ホッキョクグマとヒグマとグリズリー、どれも陸上で「最強」と呼ばれる生物です。
でも実は種族としてとても近かったり、でも冬眠の様子が全然違ったりと調べてみると面白い3種類なのです。
この記事ではその違いや特徴、そして強さについてご紹介していきます。
目次
ホッキョクグマの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Ursus maritimus
- 分類:食肉目クマ科クマ属
- 分布:北アメリカ大陸とユーラシア大陸の北極圏
- 体長:250~300cm
- 体重:400~600kg
ホッキョクグマの特徴・生態・性格・寿命
一般的に「シロクマ」と呼ばれるように全身が白い毛で覆われているような見た目をしています。
実はこの毛は白いのではなく、防寒性能を高めるために中が空洞になっていて透明なのです。そのため、光が乱反射し「白く」見えています。
ホッキョクグマはクマの中でも食肉生が一番強く、主にアザラシやイルカクジラなどの死骸を食べます。
成獣のホッキョクグマは1週間に1頭のアザラシを食べると言われており、餌を求めて海中を移動することも多く、遊泳能力に優れ、65kmも泳いだ記録が残されています。
ホッキョクグマの寿命は野生では25〜30年と言われており、飼育化では一般的に24年前後、長いもので34年生きた個体もいます。
ホッキョクグマの冬眠は起きている?
一般的なクマが冬眠するのは冬から春にかけてです。ですが、ホッキョクグマの場合は逆で、夏から冬にかけて、つまり海に氷が張らない季節は冬眠しています。
ただし、完全に冬眠し仮死状態になっているわけではなく、歩き回っています。
氷の張らない時期のホッキョクグマはほぼ絶食状態になるため、エネルギーを使わないよう、体温を下げ、体内の機能は最小限に押さえたまま行動しているのです。
そのため「歩く冬眠」と呼ばれています。
ヒグマの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Ursus arctos
- 分類:食肉目クマ科クマ属
- 分布:ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の温帯〜ツンドラ気候帯
- 体長:200~300cm
- 体重:200~500kg
ヒグマの特徴・生態・性格・寿命
ヒグマの特徴はその巨大な体格と大きな頭、そして肩のこぶです。
ただし、ヒグマの体格は餌が多い地域ほど大きいため、栄養状態によって個体差が生じています。
ヒグマは主に針葉樹林帯の森林地帯に生息し、大型の草食動物やサケなどの魚類、木の実などを食べます。
ただし、遭難者の遺体や登山客、または土葬された人間の遺体を食べたヒグマは人間の味を覚え、餌と認識するため、繰り返し人間を襲う傾向があります。
ヒグマは一度餌として認識したり、襲ったものが逃げた場合、強い執着心をみせ、執拗に追走します。また、学習能力が高く計画的に人里を襲う個体もいます。
開拓期の北海道では人の味を覚えたヒグマが男女合わせて7名が殺害した「三毛別羆事件」が有名で、この時襲撃してきたクマは体に白い帯状の模様があったため、「袈裟懸け」と呼ばれ、体重は340kgあったとされています。
ヒグマは近年巨大化している傾向があり、2007年には520kgものヒグマが罠にかかったこともあります。
そしてその体格の巨大化に比例して、なかなか倒すことが難しく、ライフル一発では倒せないと言われており、最初の狙撃の後で銃弾を装填している時に襲われるハンターもいるそうです。
ヒグマの寿命は野生では20〜25年、飼育化では30年ほど生きた個体もいます。
グリズリーの基本情報
出典画像:Wikipedia
- 学名:Ursus arctos horribilis
- 分類:食肉目クマ科クマ属
- 分布:北アメリカ大陸
- 体長:200~300cm
- 体重:200~500kg
グリズリーの特徴・生態・性格・寿命
一般的に「グリズリー」と呼ばれていますが、実は正式名称ではなく通称です。
種類としては「ハイイログマ」といい、体格や外見、食性、そして寿命はほぼヒグマと同じで、肩のこぶがヒグマよりも少し大きいということぐらいです。
ヒグマは言わずと知れた陸上で最強の部類の生物で、グリズリーも同様にその巨大さと強さ、学習能力の高さから最強の呼び声が高い生物です。
ちなみにアメリカではハイイログマを「グリズリー」と呼び、ヒグマを「グラウンベアー」と呼ぶことがありますが、明確な基準はありません。
グリズリーはヒグマ同様に学習能力が高く、それを利用してアメリカではサーカスなどで調教されショーに出ているグリズリーもいますし、人と一緒に生活し、テレビ出演している映像も見たことがあるのではないでしょうか。
ヒグマとかなり近い種でありながら、日本での「猛獣」「害獣」「天災」という印象とは少し違い、「ショーに出てくる動物」という印象が強いようです。
3種のクマの違いは見た目ぐらい?強さは?
この3種のクマはそれぞれ種族的にかなり近いことをご紹介しました。冬眠の時期や体色はホッキョクグマが大きく異なっていますが、そのほか体格や体重はほぼ同じです。
ではその強さはいかがでしょうか。
クマ同士の共食い
山に入る人たちの間では、「クマの死体は滅多にない」と言われています。それはなぜかというと、クマ同士での共食いがあるからです。
よくあることといえば、「子殺し」です。餌に困ったクマは自分の子供すら食べてしまったり、同種のクマを襲ったりしてしまうのです。
北極圏ではメスのホッキョクグマが子グマを守るために腹をすかせたのホッキョクグマやグリズリーと対決する姿が目撃されています。
強さの順番は?
こうした状況で、3種のクマがそれぞれ戦ったらどうなるのか。
前述した通り、ヒグマとグリズリーはほぼ同種と考えてよいでしょう。強さも個体差はありながらほぼイーブン。互角と言えるでしょう。強いていうなら餌を豊富に食べて育った大きな体格の方が勝つのでしょう。
ところが、ホッキョクグマ対ヒグマ、ホッキョクグマ対グリズリーではどうか。これは話が別で、この勝負はホッキョクグマに軍配が上がります。
それはやはり体格です。ホッキョクグマと他の2種を比べてみると、比較的ホッキョクグマの方が体長も大きく、体重も重いのです。
これは寒い地方に生息しているため、体内に脂肪を蓄える傾向が強く、体重が重たくなるからです。
取っ組み合いになったとしても、のしかかられたらひとたまりもありません。
よって、3種の中ではホッキョクグマを1位、そしてヒグマとグリズリーは引き分けになるでしょう。
まとめ
ほぼ陸上生物頂上決戦のような比較でしたが、やはり体格差は動物界では決定的のように感じます。
ただし、陸上最強のホッキョクグマですが、実はホッキョクグマの天敵はシャチなのです。
氷の上にホッキョクグマが逃げ、周りをシャチがぐるぐる回りながら尾びれで海水を氷にかけて溶かし追い詰めている姿が目撃されています。
陸上から地球上に範囲を広げた時、果たして最強はどんな生物なのでしょうか。