刺されるとものすごく痛いイラガ
キレイな花にはトゲがあると言われるようにイラガの幼虫もトゲトゲしています。毒を持っているから触るなと主張しているみたいですね。
イラガの中で気を付けなくてはいけないのは、このトゲトゲしている幼虫です。成虫になれば毒は持っていませんのでご安心ください。
またこの幼虫に刺されると電気が走ったような痛みに襲われることから「デンキムシ」という異名もあります。名前だけでも痛そうですね。
今回は、イラガの生態と天敵、刺された時の対処法から卵の駆除の仕方をご紹介します。
イラガのことをよく知ってイラガから身を守りましょう。
イラガの生態
- 科名:イラガ科
- 体長:幼虫 25mm、成虫 30mm
- 分布:日本
- 危険な部位:幼虫の持つトゲ
イラガの幼虫は7~8月に発生します。種類によっては10月ごろにも発生します。
鮮やかな黄緑色の毛虫でトゲの突起があります。サボテンみたいにも見えますね。
このトゲにうっかり触れてしまうと電気が走ったようにピリピリと痛みます。
激痛は5分ほどで治まりますが、その後1~2時間は痛みが残り、痛みが引いた後3~4日ほど痒みが続きます。
イラガは柿やサクラ、カエデなど多くの樹木につきます。
葉の裏側に潜んでいますので、うっかり触らないように注意しましょう。
幼虫は集団で行動しますので、1匹見つけたら近くに10匹はいると考えてください。
成長した幼虫はそのままその樹木に繭をつくり越冬します。
繭は種類によって違いますが、白と茶の鳥の卵に似たものと茶色一色で木のコブのようになっているものなどがよく見かけられます。
茶色一色の繭を作るイラガはヒロヘリアオイラガといい、繭にも毒がありますので注意が必要です。
その他のイラガの繭には毒はありません。
釣り人の間では玉虫とよばれタナゴ釣りの餌として使えるそうですよ。
また、繭はとても固く駆除するにはヘラでこそぎ落すか、枝ごと切落すしかありません。
6月ごろになると羽化が始まり、成虫になります。成虫には毒はありません。
また吻が退化しているため食事をしません。そのため、成虫の寿命は10日ほどとなっています。
その10日の間に卵を産み付け、イラガのサイクルが繰り返されます。
また、卵自体には毒はありませんが、幼虫が孵化した後だと幼虫の持つ毒が卵に着いている可能性がありますので、卵を見つけても素手では触らない方が無難です。
イラガの天敵
イラガにも天敵がいます。カマキリやアシナガバチです。彼らはイラガの幼虫を捕食します。
また、外来種のイラガイツツバセイボウという蜂はイラガの繭に卵を産み付け、孵化した幼虫がイラガを食べてしまうそうです。
しかし、これらの天敵たちはイラガをすべて食べてしまうことはありません。
それどころか、アシナガバチだと人にも害がありますのでイラガとアシナガバチどちらも発生してしまったら最悪ですね。
イラガが発生して困っている方は次にご紹介する駆除の仕方を試してみてください。
イラガの駆除
イラガを駆除する時に一番簡単なのは専門業者に頼むか薬剤を使用することです。
薬剤はホームセンターなどに売っている園芸用の薬剤の他、ゴキブリ用のゴキジェットもイラガの幼虫に効果的です。
注意点としてはイラガの死骸にも毒が残っている可能性があるので素手で触らないことです。
可能でしたら、薬剤を撒く前に植木の下に新聞紙などを敷いて、落ちてきたイラガを後で処分しやすくしておきましょう。
しかし、作物を育てている方や小さいお子様、ペットと暮らしている方は薬剤を使うことに抵抗があると思います。
薬剤を使わない駆除の方法としては、
①幼虫を見つけ次第割りばしなどで捕獲する
②発生している枝ごと伐採する
③繭になったら繭を取り除く
の3パターンです。
幼虫は群れになって行動しますので、大体同じ枝に群がっています。
地道に捕獲したり、枝を切り落したりして数を減らしていきましょう。
捕獲したイラガは熱湯(50~60℃くらい)をかければ死滅します。
枝を切り落す時はイラガが下に落ちてきますので、下にビニール等を敷いてイラガが逃げないように注意しましょう。
また、卵を見つけた時も同様に駆除しておくと発生を防げます。
繭になってから駆除する場合は、イラガが幼虫である夏の間はイラガの被害に気を付けなければいけませんが、繭になればほとんどの場合無毒ですので駆除する時にイラガの被害にあう危険性が下がります。
また、イラガは毎年ほとんど同じ場所に卵を産み付けますので成虫になる前に駆除してしまえば翌年のイラガの発生を抑える効果も期待できます。
イラガに刺された時の対処法
もしイラガに刺されてしまった時は、トゲを抜くことが先決です。
トゲが残ったままだと毒が取り除けないので、水で洗ったり、消毒をする前にセロハンテープなど粘着性のあるものを使って患部をペタペタしてください。
刺さるトゲは、イラガの幼虫の目に見える大きなトゲではなく、細かいトゲが刺さります。虫メガネなどでよく見てみてください。
トゲが抜けたら患部をよく洗って毒を洗い流しましょう。
その後、虫刺され用の市販薬を塗っておきましょう。抗ヒスタミンとステロイドが入っているものがおすすめです。
イラガに刺された場合は、3~4日で自然治癒しますので病院に行く必要は必ずしもありません。が、痛みや痒みが長引く場合は皮膚科を受診しましょう。
まとめ
今回は厄介な虫のイラガについてご紹介しました。
筆者は幸運にもまだイラガに刺されたことはありませんが、調べたところイラガに刺されたら10年はその痛みを忘れられないそうです。これからもイラガに刺されないよう気を付けたいものです。
イラガは葉の裏側に潜んでいるようなので、柿の木などイラガが好む木などには安易に手を伸ばさないようにしましょう。
特に葉っぱに虫食いの後がいっぱいあるような木は要注意ですね。
皆さんもイラガに気をつけて下さいね。