エチゼンクラゲの毒性や生態と大量発生の理由!実は放送禁止用語?

その他の危険生物

「毒を持つエチゼンクラゲが大量発生し、漁業に深刻な被害を与えているもようです。」こんなニュースを見たり聞いたりしたこともあるかと思いますが、実はこれ放送ではアウトとなる可能性があるようなんです。

どういう事かというと、「エチゼンクラゲ」が放送禁止用語になるのだとか・・・・。

ちょっとした雑学になりそうですが、実は以前はこの毒性を持つエチゼンクラゲが急に大量発生し押し寄せるというとても迷惑で、恐ろしい事件が頻発していたのです。

今では、食用に利用されたり栄養価の研究なども進み単なる厄介者では無くなりつつある様なのですが…。

今回、このエチゼンクラゲに関して、その生態から大きさや寿命に至るまで詳細にご紹介してまいります。

エチゼンクラゲ

エチゼンクラゲ データ

エチゼンクラゲの写真

出典画像:Wikipedia

  • 分 類  根口クラゲ目 ビゼンクラゲ科 エチゼンクラゲ属
  • 学 名   Nemopilema nomurai
  • 和 名  エチゼンクラゲ(越前水母、越前海月)
  • 英 名   Nomura’s jellyfish
  • 体 長   大きいもので200センチメートル程度(傘の大きさ)
  • 体 重  大きいもので200キログラム程度
  • 寿 命  詳細は不明だが1年未満とされる
  • 分布域   東シナ海から日本海にかけて


エチゼンクラゲの特徴

エチゼンクラゲは、その大きさと重さが最大の特徴となる非常に大型のクラゲです。

傘の大きさは直径が200センチメートル程度、水を含んだ時の重量としては200キログラムにも達するものもあるようです。

エチゼンクラゲの写真

出典画像:Wikipedia

体色は、白からオレンジがかったもの、茶褐色、灰色、薄いピンクのものまでいることから変異があるようで特定が難しいようですね。

また、人的な被害は確認されていないが、毒性があることが報告されています。この毒性は触手の刺胞にあるようです。

「エチゼンクラゲ」の名前は、100年程前(1920年)に新種のクラゲとして認められ、その際捕獲されたのが福井県だったことと既存のビゼンクラゲに似ていることから越前(エチゼン)の名前になっています。しかし、これが詳細は後述しますが、ちょっとした問題になっているのです。

エチゼンクラゲの生態

エチゼンクラゲは、「越前」という名前から日本生まれの種と間違われやすいのですが、実際には誕生するのは中国や朝鮮半島近くの東シナ海(渤海や黄海を含む説もあり)になります。

この海域で生まれ育ったエチゼンクラゲがある程度の成長を遂げると、対馬海流に乗って日本海に入りそのまま北海道や一部は津軽海峡を横断して太平洋側へと向かいます。

太平洋側では一部は三陸海外を経由して房総半島まで達したものもあるようですね。

この状態では、普通の生物の生息ということで何ら問題はありませんが、時に大量発生をして日本へと押し寄せるため、漁の網を破ったり、網の中の魚がエチゼンクラゲで傷ついたりと重大な被害を与えてしまうのです。

これら以外の生態は長らく解明されていなかったので、漁業に被害を与える厄介者というレッテルが張られそればかりが先行してしまいました。

しかし研究の結果少しずつエチゼンクラゲの生態も解明され、またその生存価値も見直されてきたのです。

エチゼンクラゲは主に小型の動物性プランクトンを食べて生きています。毒を持つ触手で捕まえて食するようですね。

また表面は非常にベタベタしているため、弱ったりして動けなくなるとこの表面にごみなどが付着し、その結果重くなって海底へと沈んでしまいます。そして海底の生物の餌になるという生物循環が行われているようです。

このおこぼれに預かるの物の中には「越前ガニ」として有名なズワイガニも含まれ、エチゼンクラゲを捕食しているようです。

エチゼンガニの写真

出典画像:Wikipedia

また、エチゼンクラゲの周りには魚が寄り付いている様子もよく見られるのですが、これは相利共生という事では無く、一方的に魚がエチゼンクラゲを利用していることが多いようです。

エチゼンクラゲの90パーセント以上に(95パーセントとする説明もあります)この魚が寄り付く行動が見られているようです。

その魚とはマアジの稚魚がほとんどで、毒のある触手の間を隠れ家として利用するとともにエチゼンクラゲが餌とするプランクトンもちゃっかりと頂いてしまうようです

そう考えるとエチゼンクラゲが少々気の毒な気もしますね。

エチゼンクラゲの毒性

前述のようにエチゼンクラゲには毒性の触手があり、餌となる動物性プランクトンを捕まえるときに役に立っているようですが、その毒性はあまり強いものではないようです。

エチゼンクラゲの触手の写真

出典画像:Wikipedia

この食指の毒では魚を捕まえることが出来ません。魚はこの毒を皮膚で防御出来てしまい、皮膚より内部に毒が届くことが無いようです。

仮に毒に刺された魚を食べても、皮膚より内部に毒が入らないので何ら問題は無いようです。人間が指された場合には、かゆみとピリピリとした刺激を感じるという程度のもののようですね。


エチゼンクラゲの天敵は?

