アリを食べるから「アリクイ」と名付けられたようにアリクイは基本的にはアリを食べます。中でも最大のものがオオアリクイです。ところがオオアリクイと一緒に「吸血」や「人食い」などの危険なワードが検索されています。時として天敵ジャガーすら逃げ出すオオアリクイの生態と危険性についてご紹介していきます。
オオアリクイの生態と生息地
出典画像:Wikipedia
- 学名:Myrmecophaga tridactyla
- 分類:有毛目アリクイ科オオアリクイ属
- 分布:中米〜南米北部
- 体長:100~120cm
- 体重:18~40kg
オオアリクイは全身を長い体毛で被われ、喉から胸、肩にかけて白く縁取られた黒い帯状の模様があります。
また、嗅覚・聴覚ともに発達しており、敵の接近や餌となるアリの匂いをかぎ当てるのに役立っています。
オオアリクイがアリを食べるときは、発達した嗅覚と大きな爪、そしてアリを食べるために発達した舌を使います。まずアリの巣を匂いで探し当て、大きな爪で巣の入り口を壊して広げます。
そして60cm以上にもなる細長い舌を、毎分150回の高速で出し入れし、唾液腺から分泌される粘性の高い唾液でアリを絡めとって食べます。
オオアリクイは雑食ですが、基本的にはアリを食べます。オオアリクイは1日に30,000匹のアリを捕食すると言われております。
ただし、一つの巣で食べる量は少なく、そして費やす食事時間も短く1分ほどです。なので、1日をかけて複数の巣を巡回し、アリを食べ続けます。水分の補給もアリの捕食を通じて行うので、オオアリクイにとってアリは欠かせないライフラインなのです。
つまり、一つの巣を根絶やしにしてしまうと、じきに餌に枯渇してしまうので、複数の巣を巡回してその危険性を回避しようとしていると言われています。
一方、動物園ではアリ30,000匹の代わりに肉や卵、乳製品などをお湯と一緒にミキサーにかけ、液状化したものが与えられています。
オオアリクイは人食いで危険!?
「主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました」というタイトルのスパムメールを覚えていますでしょうか。このスパムメールは2006年に流行し、真意が明らかにはなっていません。
このメールにあるように、オオアリクイとは人を殺す獰猛な動物なのでしょうか。
この章ではオオアリクイが見せる攻撃性についてご紹介していきます。
天敵ジャガーも逃げる、オオアリクイの威嚇と爪の強さ
オオアリクイは基本的には温厚な性格で、敵と遭遇しても無視するか身を隠してやり過ごします。
しかし、オオアリクイは敵に追撃され追い詰められると、自分を大きく見せて威嚇するために、尾を支えにして直立し前足の爪を見せつけます。
この威嚇が効果がない場合は、爪で相手を切りつけたり、抱きついて締め上げます。この威嚇に対して、天敵であるはずのジャガーやピューマも逃げ出すことがあるそうです。
オオアリクイは人を襲う危険な吸血動物なのか
実は、「ゴルゴ13」にはオオアリクイに襲われている人を目撃する描写が描かれています。ボリビアでゴルゴは地に手懐けられたオオアリクイが人を襲い、その生き血を首からすするの見ているのです。
また、家畜を襲いその生き血をすするというUMA(未確認生物)「チュパカブラ」の正体がオオアリクイではないかという噂もあります。
しかし、ゴルゴ13の場合はあくまで漫画状の描写であり、チュパカブラの正体もイヌ科の「コヨーテ」という見方が一般的です。
実際のオオアリクイは生き血をすすることはなく、温厚で争いを好まない性格なのです。
しかし、2014年7月、ブラジルで猟師が2人別々にオオアリクイに襲われ死亡している事件が起こりました。
オオアリクイの爪は小型のナイフほどの大きさがあり、また現地の人の間では「オオアリクイは相手が死ぬまで抱きしめる」と言われており、「人の命を奪う力」を持っていることは間違いありません。
ただし、オオアリクイが自ら捕食するために人間を襲ったのか言えばNOです。
事件の原因としては、オオアリクイが怪我をしていたか、猟師の出す音に驚いてパニックになってしまい、襲いかかったと考えられています。
つまり、自ら襲ってくるというよりは「追い詰められて窮地に立たされた最後のやけくその攻撃」という意味合いが強いです。
怪我をしたアリクイに襲われ農民が現地にいることからも、きっかけがないとオオアリクイは襲ってはきません。
したがって、「基本的には温厚で争いは好まないが、追い詰められると怖い」という見方が妥当と言えます。
まとめ:動物園でオオアリクイを見よう!
日本でオオアリクイは動物園で飼育されており、運が良ければ背中に赤ちゃんオオアリクイを乗せている姿が見れます。
オオアリクイは夜な夜な生き血をすすったり、人を狩ったり、家畜に襲いかかったりはしません。追い詰められたオオアリクイがパニックを起こしてしまい、攻撃をしてしまったということです。
近年は人間の居住域と動物の生息域とが隣接してしまい、不必要に遭遇してしまうことが増えています。
どんな動物も追い詰められると攻撃をしてくるので、適正な距離感というのは大切にしたいですね。