【危険生物の最強対決シリーズ】今回ご紹介するのは「カマキリvsゴキブリ」です。
これを聞いて、「え?」と感じる方が多いかもしれません。
確かに、ゴキブリには強さの印象がありませんからね。
しかし、ここでは直接の対決は勿論ですが、それ以外にも様々な観点で両者の比較をしてみたいと考えております。
因みに、カマキリは日本において最強とされる「オオカマキリ」で、一方のゴキブリはその代表格とされる「クロゴキブリ」を中心に今回の戦いをシミュレーションしてみたいと思います。
題して「カマキリvsゴキブリ!どっちが強い!?」です。
さて、その軍配はどちらにあがるのでしょうか。
オオカマキリ
「オオカマキリ基本データ」
- 分 類 カマキリ目 カマキリ科 Tenodera属
- 学 名 Tenodera aridifolia
- 和 名 オオカマキリ
- 英 名 Japanese Giant Mantis
- 体 長 7から10センチメートル程度(雌の方が大きくなる)
- 分布域 日本を含む東アジア、東南アジア
オオカマキリの特徴
カマキリと言えば、獰猛な肉食昆虫としてのイメージが強いですね。
実際に、大きな鎌を武器に様々な昆虫類を捕食する草原の名ハンターです。
実は、この鎌は前脚が狩りに都合の良いように進化したもので、非常に強力な武器となります。
世界には2000種ものカマキリが生息しておりますが、日本に生息するのはその内9種程になります。
その中でも最大の大きさを誇るオオカマキリは、勿論最強の種となりますね。
オオカマキリは、日本各地の草原でその姿を見ることが出来るのですが、暖かい南に生息する個体の方が大きくなる傾向があるようです。
最も大きなものでは、その大きさは10センチメートル程度と非常に大きくなります。
食性は肉食性で、この大きさと強力な鎌を武器に、生態系の頂点となる名ハンターとして君臨しているのです。
また、この特徴的なシルエットは非常に格好良く人気の高い昆虫でもありますね。
クロゴキブリ
「クロゴキブリ基本データ」
- 分 類 ゴキブリ目 ゴキブリ科 クロゴキブリ属
- 学 名 Periplaneta fuliginosa
- 和 名 クロゴキブリ
- 英 名 cockroach(英語表記)
- 体 長 3センチメートル程度
- 分布域 日本の関東以南(温暖化により北上も)、中国、台湾
クロゴキブリの特徴
今回ゴキブリの代表として選ばれたのがクロゴキブリで、屋内で見かけるゴキブリとしては最もポピュラーな種になります。
日本では、関東よりも南の地域で幅広く見かけますが、温暖化の影響で徐々に生息地が北上しているともされています。
因みに、北海道でもビルの中で生息が確認されていますね。
非常に俊敏に動けることと飛翔技術も優れているので、運動能力は桁外れに素晴らしいものを持っています。
食性は、雑食性で食品は勿論、材木やパルプ、革など人間の食害対象としては非常に広範囲に及びます。
また、病原体などの媒介も懸念され衛生害虫とも考えられ、非常に忌み嫌われてしまう昆虫でもあります。
しかし、冷静に考えますとゴキブリの登場は約3億年前で私達人類よりも遥か昔から地球上には存在していたのです。
「生きている化石」とも称されるゴキブリが、後から現れた人間に邪魔者扱いされているのは、少し可哀そうな気もしますね。
「カマキリvsゴキブリ」勝つのはどっちだ。
それでは、「オオカマキリvsクロゴキブリ」その比較を考えてみましょう。
まず、この両者は実は近縁関係にあることはご存知でしょうか。
分類上カマキリ目とゴキブリ目と別れていますが、もう一つ「網翅目」に属するという捉え方があります。
この仲間には、カマキリにゴキブリ、シロアリが含まれているのです。
系統的に見るとカマキリはゴキブリの祖先から枝分かれをして来たと考えられているのです。
色などが似ているバッタなどは直翅目となり、跳躍に特化した後脚など、明らかにカマキリとは異なる特徴なのですね。
ゴキブリとカマキリは、翅の形状や飛翔方法に卵鞘など実は非常に似ているのです。
この近縁種の比較ではどのような結果が出るのでしょうか。
身体能力の比較
オオカマキリもクロゴキブリも非常に高い身体能力を保有しています。
その違いは、肉食性のオオカマキリは捕食や戦いに特化していて、雑食性のクロゴキブリは行動そのものに特化している点です。
ここで両者の秀でているポイントを見てみましょう。
オオカマキリの鎌の力は非常に強く、捕まった獲物はまず逃げることが出来ません。
この力は、仮にオオカマキリが人間の大きさであるとしたら3トンものパワーとなると想定されるのです。
また、鎌を動かすスピードですがわずか0.05秒とずば抜けたスピードを誇ります。
人間の視覚対応可能な速度が0.1秒ですので、我々人間ではこの動きについていけません。
一方のクロゴキブリはやはりスピードが秀でています。
その速度は1秒間に1.5メートル移動するのです。
少なく感じるかもしれませんがクロゴキブリの体長3センチメートルを考えてください。
実に体長の50倍の距離を1秒で移動してしまうのです。
時速換算では新幹線並みともされています。
戦いになったら・・・。
この両者が戦いになったとしたら、勿論クロゴキブリがオオカマキリを仕留めることはありません。
この場合には、オオカマキリがクロゴキブリを捕まえることが出来るのかという勝負になります。
素早く動くクロゴキブリを追いかけてオオカマキリが捕まえることは不可能です。
動きと言う身体能力ではクロゴキブリに分があります。
オオカマキリが、クロゴキブリを仕留めるには気が付かれないように背後から回り一瞬の隙をついて捕まえるしかないのです。
しかし、仮に捕まえることが出来れば、もうクロゴキブリに助かる道は残っておりません。
オオカマキリの餌食となってしまいます。
実際に、カマキリはゴキブリを捕食しますし、この2種の戦いとしてカマキリがゴキブリを捕食する動画も見ることが出来ます。
しかし、自然界ではカマキリがゴキブリを捕まえるのはなかなか難しいかも知れません。
生存力の比較
「オオカマキリvsクロゴキブリ」実際の戦いとなれば、クロゴキブリに勝機は見込めません。
しかし、それが生存力という生き抜く力で考えた場合にはどうでしょう?
まずは、その登場はもともとが3億年前のゴキブリにあります。
そこから枝分かれして今のカマキリが存在しているのです。
そう考えますと、ゴキブリの生存力は非常に高く強いものです。カマキリはそこからの分家ですので太刀打ちは出来ません。
また、今の時代でもゴキブリは生態系では最下層に位置しながらも絶滅することもなく生き続けています。
人間の繰り出す殺虫剤にも抗体を付けて生き抜く力があるのです。
生命力と考えても、ゴキブリに幾分か分があると考えられますね。
まとめ
今回、「カマキリvsゴキブリ」をご紹介いたしました。
食うか食われるかの戦いとなれば、捕食者のカマキリにゴキブリが敵うはずがありません。
しかし、身体的能力や生存力などを鑑みるとゴキブリのスーパー昆虫としての凄さが分かるのではないでしょうか。
ダーウィンが言う、「生き残ることが出来るのは環境の変化に対応できるもの」これを強さと考えるのであれば、3億年前から地球上に存在するゴキブリは最強の生物かも知れません。