今回は日本に生息するムカデについてそのメジャー種となる種類と危険度をランキングでご紹介します。
ムカデは、日本全国に生息する節足動物ですが、日本だけでも130以上にもなる種が存在します。
これを世界に目を向けてみると、その数は2000を超えるとなるのですから驚いてしまいます。
ムカデは、たいていの種において強弱の差はありますが、毒を持っているのです。
咬まれると非常に厄介な種類もあり、私たち人間にとっては危険な害虫となるのです。
そのムカデの生態はどのようなもので危険とされる種はどれなのか?
詳しく見てまいりましょう。
ムカデ
ムカデは、「節足動物門 多足亜門 ムカデ網 測気門亜目」に属する生物です。
よく昆虫として扱われますが、正式にはクモ同様に昆虫ではありません。
細長い体つきで、頭部と奇数対となる多くの肢が並ぶ胴部からなります。
ムカデの種類は非常に多く、世界では2000以上、日本に生息する種も130以上になります。
体長は種によって様々で4ミリ程度の小さなものから30センチ以上にもなる大型のものまで様々です。
特徴としては、ほとんどの種のムカデは毒を持ちます。
種によって毒の種類も異なりますし、毒の強弱の違いもあります。
しかし、中には非常に強力な毒性を持つ種もあり、私たち人間にもその牙が向けられることがあります。
ムカデの生態
ムカデは日本では北海道から沖縄まで全国に生息をしています。
実は以前は寒さが厳しい北海道では生息は確認されていなかったのですが、温暖化が進む現在では北海道にも生息をしていることがわかっています。
行動や基本的に夜行性で、夜になると餌を求めて動き回ります。
食性は肉食性で、種類によって異なりますが、昆虫などを捕食しています。
大型のムカデになると、カエルやトカゲ、ヘビ、鳥、コウモリなどの小動物を捕食するものもいるようですね。
この肉食気質から、動くものにはとりあえず咬みつく習性があるようで、うっかり庭作業時に咬まれてしまうという危険性もあるのです。
繁殖は卵生で、基本的には生まれた瞬間から独り立ちですが、種によっては当初は子供の面倒を見るような場合もあるようです。
ムカデの分類(種類)
前述のようにムカデは、「節足動物門 多足亜門 ムカデ網 測気門亜目」に属する生物です。
この測気門亜目はさらに「ナガズイシムカデ目」「イシムカデ目」「オオムカデ目」「ジムカデ目」に下位分類がされます。
ナガズイシムカデ目
ナガズイシムカデ目は、「オセアニア」「ニュージーランド」に生息2種の存在が確認されています。
「代表種」
- ナガズイシムカデ科 ナガズイシムカデ(オセアニア)
イシムカデ目
イシムカデ目は多くの種類が属する目で、比較的小柄な種になります。
「代表種」
- イッスンムカデ科 イッスンムカデ
- トゲイシムカデ科 トゲイシムカデ メクライシムカデ トゲイシムカデ
- イシムカデ科 イシムカデ ヒトフシムカデ
オオムカデ目
オオムカデ目はこちらも多くの種類が属し、ムカデとして最も知られているのがこのオオムカデ目になります。
属するほとんどが大型種で最大で30センチにも達するものもいます。
「代表種」
- アカズムカデ科 アカズムカデ属 アカズムカデ セスジアカズムカデ
- メナシムカデ科 メナシムカデ属
- オオムカデ科 オオムカデ属 トビズムカデ アオズムカデ タイワンオオムカデ アオズムカデ
ジムカデ目
ジムカデ目は最大の種類を属する目で、ほとんどの種が小型なものが多いようです。
「代表種」
- マドジムカデ科 フタマドジムカデ ミドリジムカデ
- ベニジムカデ科 ベニジムカデ
- ジムカデ科 スミジムカデ ホソツチジムカデ ヨコジムカデ
- オビジムカデ科 ヨシヤジムカデ
- ナガズジムカデ科 ツメジムカデ ナガズジムカデ ニブズジムカデ モイワジムカデ アゴナガジムカデ
- オリジムカデ科 ヒラタヒゲジムカデ
- マツジムカデ科 サキブトジムカデ エスカリジムカデ チチブジムカデ モモジムカデ
ムカデの危険性(咬傷・毒性)
