アフリカのサバンナには数多くの動物が棲息しています。
さて、その中で最強の動物と言うと、皆さんはどの種の動物を想像するでしょうか?
間違いなく名前があがるのがライオンかも知れませんね。サバンナの生態系の頂点に君臨する百獣の王ですから、当然と言えば当然と言えるでしょう。
しかしながら、それは正直なところ正解ではないようです。
もちろん、ライオンは弱い動物ではありませんが、そんなライオンよりも強いとされる動物が意外と多く存在しているようです。
そこで今回、百獣の王ライオンよりも強い動物をその理由と共に一覧でご紹介します。
さて、ライオンよりも強いとされる動物とは、一体どの種なのでしょうか。
目次
「ライオンよりも強いとされる動物」今回の基準は?
さて、今回はライオンよりも強いとされる動物を考えてみますが、その基準としては雄の成獣のライオンとの1対1での戦いとなった場合を想定します。
戦う相手としては、川や海などの水棲生物は戦い方が変則となり性格な判断をしにくいので除外します。
つまり今回は、ライオンと同じ陸棲生物に限定となります。ただ、ワニやカバなど沼が生息地となる種は陸棲生物として扱います。
その結末としては、ライオンが倒されてしまう場合またはライオンが逃げ出してしまう場合と考えますが、ライオンが諦める場合は除きます。
空を飛んだり、殻や土中に籠ったりした場合にはライオンよりも強いとはみなしませんのであらかじめご了承ください。
ライオンは雄ライオンなのか?狩りは雌ライオンがするのでは?
ライオンの狩りはもっぱら雌ライオンが行うため、雄にはあまり戦闘的な印象を持たない方も多いかも知れませんね。
どーんとふんぞり返って、雌が仕留めた獲物を最初にありつく、何とも羨ましい生活を送っているのが雄ライオン…なんて考えるのは浅はかなんです。
実は雄ライオンは戦うために生まれてきたと言っても過言ではありません。
ライオンの最大の敵は、群れ(プライド)を乗っ取る別の雄ライオンなんです。この戦いは非常に激しいもので、これにより命を落としてしまうケースも多いのです。
このため、常に雄ライオンは生死をかけた戦いを強いられることになります。
自然下のライオンにおいては、雌ライオンに比べて雄ライオンの寿命が圧倒的に短くなるのは、これが理由なんですね。
雄ライオン基本データ
- 分 類 食肉目 ネコ科 ヒョウ属
- 学 名 Panthera leo
- 和 名 ライオン
- 英 名 Lion
- 体 長 大きいもので250センチメートル程度(雄)
- 体 重 大きいもので250キログラムを超える(雄)
- 肩 高 123センチメートル程度(雄)
- 尾 長 大きいもので105センチメートル(雄)
- 分布域 サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
言わずと知れた百獣の王ライオンです。中でも雄は、あらゆる外敵との激しい戦いをするために生まれてきました。
ライオンは、アフリカのサバンナでは最大かつ最強の肉食獣とし生態系の頂点に君臨しています。
それでも、雄ライオンは安泰と言うわけではないようですね。
ライオンの攻撃力を見てみると、鋭い爪に8センチメートルにもおよぶ大きな牙、そしてその牙をフルに活用する強い顎の力が突出しています。
その噛む力は500キロとも言われています。
さらに、身体能力も非常に高く、ジャンプ力に走る速さは時速60キロとなる俊敏性、そして大型動物を捕まえ引き倒してしまうパワーなどなど。
このように、ライオンには肉食動物として必要なものは全て備わっているのではないでしょうか。
また、ライオンの雄には鬣がありますが、これは身体を大きく見せることと急所となる首周りを保護する役割があると考えられています。
雄ライオンは、戦うための機能が備わったまさにバトルサイボーグなんですね。
実は、強いのは肉食獣とは限らない?
