モンハナシャコのパンチの威力がプロボクサー以上?天敵はいるの?

その他の危険生物

シャコと言えばお寿司屋さんでよく見かけますが、実際に生きているその姿ってあまりお目にかかる機会がないかも知れませんね。

シャコ寿司の写真

出典画像:Wikipedia

そのシャコの中でも今回ご紹介するモンハナシャコはちょっと凄いんです。

そのパンチの威力はプロボクサー以上?とも言われるほどに強烈で、ダイバーに怪我を負わせたり飼育中にも怪我を負う事故が起きているようです。

また動物界一とも称される異常なまでの視力を持つなど何とも摩訶不思議な生物でもあります。

このモンハナシャコとは一体どのような生物なのでしょうか?

今回は、このモンハナシャコの生態から天敵果てはその値段まで、詳しくご紹介してまいります。


モンハナシャコ

モンハナシャコデータ
分 類  シャコ目 ハナシャコ科 ハナシャコ属 モンハナシャコ
学 名   Odontodactylus scyllarus
和 名  モンハナシャコ(紋花蝦蛄  体に鼻のように見える斑紋があることから)
英 名   Peacock mantis shrimp
体 長  15センチメートル程度
体 重  50グラム程度
寿 命  4から6年程度
分布域   東南アジア、ミクロネシア、インド洋、台湾の海域(日本では相模湾以南)

モンハナシャコの特徴

モンハナシャコは何から何まで特徴的なのです。

まず体長は15センチメートル程度。赤と青緑そして青というカラフルな色彩をベースにした独特な体色で、更に、目が青く、エビにも見られる尾扇(びせん)が赤の縁に緑色と特徴的な鮮やかさでとても目立つ容姿をしています。知らないと有毒生物なのでは?と勘違いしてしまうかも知れません。

その美しい色彩の身体には円状の斑紋が施され、それがこのモンハナシャコ(紋花蝦蛄)という名前の由来となります。

また後述で詳しく説明しますが、動物界一の高い視力にくわえ攻撃の際には凄まじいパンチを繰り出すという特徴があります。

もう一つ特徴的なのは、モンハナシャコは泳ぐのがとても上手で、触覚の一部を開き上手にバランスを取りながらおなかの下にあるひれ(腹肢)を使い水をかいて力強く進みます。一説には水中で最も素早い動きをする生物とも言われているようですね。

その姿はエイリアンを思わせるようないでたちですが、それがまた人気でペットとして飼育もされています。

モンハナシャコの写真

出典画像:Wikipedia

モンハナシャコの生態

モンハナシャコは日本ではその姿は相模湾周辺で確認されていてそれ以南に広く生息しています。また、日本以外では東南アジアやインド洋など、幅広い範囲で分布をしています。

浅い海のサンゴ礁や海底に巣穴を掘り生活をするのですが、その巣穴にサンゴの残骸などを使って補強を行うなど知的レベルはかなり高いようです。実はモンハナシャコは恐竜よりも長く生命を繋いで来ています。その長い歴史から授かる貴重な知恵なのかも知れません。

食性は肉食で餌となるのは魚から甲殻類や貝類まで様々です。捕脚肢(前脚)を高速で繰り出す強力なパンチで甲殻類の甲羅や貝殻などはいとも簡単に叩き割って食してしまいます。

卵を抱えるメスはこのパンチは使うことが無く孵化するまでの間は何も食べないこともあるようです。

また非常に縄張り意識が強いことと気性が荒いことから、モンハナシャコ同士の喧嘩はしょっちゅう確認されています。この際に捕脚が傷付くこともありますが、数カ月に一度の脱皮時には元通りになるようです。

モンハナシャコの寿命は飼育下、野生下ともに4年から6年程度になります。

プロボクサー顔負けのパンチの威力

モンハナシャコの特徴でも少し触れましたが、モンハナシャコを語るうえで、この破壊力抜群のパンチは外すことが出来ません。

けた外れの破壊力を持つパンチがモンハナシャコ最大の武器なんです。海の最強ボクサーとも称されるそのパンチスピードは0.004秒で時速80キロ、人間のプロボクサーのパンチスピードが時速30キロから50キロと言うことから考えてもその凄まじさが伝わって来ますよね。

ボクシングの写真

出典画像:Wikipedia

モンハナシャコのそれは銃弾が発射される加速度と同レベルとなり、よくよく確認するとこの動きで水圧が変化して周りの水が沸騰し泡が出ている様子を見ることが出来ます。

この驚異的なパンチで外敵から身を守り獲物を仕留めるのです。勿論縄張り争いや雌をめぐる雄同士の争いでもこのパンチは効果的に使われます。

モンハナシャコのパンチには要注意!