ムカデは肉食性で、獲物を咬んで毒を注入して麻痺させ捕食します。あまり目が良くないので動くものに触れるととりあえず咬むという習性もあるようです。
その咬む動作は非常に素早く、私たち人間にも咬傷被害が起こり得るのです。
日本にいるムカデで咬傷被害を及ぼす種は次になります。(日本中毒情報センターレポートより)
- トビズムカデ
- アオズムカデ
- アカズムカデ
- タイワンオオムカデ
ムカデの毒性
毒成分は酸性になりますが、その毒性は種類により異なります。
症状は、ムカデの種類よりも被害患者の個人差もあると報告されています。
ムカデに咬まれた時の症状
激しい痛みに、しびれ、灼熱感、炎症などの局所症状がほとんどで、稀に発熱や頭痛、嘔吐、めまいなどの全身症状に至る危険性もあるようです。
ムカデに咬まれた時の処置
抗ヒスタミン軟膏の塗布、また咬まれた直後であればアンモニア水の塗布も有効です。
しかしアナフィラキシーショックの発生という危険もありますので、念のため医療機関で受診をされる方が良いでしょう。
日本に生息する注意すべき危険なムカデ
ムカデはほとんどの個体で強弱の差はありますが、毒を持っています。
咬まれてしまうと厄介なことになり兼ねません。
日本に生息するムカデで気を付けるべき種を見てみましょう。
トビズムカデ
- 分布 日本全国(北海道にはいないとされていたが南部で確認)
- 体長 8から16センチメートル程度(20センチメートルという個体もあり)
- 危険 高度
個体によって違いはありますが、深緑の胴体に朱色の頭部、黄色の肢が特徴的です。
日本原産では最大級のムカデで、このトビズムカデによる被害が最も多いとされています。これは、餌となるゴキブリを求めて民家への侵入があることが原因とされています。
普段は、落ち葉など湿った空間を好み生活しています。
夜になると餌となる昆虫や小動物を求めて動き回ります。
餌の中にはバッタやゴキブリなどの害虫に、ネズミなども含まれるので益虫となる一面も持っています。
トビズムカデはハチの毒と似た性質の毒性を有し、危険度は高い種類のムカデになります。
アオズムカデ
- 分布 北海道を除く日本全国
- 体長 8から12センチメートル程度
- 危険 高度
アオズムカデは日本のみ生息する固有種です。
頭部や胴体は、青や紫と青みがかっているので、すぐにアオズムカデと判別がつきます。
肢は、黄色や赤などがあり、この部分だけみるとトビズムカデに似ていますね。
普段は暗く湿った場所を好み、夜になると餌となるクモなどを求めて活動します。
アオズムカデの毒性は強く危険度は高くなります。
咬まれてしまうと、痛みや腫れに嘔吐などの症状が起こります。
痛みは、長く続くこともありますので注意が必要です。
アカズムカデ
- 分布 北海道から南西諸島
- 体長 7から12センチメートル程度
- 危険 高度
細長く真っ黒な胴体に、真っ赤な頭部に肢をもつ特徴的なムカデになります。
ムカデの中では非常に強い毒を持ち、危険な種類のムカデになります。アカズムカデに咬まれてしまうと、激しい痛みに襲われ痺れの症状が起きます。
毒が全身に回ってしまうと「発熱」や「嘔吐」、重症な場合には「リンパ管炎」「潰瘍」「アナフィラキシーショック」などを起こすこともあります。
非常に危険なムカデですが、ペットとして飼われることもあるようです。
直射日光を嫌うようで、暗く湿った環境を好み生息します。
7年程度も生きるようで長寿のムカデになります。
タイワンオオムカデ
- 分布 沖縄諸島、南大東島、北大東島、八重山諸島
- 体長 20から25センチメートル程度
- 危険 中度
タイワンオオムカデは体長が25センチメートルにもなる大型のムカデです。
日本原産最大級のトビズムカデよりも大きいので、日本に生息するムカデでは最も大型のムカデということになります。
細長い胴部は黄褐色で黒い縞模様が入ります。また肢も胴部同様の黄褐色となり、頭部と尻尾は鮮やかな赤色をしています。
タイワンオオムカデも毒を有しますが、それ程までに強力な毒性というわけではありません。
