鎧のような硬い皮膚を持つサイと百獣の王ライオン、アフリカの大地に住んでいる「強い」と言われる2種類の生物、実際に戦ったらどっちが強いのか。今回はサイ(シロサイ)とライオンが戦ったらどちらが強いのか、それぞれの生態を踏まえてご紹介していきます。
目次
ライオンの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Panthera leo
- 分類:ネコ科ヒョウ属
- 分布:アフリカ大陸・インド北西部
- 体長/体重170~250cm/150kg~220kg
ライオンの生態
ライオンは映画「ライオンキング」でも知られるように群れを作って行動しています。この群れは「プライド」と呼ばれ、単体もしくは少数のオスが中心となり、それよりも多い数のメスとその子ども達で構成されています。
メスの役割は「狩」と「子育て」です。ライオンのメスが行う狩は「頭脳プレー」が多く、相手を惹きつける陽動作成や、複数のメスライオンが交互に攻撃をする波状攻撃を行い獲物を混乱させ体力を奪います。
一方のオスはというと、その役目は「子作り」と「プライドの死守」です。群れの子ライオンの父であるオスライオンの最も重大な使命は「プライド(群れ)の死守」です。
では何から守るのかというと、他の群れを巣立った若いオスライオンです。ライオンのオスは成獣になると、多くは群れから独り立ちします。巣立った後は数頭の若いオス同士でグループを作り、サバンナを徘徊、そしてプライドを見つけてはそこのリーダーのオスに戦いを挑みます。
群れのリーダーに勝利すると自分がその群れのリーダーになり、その群れの子ライオンたちを皆殺しにし、新しく子供を産ませて自分の遺伝子を残すのです。
負けたオスライオンはその場で殺されるか、受けた傷が致命傷となって、ゆくゆくは死んでしまいます。
なので、オスライオンは生涯を通じて命をかけた戦いの日々なのです。
ライオンの強さの秘密|牙・爪・たてがみ
ライオンのオスはプライドを守るため、メスは狩をするために「戦い慣れ」をしています。
特にオスは、自分の敗北=自分の死=群れの子どもたちの死に繋がります。
ライオンの武器は牙と爪です。ライオンの噛む力は一般的に270kg~320kgと言われています。
また、前足の強烈な打撃はシマウマをも一撃で致命傷を負わせることができ、それは前足にある鋭利な爪が相手の肉を引き裂くためです。
さらにライオンは守備の面でも優れており、オスのたてがみは急所である首を守っています。なので、若いオスライオンから自らの急所を守っているのです。
サイ(シロサイ)の基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Ceratotherium simum
- 分類:奇蹄目サイ科シロサイ属
- 分布:アフリカ大陸
- 体長:3.5~4.2m
- 体重:3.5t
サイは走るのが得意|抜群の突進力の秘密は蹄
サイは分類上は奇蹄目と呼ばれ、この中にはウマも含まれます。
この奇蹄目という分類は蹄の数を表しており、サイは人差し指、中指、薬指の3つ、ウマは中指の1つです。
一方の蹄が偶数の偶蹄目にはウシやシカが含まれます。
そもに奇蹄目は走ることが得意と言われており、それは体重を支える指が中指の一本だからです。
自転車では地面に接するタイヤの面積を小さくすると速度が増すと言われており、それは接地面積が小さい=地面に加えられる力が増え、推進力が大きくなるからです。
奇蹄目と偶蹄目でも同様で、偶蹄目は2本、奇蹄目は1本の指で体重を支え、地面を蹴って走ります。
つまりウマは走ることに特化した生物であり、その仲間のサイも走ることには長けているのです。
実際サイは時速50km以上で走ることができ、そのスピードと体格を活かして強力な突進をしてきます。
サイの持つツノと最強の鎧|分厚い皮膚は牙をも通さず
サイといえば立派なツノが象徴的です。このツノの正体が骨ではないということはご存知でしょうか。
サイの骨格標本を見ても実はツノはないのです。それは、サイのツノが骨ではなく、実は爪や髪の毛のように皮膚組織が変化したものだからです。
なので、サイのツノは伸びるのです。長いものでは1.5mにもなり、サイは伸びてくると木の皮などに擦り付けて形を整えるのです。
また、サイの皮膚は陸上草食動物の中でも随一の分厚さで、1.5~5cmもあります。このまさに鎧のような皮膚はライオンやハイエナなどの肉食動物の牙や爪を受け付けません。
まさに「装甲車」のように相手の攻撃を受けつけず、そして強力な突進とツノによる攻撃で相手を圧倒するのです。
ただし、この硬い皮膚は強いだけではなく、サイにとっては弱点ともなり得るのです。
それは、サイの皮膚は乾燥しやすく、体内に熱を溜め込んでしまい、熱中症や脱水症状になってしまうのです。サイは1日に大量の水を必要としますが、それは飲むのではなく、肌を乾燥から守るために浴びるのです。
つまりサイの弱点は体温調節の苦手さなのです。
サイとライオンはどっちが強い
では装甲車のようなサイと百獣の王ライオンとではどちらが強いのでしょうか。ここまで紹介したそれぞれの生態や強さを比較しながらご紹介していきます。
サイ対ライオン:1対1の場合
サイ対ライオンが1対1で戦った場合、どちらが強いのかというと、それはサイです。
戦いなれしているライオンがどれほどサイの急所である首を襲っても、その硬い皮膚で弾き返されてしまうのです。
また、ライオンは首は守られていますが、お腹などは守られてはおらず、体重3.5tで時速50kmの突進力でのツノの一撃はライオンにとっては致命傷になります。
1対1では明らかにライオンに不利なのです。
サイ対ライオン:1対「群れ」の場合
では、サイ1頭に対して、ライオンのメスが複数で襲いかかった場合はどうなのかというと、サイが有利ではありますが、ライオンにも勝機はあります。
それはサイの体力切れを狙うことです。サイはその分厚い皮膚のために体温調節がうまく行えません。
なので、ライオンが複数で陽動と波状攻撃を繰り返すと、サイはそれだけ体力を消耗し、果ては熱中症や脱水症状になりダウンすると考えられます。
なので、ライオンも複数で挑めば勝機はあるのです。
サイ対ライオンのまとめ
サイ対ライオンは「おおむねサイが有利」という結果になりました。
サイの強力な突進力と堅牢な皮膚はライオンの攻撃をはじき返して、ツノの一撃で致命傷を負わせることができるのです。
ただし、ライオンも複数で攻撃すれば、サイの弱点、「体温調節が苦手」ということを利用すれば勝つことができるのです。
「どんなものでも弱点はある」という良い例と言えるのです。