エチゼンクラゲの天敵として有名なのは、カワハギ類特にウマヅラハギになるかと思います。ウマヅラハギは集団となってエチゼンクラゲを襲い食してしまいます。200センチメートル程度もあるエチゼンクラゲを1時間程で食べつくしたという報告もあるようです。

ウマヅラハギの写真

出典画像:Wikipedia

また前述の隠れ家としてエチゼンクラゲを利用する魚の中には、イボダイのようにエチゼンクラゲ利用しながら同時に餌として捕食をするものもいます。

イボダイの写真

出典画像:Wikipedia

人間はエチゼンクラゲを利用する

前述で天敵としてウマヅラハギの名前が登場しましたが、そのウマヅラハギ漁をする場合に、このエチゼンクラゲを餌として実験したところ高い効果があったとされています。

また、エチゼンクラゲを食用に加工し市場にも既に出回っています。ただし、ビゼンクラゲに比べて歯ごたえが悪かったり、食用に使える部分が少ないなどの問題はあるようですね。それでも、お店に並ぶ「塩くらげ」など総菜用のクラゲの多くにエチゼンクラゲが使われているようです。


大量発生の原因は?

エチゼンクラゲが大量発生し問題となったことは記憶に新しいのですが、実はこの大量発生の理由は正確には解明できていないのです。そんな中で確定出来る明確な根拠はないものの有力とされるの説には次のようなものがあります。

  • 中国の発展が目覚しく、それに伴い工業排水などで餌となるプランクトンが増加した。
  • 海水温の上昇がエチゼンクラゲの生成を促した。
  • 魚の乱獲で餌となるプランクトンを独占出来ている。

以上のような事が原因と目されていますが、直接的または間接的に全て人間が関わっているのですね。

エチゼンクラゲの大量発生による被害

今では落ち着いたようですが、2002年から2009年にかけては毎年のようにエチゼンクラゲが大量発生し、それにより被った被害は甚大なものでした。

  • 大量のエチゼンクラゲが網に入り込むことによる網の損失や漁船の転覆
  • 網にエチゼンクラゲが入って他の魚が取れない、取れた魚が傷付き商品にならないなど漁獲高への影響

これら漁業への被害は相当なものとなることは想像に容易いですね。

エチゼンクラゲによる被害への対策

このエチゼンクラゲ対策としては、特殊な網での切断駆除や前述の漁の餌や食品加工などの有効利用など様々な対策が取られています。

誰もが理想とするのは、後者の有効利用になりますね。食用の他にも化粧品や肥料・飼料、砂漠の緑化など素晴らしい活用方法が考えられているのですが、実際にはそこに大きな課題が立ちはだかっているようですね。

もっとも顕著なのがコストの問題になります。運搬、塩抜きなど再利用する工程でいずれもコストがかかるのですが、実用化できても安価になることから採算が合わないというのが一番の問題のようですね。

しかも、今現在では大量発生頻度が落ち着いてしまっているので、そもそもそれが必要なのかという点もあるようです。

現在はまだまだ研究段階ですが、これら以外にも栄養学的な研究など様々な研究が進められていますが、漁の餌以外はこれと言った解決策はまだ見つかっておらず暫くは様子見というのが現実の様です。

実はエチゼンクラゲは放送禁止用語?

前述しましたが、「エチゼンクラゲ」という名前は、新種認定された際の採取場所が福井県であったことから命名されています。これは非常に名誉なことなのですが、しかし大量発生で問題視されたことから自体が一変してしまいます。

「エチゼンクラゲ」の報道される内容が全て被害や問題というあまり印象の良くないものばかりで、「エチゼン」と名の付く商品イメージも損なわれると、福井県により各メディアに「エチゼンクラゲ」とせず「大型クラゲ」として欲しい旨の要望を出したようです。

これにより、放送禁止用語というよりは自粛用語として扱われているようですね。

まとめ

今回、エチゼンクラゲについて色々とご紹介してまいりました。

大量発生すると非常に厄介なクラゲとして悪名高い「エチゼンクラゲ」ですが、勿論彼らは意図して被害を与えているわけではありません。

その生態からも他の魚に一方的に利用されたりと同情すべき部分もあるように思われます。

勿論、被害を受ける漁業関係者の方々の苦労も重々承知しています。

何とか良い利用方法や、対処方法を見つけて漁業関係者の方々に迷惑にならないよう1年に満たないその寿命を全うさせてあげたいものですね。

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