咬まれると、痛みが続き赤く腫れあがることはあるようですが、重篤化する程ではなく抗ヒスタミン軟膏で治まるようです。
もともとが温暖な気候を好み、また他のムカデ同様に湿った環境を好み生息をしています。
普段は石の下や腐った木の下などに隠れていて、夜になると活動的になり昆虫を捕食します。
セスジアカムカデ
- 分布 北海道から沖縄まで日本全国
- 体長 5から7センチメートル程度
- 危険 低度
セスジアカムカデは、比較的小さい種類のムカデで頭部は赤、胴部は赤褐色、尻尾と胴体は黄色っぽい色味をしています。
個体によっては深みのある藍色のものもいるようです。
多くのムカデ同様に暗く湿った場所を好み生息しています。
主には林内の落ち葉の下や樹皮内に潜み、夜になると餌の補色など活動的に動き回ります。
人家周辺でも普通に見ることがあります。
毒は持ってますが、毒性はそれほど強いわけではありません。
咬まれても強烈な痛みが伴うほどでは無いようですが、人によっては腫れなどの症状が起こる場合もあるようです。
分類的には不快害虫とされ、不快感や恐怖芯を抱きますが危険度とすれば低い部類に入ります。
ヤンバルオオムカデ
- 分布 沖縄北部
- 体長 20から25センチメートル程度
- 危険 中度
ヤンバルオオムカデは、沖縄北部のみに生息しているムカデで滅多に見ることもできない非常に希少なムカデになります。
体長は20センチメートルオーバーと非常に大きなムカデで日本に生息するムカデの中では最も大柄な部類に入ります。
また、鮮やかな体色をしているのも特徴的で、青・翡翠色とも表現される美しい青が頭部から胴部、尻尾にかけてグラデーションのよう入ります。
このことからヤンバルオオムカデを飼育する人もいるようで希少性も相まって、高価で取引もされているようです。
非常に攻撃性が強いムカデですが、生態は詳しくは解明されていないことが多いようです。
また、毒を持つムカデですが、毒性自体はそこまで強力ではないようです。
しかし、大型種の為毒量が多く、咬まれると激しい痛みに腫れが生じます。場合によってはアナフィラキシーショックなどの危惧もあるようです。
イッスンムカデ
- 分布 北海道から沖縄まで日本全国
- 体長 3から4センチメートル程度
- 危険 低度
イッスンムカデは3センチメートル程度と非常に小さい部類のムカデになります。
頭部が少し濃く目立ちますが、全体的に肢も含め濃褐色をしています。
普段は山中の土の中、落ち葉の下などの湿った場所に潜んでいます。非常に動きが機敏なこと、危険を感じると肢を切断して逃げるなど特徴が多いムカデになります。
毒はありますが、詳細は分かっておりません。
人間との接点が少なく咬まれることはありません。
モモブトイシムカデ
- 分布 関東以南
- 体長 1から2センチメートル程度
- 危険 低度
モモブトイシムカデも1センチメートル程度と非常に小型のムカデになります。
体色はオレンジ色から黄褐色で、透明感があるのが特徴的です。また名前の由来ともなっている最後尾の肢が非常に太く発達していて尻尾が4本あるかのように感じます。
普段は、多くのムカデ同様に湿った落ち葉の下などに好んで生息しています。
毒性はあるようですが、詳細は解明されていません。
被害報告も少なく危険度は低いと思われます。
ベニジムカデ
- 分布 北海道から沖縄まで日本全国
- 体長 2から7センチメートル程度
- 危険 低度
ベニジムカデには多くの個体差があり、大きさも2から7センチメートルと幅が大きいですね。
体色は名前の通りに赤色ですが透明感があるので、オレンジに近い感じになります。
伸縮性があり、パッと見るとミミズのような印象を受けます。
普段は林家山中の腐った木の中に潜むムカデで、遭遇する危険性は少ないです。
毒はありますが、強い毒ではないため、危険性は低い種類のムカデと言えますね。
その他
これら以外にも
- スミジムカデ
- ホソツチムカデ
- ヨコジムカデ
- ツチムカデ
