楽しい夏の到来!
しかし、それと共に私達を悩ます天敵も姿を見せるようになります・・・。
その天敵の正体とは「蚊」です。
刺されてしまうと、痒くて痒くて、鬱陶しいことこの上ありません。
不思議なことに、同じ人間でも蚊に刺されやすい人と刺されにくい人が存在するのです。
どうやらこれには、肌の色や性別、女性ホルモンなどなど様々な要因が考えられるようですね。
以前であれば、血を吸い痒みを与える憎い奴で済んでいましたが、近年ではヤブ蚊などは病気を媒介する危険生物となっているのですから侮れません。
今回は、この蚊について、生態に危険性、刺されやすい人の特徴や対策(刺されない方法)など、ご紹介してまいります。
蚊
「蚊の基本データ」
- 分 類 ハエ目(双翅目) 糸角亜目(カ亜目) カ科
- 学 名 Culicidae
- 和 名 蚊
- 英 名 mosquito
- 体 長 種によって様々ですが、大きくても15ミリメートル以下
- 分布域 熱帯、亜熱帯を中心に世界中
蚊は、「ハエ目(双翅目) 糸角亜目(カ亜目) カ科」に属する昆虫で、熱帯亜熱帯地域を中心に世界中に存在します。
下位分類には「イエカ属」「ヤブカ属」「ハマダラカ属」などがあり、その数は30属以上(35属説あり)3500種とされています。
種類は気候などにより様々ですが、日本は比較的縦に長い地形を持つことから多くの種が生息していて、不確定要素はありますが17属112種が存在するとされています。
蚊の生態
蚊は、ハエと同じく2枚の翅を持ち飛び回りますが、飛行能力はそれほど長けてはいません。
蚊と言えば吸血のイメージが強いですが、実際の蚊の主食は花の蜜なんです。
吸血するのは産卵に必要な栄養源(たんぱく質)を補うためで、雌だけが起こす行動なのです。
また、種類(全種類の4分の1程度)によっては雌も吸血を行いません。
※なお、多くの蚊の吸血対象は人間だけに限らず多くの哺乳類、中には魚類や爬虫類などもその対象となります。
日本には112種の蚊が存在しますが、人間とかかわりのある種はその内の10種程度ですね。
その中でも特に「アカイエカ」「ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)」「チカイエカ」が一般的に多く見かけます。
ただし、チカイエカは少々特殊で形態的にはアカイエカと非常に酷似し見分けることが出来ません。
ビルなどの浄化槽や貯水槽で発生するため、オフィスや地下鉄などで年中見かけます。
一方、アカイエカやヒトスジシマカは、活動期間は限定的ですが水のある所ならどこでも産卵してしまいます。
池や沼はもちろんですが、古タイヤや空き缶などの小さな水たまりでも産卵羽化することが出来るのです。
先ほど、チカイエカは年中見かけるとしました。
それ以外の蚊の活動期間は夏場(実際には4月から10月頃まで)で、これは主な蚊の活動適温が25度から30度となるためです。
室内で見るアカイエカは25度前後、外で見かけるヒトスジシマカは30度前後が活動適温とされています。
反対に30度を超えるような暑さの場合には、蚊は活発に動かなくなるようですね。
蚊の持つ危険性
蚊に刺されてしまうと、痒みを伴い非常に不快な思いをしてしまいます。
しかし、本当に危険なのは命にかかわるような恐ろしい病気を媒介することにあります。
正直なところ、この蚊による危険性は、日本ではあまり認知されていませんでした。
しかし、最近になって日本でもその恐ろしさを伝えるニュースが頻繫に取り上げられるようになりました。
実際に、世界中では1年間に蚊に刺されたことにより命を落とす方が75万人以上もいるのです。
これは、蚊が最も人間を死に至らしめる生物となるのですから驚いてしまいますね。
蚊が媒介する疾病
蚊が媒介する疾病としては次のものが多く見られます。
- 日本脳炎 (コガタアカイエカなど)
- デング熱 (ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)
- 黄熱(ネッタイシマカなど)
- マラリア(ハマダラカなど)
- フィラリア(ネッタイイエカなど)
- ウエストナイル熱(アカイエカ、ヒトスジシマカ など)
- ジカ熱(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)
これらはいずれも、一歩間違えれば命を落としてしまうような病気です。
中でもハマダラカという蚊は年間でも数百万単位のヒトの命を奪い続けています。
感染者に吸血することでさらに拡大する危険性があるため、例え日本では発症例が無い疾病だからと言って安全とは限りません。
来日する外国人の増加や海外渡航者の増加など、いつ日本でこれらの疾病が発症しても不思議ではないのです。
知っておきたい蚊の対策
前述のように、これまでとは違い蚊に刺されることの危険性は非常に高くなっています。
