点に君臨していました。
従って、今となっては実際に3種を戦わせることは不可能ではありますが、それぞれの特徴から強弱を、あくまでも推測ではありますが考えてみましょう。
スミロドン
【スミロドンの基本データ】
- 分 類 哺乳綱 ネコ目 ネコ科 マカイロドゥス亜科 スミロドン属
- 学 名 Raphus cucullatus、Smilodon
- 和 名 スミロドン
- 英 名 Smilodon
- 体 長 150~250センチメートル程度
- 体 重 330キログラム程度
- 分布域 南北アメリカ大陸(発見地)
- 時 代 300万年前~8000年前(250万年~1万年前説もあり)
スミロドンの特徴
スミロドンは、あの有名なサーベルタイガーの一種で、最後期に登場した最大かつ最強の種になります。
現代の最大のネコ科動物トラと比べても引けを取らない、堂々とした体格を備えています。
この体型以外で、スミロドンの最大の武器となるのは、24センチメートルにもなる巨大かつ鋭利な牙、そして強靭な前肢のパワーです。
このパワフルな前肢で相手を、組み伏せ抑え込み、鋭利な牙で首元を刺して、失血死または窒息死をさせていました。
しかし、一方で、鋭利な牙は強度が脆く相手の骨を嚙み砕くことはできませんでした。
むしろ、その場合に折れてしまう危険性があるため、柔らかい首付近を狙っていたと考えられています。
また、骨格から判断すると顎の力も弱く、走るスピードも遅く狩りも集団で行う待ち伏せスタイルであったと考えられています。
ティラコスミルス
【ティラコスミルスの基本データ】
- 分 類 哺乳綱 有袋上目 ティラコスミルス科 ティラコスミルス属
- 学 名 Thylacosmilus
- 和 名 ティラコスミルス
- 英 名 Thylacosmilus
- 体 長 120~170センチメートル程度
- 体 重 120キログラム程度
- 分布域 南アメリカ大陸(発見地)
- 時 代 700万年前~300万年前(300万年以前という説もある)
ティラコスミルスの特徴
ティラコスミルスは、スミロドンの登場以前より生存していた肉食の有袋類です。
有袋類とは、現代ですとコアラやカンガルーなどが代表とされますが、少し前まではフクロオオカミやフクロライオンなどの恐ろしい肉食獣が存在しておりました。
現代では、タスマニアデビルが有袋類を代表する肉食種ですね。
大きな牙を持つ形状は、上述のスミロドンと非常に酷似し、同種として紹介されている場合もある程です。
ティラコスミルスの武器となるのは、やはりこの大きな牙と前肢の持つパワーです。
実数値としては20センチメートル程度ですが、体型比率でみた場合にはサーベルタイガーの仲間よりも大きな牙を持つことになります。
また、この牙は折れても伸び続けるので再生が可能でした。
スミロドン同様にこの強力な牙と前肢のパワーを活かして効率よく狩りをしていました。
ライオン
【ライオンの基本データ】
- 分 類 哺乳綱 ネコ目 ネコ科 ヒョウ属
- 学 名 Panthera leo
- 和 名 ライオン、獅子
- 英 名 Lion
- 体 長 170~250センチメートル程度
- 体 重 200キログラム程度
- 分布域 アフリカ大陸、インド
- 時 代 現代
ライオンの特徴
ライオンは、ネコ科ではトラに次ぐ大きさを誇る大型肉食獣です。
言わずと知れた「百獣の王」で、世界中で最もメジャーで人気の高い動物とも言えます。
今でこそ、アフリカとインドにしか分布していませんが、1万年ほど前までは人間同様に世界中に分布をしていました。
当時よりライオンは強さの象徴とされていました。
人間と戦わされたり、見世物として扱われたりしたのもそのためです。
今でも、紋章や文様としてライオンが使われることが多いですね。
ライオンの武器となるのは、長さは他の2種ほど秀でてはいませんが、強靭な牙に爪そして、圧倒的なパワーとスピードを兼ね備えた高い身体能力です。
スミロドンVSティラコスミルス
まずは、スミロドンとティラコスミルスの戦いを考えてみましょう。
両者ともに大きな牙と、強靭な前肢のパワーが武器となります。
また、スピードはともに速くないという多くの共通点を持ちますね。
こうなってしまうと、大きさで上回るスミロドンが圧倒的に有利になってしまいます。
しかも、この結果ですが、実は史実としても認められているのです。
それを物語るのが、ティラコスミルスの絶滅理由なのです。
アメリカ大陸間大交差により、それまで北アメリカ大陸に生息していたスミロドンが、南アメリカ大陸に南下してきてからティラコスミルスが絶滅の道を辿ることになるのです。
つまり、ティラコスミルスはスミロドンとの生存競争で負けてしまったのです。
これは、体格とともに脳の大きさも関係しているとされています。
有袋類であるティラコスミルスは、脳を大きく進化させることができませんでした。
体格に知恵比べ、いずれでも劣ってしまうのです。
スミロドンVSティラコスミルス、この戦いはスミロドンが勝利します。
スミロドンVSライオン
ティラコスミルスとの戦いに勝利したスミロドンですが、ライオンとの戦いの場合にはどうでしょうか。
体格的には、体重で大きくライオンを上回るスミロドンです。
また、牙の大きさも遥かにライオンのそれを凌ぐ大きさを誇ります。
こうなると、「またしてもスミロドンが有利なのか?」しかし、実はそうでもないようです。
攻撃力で上回っていても、欠点が大きい場合には、負けてしまうことがあります。
スミロドンの場合には、「牙の脆さ」に「動きのにぶさ」、「顎の力が弱い」という欠点があります。
草食動物相手の場合には、充分通用した攻撃も、同じ肉食獣のライオン相手ではそうはいきません。
ライオンを仕留める前に、ライオンの牙がスミロドンを仕留めてしまうでしょう。
実は、こちらの戦いも史実でも認められつつあります。
それが、スミロドン絶滅の一説です。
スミロドンの絶滅理由には、気候変動による餌となる草食動物の減少と、ピューマーやジャガーそしてこのライオンなど新種の肉食ネコ科動物の登場が語られています。
つまり、スミロドンがティラコスミルスを絶滅に追いやったのと同じように、ライオンなど新種の大型の肉食動物がスミロドンを絶滅に追いやった、ともされているのです。
スミロドンVSライオン、この戦いはライオンが勝利します。
古代ライオン
スミロドンと同時期または時期は違えど既に絶滅をしてしまったライオンとして、「アメリカ・ライオン」や「ホラアナライオン」などが有名です。
これらの種は、体長が400センチメートルを超える、ともされているのです。
そうなりますと、体格的にもスミロドンを大きく上回ることになります。
現に、近年まで生存が確認されたバーバリーライオンは400センチメートルを超える個体も確認されています。
そう考えますと、この3種の中でライオンが最強としても異存はないと思われます。
まとめ
今回、スミロドンにティラコスミルス、ライオン、「この3種の中の最強はどれになるのか?」を考えてみました。
もちろん、今となっては実現不可能な話ではありますが、実在した狂暴な肉食動物です。
仮定の話としても、夢とロマンを感じさせてくれますね。
しかし、実際に注目をしなくてはいけないのは、スミロドンとティラコスミルスはすでに絶滅してしまっていることです。
また、ライオンも多くの種が絶滅し、現存する種も絶滅が危惧されているのです。
ティラコスミルスは、除いてもスミロドンとライオンの絶滅には私達人間の係わりも指摘されています。
同じ過ちは繰り返してはいけません。
少なくとも現存する種においては、同じ絶滅という道は辿らないことを願うばかりです。