この4種が毒を持つムカデとして知られていますが、データが不足しているので詳細は分かりません。
いずれの種も毒性は弱、遭遇率も低いので、危険度は低いと考えられています。
日本のムカデ危険度ランキング
前項でご紹介したムカデの中で、毒性が強く咬傷の危険性がある種のTOP5をランキング形式でご紹介します。
危険度ランキングTOP5にエントリーするムカデ
前述のように、日本中毒情報センターで咬傷により気を付けるべきムカデとしてあげているのは「トビズムカデ」「アオズムカデ」「アカズムカデ」「タイワンオオムカデ」の4種になります。
ここの前項でご紹介した「ヤンバルオオムカデ」を加えた5種が日本に生息するムカデで咬傷の危険性が高いムカデ5種となるでしょう。
これら以外のムカデに関しましては、咬まれて痛いおもいをしたり、見て不快感を覚える程度の不快害虫扱いとしランキングからは除外させていただきます。
それでは早速TOP5を見てみましょう。
日本に生息するムカデ危険度ランキング第5位
日本に生息するムカデ危険度ランキング第5位は「ヤンバルオオムカデ」になります。
前述では危険度中としておりますが、実際には詳細がはっきりとつかめていないのでこの順位にさせていただきました。
鮮やかな体色は、毒々しさも感じさせますし、毒成分の解明が進めばもしかするとTOP3に入る程の猛者となるかもしれません。
詳細が分からない現状では、この第5位が「ヤンバルオオムカデ」の妥当な順位かと考えられます。
日本に生息するムカデ危険度ランキング第4位
日本に生息するムカデ危険度ランキング第4位は「タイワンオオムカデ」になります。
毒性自体は中程度ではありますが、何と言っても体が大きなムカデになります。
咬まれてしまった場合の傷や損傷具合、注入される毒の量は身体に比例して多くなりますね。
このことからも「タイワンオオムカデ」の第4位は妥当な順位となるかと思います。
日本に生息するムカデ危険度ランキング第3位
日本に生息するムカデ危険度ランキング第3位は「トビズムカデ」になります。
トビズムカデは日本固有のムカデとしては最大級の大きさを誇ります。
それゆえ、咬まれた時の損傷具合は大きくなりまた、毒性もかなり強く注入される毒の量も多くなります。
人家に侵入することも非常に多いムカデで、日本におけるムカデ被害ではこのトビズムカデによるものが圧倒的に多いのです。
これらを鑑みるとトビズムカデの第3位は妥当と考えられますね。
日本に生息するムカデ危険度ランキング第2位
日本に生息するムカデ危険度ランキング第2位は「アオズムカデ」になります。
このTOP2から毒の強さは格段に強くなります。
第3位のトビズムカデよりもかなり強力な毒性となります。
咬まれた時の激痛や腫れなどその後の症状には注意が必要な程に厄介なのがアオズムカデなのです。
日本に生息する130種を超すムカデの中でも2番目に危険なムカデになります。
日本に生息するムカデ危険度ランキング第1位
日本に生息するムカデ危険度ランキング第1位は「アカズムカデ」になります。
この結果は、日本中毒情報センターでも日本のムカデで最も危険とされるものにこのアカズムカデをあげているので疑いようは無いでしょう。
非常に強力な毒性に、伴う激しい痛みやしびれ、重篤化する危険性など、どれをとってもずば抜けて危険とされています。
黒い胴体にそれを囲むように赤色の頭部に尻尾、肢。
このアカズムカデを発見したら、絶対に触らないようにしましょう。
まとめ
今回は日本に生息するムカデについてそして危険性のランキングをご紹介しました。
都会に暮らしていると馴染みの薄いムカデですが、日本全国に130種を超えるムカデが生息をしています。
厄介なのはムカデは毒を持つということですね。
しかもTOP5に入るようなムカデの毒は危険性も高いので咬まれてしまうと非常に危険です。
パット見てこれは何ムカデと判別するのは、プロでないと難しいかと思われます。
ムカデを見たら毒性の強弱にかかわらず、決して触らず駆除をお願いしましょう。