そうならないためにも、まずは蚊に刺されないことですね。
蚊は、人間などの吸血対象となる哺乳類を見つけるのに「二酸化炭素」「生物の揮発成分」「発生する熱」、この3つを感知しているのです。
この3つの内2つを感知すれば、吸血行動に移るようです。
これらを踏まえて対策などを考えてみましょう。
蚊に刺されやすい人の特徴
さて、大勢の人間がいる中でなぜか集中的に蚊に刺される人、いわゆる「蚊に刺されやすい人」がいるようです。
まずは、この蚊に刺されやすい人の特徴を見てみましょう。
これには、上述の3つの要素に含まれる「体温」「二酸化炭素」「汗」「体臭」の他に「身体の大きさ」や「色」などがかかわっているようです。
- 子供(赤ちゃん)
大人より体温が高い子供の場合には、蚊に刺される要素も多分にあるようです。
また新陳代謝も活発で二酸化炭素の排出も多くなること、さらには活発に動き回り汗をかくことなどから蚊の標的になりやすいようです。
- 運動直後
運動直後は、呼吸も速く二酸化炭素の排出も多くなります。また当然汗を多くかいていますので、蚊に狙われやすくなります。
ちなみに、運動時は蚊が動いている人間についていけないので、運動直後になるようです。
- 飲酒
飲酒により、血管が広がり体温が高くなるとされています。
また、二酸化炭素も平常時より多く排出されますが、特にビールなどの炭酸系などではより蚊の標的になりやすいようです。
- 男性
女性に比べて男性の方が蚊に刺される割合は多いとされています。
これは実験結果で実証されていますが、発汗や体温、身体が大きいなど様々な要因が考えられるようです。
- 生理中の女性
もともと女性は男性よりも筋肉組織の関係上体温が低く刺されにくいのですが、月経中などの女性は比較的蚊に刺されることが多いようです。
これは女性ホルモンが関係するようですが、確実なことは分かっていません。
- 体臭
体臭もきつい人の方が蚊に刺されやすい傾向があるようです。
また、刺される部位から足の臭いを好む傾向があるとも考えられています。
また、同様に香水にも一部蚊の好む香りがあるようです。
- 濃い色
白い服を着ている場合よりも黒い服を着ている場合の方が、蚊に刺される割合が高くなるとされています。
これは、熱をこもらせることも大きく関係しているとされています。
また、ミャンマーではインド人とビルマ人そして中国人が混在しますが、ここではインド人の蚊に刺される割合が高いことも分かっています。
この場合には、皮膚の色と体臭が関係しているとされています。
そう考えると、服の色も熱の有無に関係なく濃い色という考え方もできます。
- 血液型
血液型でO型の人が刺されやすいという話は聞いたことがあるかと思います。
ある種都市伝説的な感じもしますが、O型が最も刺されやすく、次いでB・AB・Aの順番になるようです。
ただし、これには一切科学的根拠は存在していません。
刺されない方法
それでは、蚊に刺されないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。
これは、前述の刺されやすい人の反対を実践すれば良いのですが、どうしようもないものもあります。
しかし、可能なものは実践しましょう。
- 汗をかいたらすぐに拭くこと
- 足などの衛生を保つこと
- 色の薄い目の細かい服装そして肌の露出を減らすこと
これらは、実践可能なことになりますね。
後は、対策として「蚊取り線香」や「虫よけスプレー」のなどの活用をおすすめします。
また、蚊は飛行能力が弱いので少しの風でも上手く飛ぶことが出来ません。
これは、近づけないことと仮に着地されても吸血が上手く出来ないという2重の効果があります。
外で風がある場合には比較的安心できますし、また室内でも扇風機などを使うことで効果を発揮させることが出来ます。
蚊を発生させない
そもそも蚊の発生を防止することも大切です。
前述のように、ごく少量でも水溜りがあれば卵を産みつけてしまいます。
そして幼虫のボウフラを経て成虫の蚊となるのですが、この間は10日程度です。
まず、周りにこの水溜りを作らないことが大切です。
庭にある古タイヤや空き缶、バケツなどは片づけましょう。
また、植木や鉢なども気を付けなくてはいけません。
受け皿の水は、こまめに捨てる習慣を付けてください。
室内でも同様です。
花瓶など植物の管理はきちんとすることと、ペットボトルに残った水なども放置してはいけません。
まとめ
今回、蚊についてご紹介しました。
数年前より、ジカ熱やデング熱など海外の病気が蚊によって日本でも発症するなど、危険が身近に迫ってきています。
命を脅かす危険性もあるのですから、もはや対岸の火事では済まされませんね。
「たかが蚊」がもう「されど蚊」になっているのです。
蚊の発生を防ぐことと、刺されないように細心の注意を払う。
楽しく夏を過ごすためにも、まずはこの出来ることから始めておきましょう。