動物の強さを考えるときに、多くの方が草食動物を襲う獰猛な肉食獣をイメージすることでしょう。
しかしながら、これは食べるために行う行為であり、自然下では当たり前の行動なんです。
一方、草食動物は食べるために他の動物を襲うことはありません。争う場合は、餌場や水場、縄張りなどの奪い合いとなり、戦闘的な印象は肉食動物に比べて薄くなります。
このため、最強の動物として草食動物があげられにくいのですが、実際には草食動物も種によっては非常に強いものも存在するのです。
海にくらす水棲生物でも似たような現象が…。
このことは海に棲息する生物を見ても分かりますね。海での最強生物と言えば、サメやシャチなどの獰猛な肉食生物が考えられます。
しかし、サメなどは実はそこまで強くはありません。実際にイルカの体当たりを受けて死んでしまうケースも報告されています。
流石に哺乳類のシャチは、キラーホエール(クジラを襲う)とも呼ばれ最強との噂が絶えませんが、それでも最大のクジラとなるシロナガスクジラの成獣を倒すことは至難の業となります。
シロナガスクジラも分類上では肉食ではありますが、餌となるのは小さなプランクトンやオキアミに小魚などです。
サメやシャチのようにあからさまな肉食生物とは異なりますね。
しかしながら、海に棲息する最強生物として、このシロナガスクジラの名前をあげる専門家が非常に多いのです。
ライオンよりも強い動物一覧
それでは、ライオンよりも強いと考えられる動物をご紹介してまいりましょう。
アフリカゾウ
アフリカゾウの基本データ
- 分 類 長鼻目 ゾウ科 アフリカゾウ属
- 体 長 大きいもので7.5メートル程度
- 体 重 大きいもので10トンにも
現存する陸棲生物では最大かつ最強となるのが、このアフリカゾウです。
アフリカゾウの武器となるのは、その巨体から繰り出されるずば抜けたパワーです。
このアフリカゾウの突進を受け止められる陸棲生物は存在しませんね。
単純に踏みつけただけでも致命的なダメージを与えることが出来ますし、器用に動かせる鼻も有効な武器になります。
また戦闘時に有効的に使われるのが、長くて大きな牙です。牙は大きいものでは長さ3.5メートルで重さが120キロにも達します。
この丈夫な牙にアフリカゾウのパワーが加われば、相手はひとたまりもありません。
また、皮膚も非常に分厚く丈夫で、ライオンの爪や牙が有効打となることは難しいようです。
実際に、雄ライオンがアフリカゾウを仕留めるには10頭近く必要とするデータもあるほどで、如何に優れた雄ライオンでもこのアフリカゾウには敵わないでしょう。
しかし、これが一回り小さなアジアゾウになると雄ライオンにももしかしたら勝機があるかも知れません。
それでも、数倍近いリスクも存在しますが…。
カバ
カバの基本データ
- 分 類 偶蹄目(鯨偶蹄目とする説あり) カバ科 カバ属
- 体 長 大きいものでは4.5メートル程度
- 体 重 大きいものでは3.5トン程度
ゾウに次ぐ巨大陸棲生物の座を、サイと争うのがこのカバなんです。
しかも、このカバは地元の人間が最も恐れる動物で、ライオン以上にカバによる人間の被害が多いのです。
温厚そうに見えるカバですが、非常に縄張り意識が強く侵入者には徹底的に襲い掛かります。このことが人間が犠牲になる大きな要因のようですね。
このカバの武器は、大きな体から繰り出されるパワーに大きな口による噛みつきでしょう。
しかもその口には50センチメートルから長いものでは1メートルにもおよぶ丈夫な牙が生えているのです。
これにより、ライオンやワニなどが噛み殺されてしまった事例があるほどなんですね。
雄ライオンはスピードで勝るものの、カバに決定打を与えることは難しく、一噛みされてしまえばそれだけで致命傷を負わされてしまいます。
数頭の雄ライオンがいれば話は別ですが、1対1の戦いで勝機を見出すのは難しいでしょう。
このカバを相手に戦えるのは、前述のゾウと次に登場するあの動物くらいしかいないようです。
サイ
シロサイの基本データ
- 分 類 ウマ目 サイ科 シロサイ属
