1999年公開のモンスターパニック映画「ディープブルー」で施設の研究員を次々と襲っていたサメがアオザメです。
映画ではかなり脚色されていた部分が多いですが、実際に人間に危害を及ぼす海洋生物の中ではアオザメはトップクラスで危険と言われています。
ではどれぐらい危険なのか、どれほどの大きさになるのか、など、アオザメの怖さについて生態とあわせてご紹介していきます。
目次
アオザメの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Isurus oxyrinchus
- 分類:ネズミザメ目ネズミザメ科アオザメ目
- 分布:世界中の温帯〜熱帯海域
- 体長:320cm
- 体重:60~135kg
アオザメの体はルアーを思わせる様な金属的な青さが特徴です。
また体型はマグロやその他の高速回遊魚のようなきれいな流線型をしており、サメの中では最も速く泳ぐことができます。
目の色はホオジロザメと同じ様な黒色をしています。
繁殖方法は「卵食型」と呼ばれ、子宮内で卵から孵化し、幼生体は子宮内の他の未受精卵を食べて育ち、ある程度の大きさになってから母体外に出ます。
繁殖数としては1回で4~25匹で、母体外に出た時のサイズは60〜70cmほどです。
また、1966年までは同種として考えられていた近縁種としてバケアオザメがいます。
出典画像:Wikipedia
バケアオザメは英名が「Longfin mako shark」と言い、大きく広がった胸ビレが特徴的なサメです。
大きさはアオザメよりも一回り大きく、最大で4.2mほどになります。
ただし、個体数としてはアオザメよりもはるかに少なく、希少なサメとして知られています。
アオザメの特徴〜怖い海のスピードハンター〜
アオザメ人間にとっての危険度ではあのホオジロザメをも上回ると言われています。
その理由は大きく3つ、「速さ」、「大きさ」、「パワー」です。
アオザメの泳ぐスピードは?
サメの中でも最速で泳ぐと言われており、時速35kmの速さで泳ぐことができ、最高速度で時速72kmまで出ます。
速さだけ聞いたら「そんなに速くないのでは?」と思う方がいると思いますが、確かにマグロやその他の高速回遊魚に比べると遅いです。
ですが、人間の泳ぐスピードと比べてみると、違いは歴然。
世界でもトップクラスのクロールの選手の泳ぐスピードは時速7.2km、秒速2mほどです。
一方のアオザメはというと、時速35km、秒速では9.7m、時速72kmで秒速20mです。
なので、海で狙われてしまったが最後泳いで逃れるすべはありません。
アオザメの最大種はどのぐらいの大きさ?
では最も大きいサイズでどのぐらいの大きさになるのでしょうか。
記録されているアオザメの最大クラスの大きさは4m、重さ500kgほどになります。
この巨体に先ほどの突進力が加われば、人間なんてひとたまりもありません。
アオザメの歯と化石
ホオジロザメやオオメジロザメの歯はエッジにノコギリの様なギザギザがあるのが特徴です。
これに対してアオザメの歯はギザギザがなく、細長く滑らかでそして鋭く、口の奥に向けてカーブを描いています。
これは捕食対象に与える致命傷の違いが現れています。
サメは餌となる獲物を襲った際に、ひと噛みして相手に致命傷を与えます。
その致命傷がホオジロザメやオオメジロザメの場合は失血です。
ホオジロザメによる人間の被害はアオザメよりも死亡率が高いので重く見られますが、そのほとんどが、ホオジロザメが行う「試し噛み」によってできた傷口からの失血死です。
ノコギリ状の歯は失血させて相手を殺す目的で進化した歯なのです。
では、対するアオザメの場合はというと、失血性ショックなどを引き起こす致命傷を与えるというより、噛みついたら放さなず、相手の体力が弱るの待つのです。
アオザメの鋭く尖った歯はひと噛みで深く歯が刺さり、そして獲物が逃げないように内側を向いてカーブした形をしています。
「海の狼」とも言われる理由はその歯にあったのです。
また、アオザメの歯やその化石は比較的小ぶりで、装飾しやすいためアクセサリーとしても人気があり、マニアの間で売買が行われています。
アオザメによる人間への被害
人間の被害は1980年からの30年間で42件起こっており、死亡事件は2件です。
この数はホオジロザメに比べると被害は少ないですが、アオザメの恐ろしさは、この42件のうち、ボートに乗っている時に襲われているケースが20件あるのです。
アオザメはそのスピードと遊泳能力で海面高く飛び上がることができ、そのアクションの派手さからスポーツフィッシングの対象魚となっています。
なので、釣り上げ間際に噛み付かれたり、海面から飛び上がって襲われたり、さらにはボートに突進され転覆なんてことも。
また、ホオジロザメの場合は泳いでいるところを偶然襲われるというケースが多いのですが、アオザメの場合は人間がアオザメを釣りに行った時に事故が起こるケースがあるので、事故に遭いやすさで言えばホオジロザメよりも危険性はあるのです。
アオザメと人間
アオザメの危険なサメとして認知されていますが、人間とどのような関わりを持ってきたのでしょうか。
アオザメのフカヒレは最高級品
アオザメと人間との関わりとして最も大きいのは「フカヒレ」です。
アオザメのフカヒレは最高級品として取引されており、年間50~90tほどが水揚げされています。
そんな折、2019年1月15日、欧州連合(EU)がワシントン条約によるアオザメの漁獲制限規制を設けるべきとの提案を提出しました。
アオザメは高級食材として乱獲され、またスポーツフィッシグの対象魚としても人気なので、近年ではその個体数の減少が危惧されているのです。
アオザメのまとめ
アオザメは最高時速72kmにもなるサメ界のトップスイマーでした。
また、スピードとパワーによって食らいついた獲物を話さないまさに「海の狼」でもありました。
近年では個体数の減少が危惧され、保護の対象にしようとする動きもあるのです。