二本の捕脚肢(前脚)を高速で繰り出すこの強力なパンチには気を付けなければなりません。

「水槽に穴をあけてしまった」「近付いたダイバーの指をへし折った」「その威力は22口径の拳銃なみ」と様々な武勇伝が聞こえて来るのです。

このパンチの標的が我々人間となってしまうこともあります。一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまうモンハナシャコ、敵や獲物と認識すればそのパンチによる恐怖が襲って来ます。

こんなパンチを受けたら一体どうなってしまうのでしょうか?ダイビングや海水浴などでモンハナシャコを見かけたり、ペットとして飼育する場合にはくれぐれも気を付けましょう。


動物界一の驚異的な視力も

さて、もう一つモンハナシャコを語るうえで外せないことがあります。それが動物界一と言われる驚異的な視力です。

この能力は今も研究者の間では研究対象になっており、今後さらなる発見も期待出来そうなんです。

また視界がとても広く一説には目の可動域が360度と全てを見渡せるとも。獲物の捕食率や危険察知能力も高くなりそうですね。

人間の10倍もの色別能力

私達人間の場合、基本三原色とあるように3種類しかない色覚ですが、モンハナシャコの場合には12種類もの色覚が備わっているようなんです。

これは、人間の場合に色として判別できるものが1万色なのに対してモンハナシャコのそれは10万色の色別能力があることになります。なんと我々人間の10倍もの色を色別出来るんですね。

他の生物では不可能な円偏光(えんへんこう)視認能力

またこの視力においてもう一つ驚くべき事実があるのです。

それは、他のいかなる生物でも認識不可能な「円偏光」を見ることが出来るという凄さです。と言われてもあまりピンと来ませんよね。

円偏光の写真

出典画像:Wikipedia

円偏光と言うのはその振動が螺旋状に回転する光のことで、これを視認することが出来るモンハナシャコは単純な景色の中に様々なデータが確認出来るようなんです。

この視認能力を有するのはモンハナシャコとその他数種のシャコの仲間だけということで、研究者の間では通信や映像などへの応用が出来ないものかと研究が進められているようですね。

一方我々も含めそれ以外の生物においては直線偏光しか視認出来ません。この能力によりモンハナシャコは暗視スコープのような暗闇での可視や赤外線や紫外線果ては電波の認識までも出来るようです。

しかしこれら以外にも研究が進めば秘められた能力の発見がありそうですね。

しかしこの目が弱点でもある

前述のようにモンハナシャコの視力の良さはずば抜けて特筆すべきところなのですが、実はこの目が弱点ともなってしまうようなのです。この目を戦いの時にやられてしまうとたちまちに戦意喪失となってあっけないくらいに簡単に外敵にやられてしまうことがあります。

あまりにもずば抜けた能力を持つがゆえに、やられてしまった時のダメージも大きいということかも知れませんね。


モンハナシャコに天敵はいるのか?

ずば抜けた能力に攻撃性を兼ね備えたモンハナシャコですが、果たして天敵となるような動物はいるのでしょうか?

実はモンハナシャコは、生息する巣穴周辺では生態系でも上位に位置し天敵となる動物はいないようです。実際に、全て同じ体形に直して考えるとモンハナシャコに勝てるものは居ないとも言われているようですから。

そう考えると、身近な天敵は縄張り争いをする同種のモンハナシャコかも知れません。実際に、この争いで命を落としてしまうこともあるようです。

知能が高く、補強された巣穴に潜み、一発KOの必殺パンチ!まさに最強ではありますが、残念ながら実際にはモンハナシャコを捕食する動物も存在します。

それがタコとゴマモンガラなどの大型の魚になります。凄まじい武器を所有していても15センチメートル程の小柄なモンハナシャコですこれらに捕食される姿が度々目撃されています。

ゴマモンガラの写真

出典画像:Wikipedia

モンハナシャコは飼育出来る?

このモンハナシャコはエイリアンのような外見も人によっては可愛く感じるようで、実際にペットとして飼育されている方も多く存在します。

手間もあまりかからなく比較的飼育も難しくないようですよ。ただし、強力なパンチがあるので頑丈な水槽が必要になりますね。

飼育に必要な機材一式は2万円から3万円程度で揃えられ、個体の値段も5千円から8千円程度のようです。

ただし、やはり危険は付きまといます。パンチによる爪の破壊やの指の骨折などの怪我や事故なども起こり得るので充分に注意する必要はありそうですね。

まとめ

今回は危険でありながらも摩訶不思議な能力を持つモンハナシャコについて説明をしてまいりました。

独特な風貌に、驚異の能力を持つ小さなモンスターには興味が掻き立てられたのではないでしょうか?

ダイビングなどでもお目にかかることが出来そうですが、もし間近で見つけてもあの恐ろしいパンチを思い出してくださいね。不用意に手を差し伸べるような真似は絶対にしないでください。

美しい体色を距離を置いて眺める。これがモンハナシャコとの上手な付き合い方なのかも知れません。

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