サンサンと輝く太陽に下、夏のレジャーと言えばやはり海「海水浴」ですね。
毎年、各地の海水浴場は多くの人達で賑わっています。
しかし、この一大レジャー海水浴を台無しにしてしまう厄介な生き物がいます。
それが「クラゲ」です。
そんな中でも電気クラゲとして非常に恐れられるのが、今回の主役「アンドンクラゲ」です。
アンドンクラゲは毒性を持ちますので、刺されると激しい痛みに襲われてしまいます。
今回は、そんなアンドンクラゲについて、その生態から毒性、刺された時の症状に処置・対処法など詳しくご紹介いたします。
アンドンクラゲ
「アンドンクラゲ基本データ」
- 分 類 アンドンクラゲ目 アンドンクラゲ科 アンドンクラゲ属
- 学 名 Carybdea brevipedalia
- 和 名 アンドンクラゲ
- 英 名 Box Jellyfish、Carybdea
- 体 長 3センチメートル程度の傘に20センチメートル程度の触手
- 分布域 日本近海
アンドンクラゲの生態
アンドンクラゲは、まるで行燈のような立方型の傘を持つことからその名前が付きました。
この傘の大きさは3から3.5センチメートル程度で、その下からは長さ20センチメートル程度の触手が4本伸びています。
比較的小型のクラゲではありますが、この触手には毒性の刺胞が多数存在しているのです。
食性は魚食で、この毒針の付いた触手で小魚を捕食しているのです。
また、アンドンクラゲはクラゲの仲間としては珍しく非常に遊泳力に優れ、黒潮と共に日本近海まで北上しそのまま北海道付近へと到達します。
アンドンクラゲは、日本の広範囲にわたり出没することになるのです。
またアンドンクラゲは群れで行動することが多いのも特徴的で、これらから海水浴におけるクラゲによる人間の被害としては、このアンドンクラゲによるものが非常に多くなるのです。
アンドンクラゲは、沖縄のハブクラゲやオーストラリアのオーストラリアウンバチクラゲなどの猛毒を持つクラゲとは近縁種となります。
アンドンクラゲの出現は、以前までは夏のお盆過ぎあたりの出没がほとんどでしたが、最近では環境変化のせいでしょうか、それ以前からも見かけるようになっています。
アンドンクラゲの毒性
アンドンクラゲは、猛毒クラゲであるカツオノエボシと共に電気クラゲとして恐れられています。
アンドンクラゲの毒は、人を死に至らしめてしまうようなカツオノエボシ程強力なものではありません。
しかし、それでも激しい痛みに襲われてしまいます。
多くのクラゲの毒性は、タンパク性毒がほとんどで他には溶血性毒や神経毒などの成分が含まれます。
このアンドンクラゲも同様のものと考えられます。
アンドンクラゲに刺された場合の症状
アンドンクラゲは、海水面を泳ぐので人間が刺される場合には上半身が多いですが、浅瀬では脚などを刺されることがあります。
アンドンクラゲに刺されてしまうと、まず非常に激しい痛みに襲われます。
重篤な事態になることはあまりありませんが、この痛みの激しさは半端ではありません。
この痛みは、アンドンクラゲの毒により皮下組織が破壊されることで生じるもので、ひどい場合には傷跡として残ってしまうこともあります。
重篤な事態になることは無いと申し上げましたが、アナフィラキシーショックの危険性もありますので注意が必要です。
アンドンクラゲに刺された場合の処置
もしアンドンクラゲに刺されてしまった場合には、次の手順で応急処置を施してください。
1.まずはすぐに海水から上がります。
二次被害三次被害の危険性がありますので、すぐさま対応してください。
2.そして、患部を擦らずに海水で洗い流します。
この時に水道水など真水を使うと浸透圧が異なるので毒の発射を誘発し、更に毒が体内に入ってしまう危険性があります。
また、この際に擦って刺激を与えてしまうと同様の危険性があります。
3.刺胞などが残っていたら取り除きます。
この際には、決して素手でやってはいけません。タオルなどを使う、また場合によってはピンセットなどで丁寧に除去しましょう。
4.お酢を患部にかけて刺胞を不活性化させます。
お酢をかけることで刺胞を不活性化させることが出来ます。
ただし、刺されたクラゲがアンドンクラゲと明確に分からない場合には、このお酢をかけるのはやめましょう。
刺された相手がカツオノエボシの場合には、逆効果になってしまいます。
以上
この手順が、アンドンクラゲに刺された場合の応急処置方法です。
たいていの場合に、この処置である程度痛みの緩和が期待できるはずです。
しかし、ここまで対応してもまだ痛みが緩和しない場合には、患部を冷水で冷やすと痛みをおさえることが出来ます。
ただ、冷水は上述の処理を全て施した後でないといけません。
毒の更なる放出などの危険性がありますから気を付けてください。
また、それでも症状が治まらない場合や、不安がある場合には医療機関(皮膚科)の受診をおすすめします。
アンドンクラゲに刺されないための対処法
アンドンクラゲに刺されてしまうと、折角の海水浴も台無しになってしまいます。
前項で、仮にアンドンクラゲに刺されてしまった場合の対処法をご紹介しましたが、やはり刺されないことが一番ですね。
では、アンドンクラゲに刺されないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。
まずは、クラゲの出現情報を確認しておくことです。出現情報がある地域では海水浴は控えるのが最善の策になります。
また、必ずクラゲ防止ネットのある海水浴場で遊泳することも大切ですね。
しかしこのクラゲ防止ネットですが、台風の後など波が高くなった場合には、アンドンクラゲがネット内へ侵入することもあるようです。
また、台風でなくてもクラゲ防止ネットには絡まった触手がありますので、ネット近くでの遊泳もやめましょう。
そして、これは海水浴ですので、そもそも厳しいかも知れませんが、肌の露出は極力おさえることも大切です。
なお、市販されているクラゲ予防用のローションなども効果的なようです。
まとめ
今回、アンドンクラゲについて色々とご紹介をして参りました。
実はアンドンクラゲは、2010年になって分類上の訂正が確認されるなど、その生態に関してはまだ分からないことも多いのです。
その最も顕著な例は、大人のクラゲとなってあらわれるまで、その詳細がつかめていないことですね。
毎年のように、沢山のアンドンクラゲがあらわれ多くの被害が出ているのですが、その詳細があまりつかめていないのです。
この辺が解明されると、アンドンクラゲがより身近に感じられるかも知れません。
しかし、一方でこれまで厄介者として忌み嫌われていたクラゲが、癒しの象徴として人気になるなどクラゲに対する私達人間の評価も変わりつつあるようです。
これは、クラゲにとっても私達人間にとっても非常に良いことですね。
心身ともに疲れた時などは、美しく優雅に水中を舞うクラゲを見るのもおすすめです!