- 体 長 大きいものでは4.5メートル程度
- 体 重 大きいものでは3.6トン程度
前述のカバの項でもお話ししましたが、サイはゾウに次ぐ巨大陸棲生物の座をカバと争うほどに巨大な動物です。
サイには4属5種が存在しますが、中でもこのシロサイが最も大型になります。
性格的には大人しいので滅多に争いをしませんが、一度戦闘モードに入ってしまえばもう止めることは出来ません。
サイの武器となるのは、この大きな身体はもちろんですが、パワーだけでなくスピードも兼ね備えています。
また、頭部には非常に長く鋭い角が生えていて、パワーとスピードを活かした突進の際にこの角を突き立てられたらひとたまりもありません。
この角は、長いものでは1.6メートルにもおよぶと言うのですから非常に強力な武器となりますね。
また、皮膚も非常に頑丈でライオンの牙や爪による攻撃は通用しないでしょう。
雄ライオンが1対1の戦いで、このシロサイに勝つ見込みはまずありません。
何と言っても、このシロサイに対峙できるのは圧倒的な強さを誇るゾウか前述のカバくらいしか存在しないのですから。
大型のクマ
ホッキョクグマの基本データ
- 分 類 食肉目 ネコ科 ヒョウ属
- 体 長 大きいもので3メートル程度
- 体 重 大きいもので600キロ程度(最大で800キロも)
大きなクマという漠然としたくくりをしましたが、グリズリーやコディアックヒグマそしてホッキョクグマがここに分類されます。
クマは、走ることも泳ぐことも木に登ることも可能な万能選手で、人間が追いかけられた際に逃げ道がないのがこのクマなんですね。
また、クマは非常にパワフルで、戦闘時には二本足で立ちあがるため非常に大きくなります。上からの攻撃は非常に有効的ですね。
クマの武器は、この恵まれた身体能力にくわえて鋭利な爪に鋭い歯による噛みつきです。
このクマを相手にした場合には、雄ライオンに勝機が無いわけではありません。非常に僅差の戦いになることは想像がつきます。
しかしながら、大きさとパワーで勝るクマにわずかながら有利な戦いとなると思います。
ややクマが有利!そんなところではないでしょうか。
キリン
キリンの基本データ
- 分 類 偶蹄目(鯨偶蹄目とする説あり) キリン科 キリン属
- 体 長 大きいもので体高5メートル程度
- 体 重 大きいもので1.5トン以上
優しい目をしたキリンがライオンよりも強いとされることには、驚きや反対意見もあるかも知れません。
しかしながら、圧倒的な背の高さは非常に脅威になります。
キリンの武器は、頭の角(実は5本もある)や首を相手にぶつけるネッキングと長い脚から繰り出される強烈な蹴りです。
高さがあるので破壊力は凄まじく、角が見事に命中すれば雄ライオンでも絶命してします。また同様にキリンの蹴りで命を落としたライオンも実際にいるようです。
ただし、キリンの場合には倒されてしまうと後はなすすべがありません。
雄ライオンにも十分に勝機があります。
蹴りなどの攻撃をいかに上手にかわして懐に入れるかがカギになりますが、それでも1対1の場合にはなかなか上手くいくことは難しいかも知れませんね。
キリンを倒さなければ雄ライオンの攻撃は、急所には届かず虚しく空を切るばかりです。
肉を切らせて骨を断つ戦法で向かうことで勝機は見いだせますが、多くの場合には肉だけでなく致命傷を負うことになりそうですね。
大型のウシ
アフリカスイギュウの基本データ
- 分 類 ウシ目(偶蹄目) ウシ科 アフリカスイギュウ属
- 体 長 大きいもので3.4メートル程度
- 体 重 大きいもので900キログラム程度
大型のウシと言うくくりには、スイギュウやバイソンにガウルなどが含まれます。
その中でも、ライオンと生息域が重なるアフリカスイギュウで見てみましょう。
よくライオンが狩りの対象とするアフリカスイギュウが「ライオンよりも強いのか?」そのようなお叱りを受けるかも知れません。
しかしながら、狩りの場合にはライオンは群れで行うから、この大きなアフリカスイギュウを倒すことが出来るのです。
それでも、よくアフリカスイギュウの反撃にあい退却するライオンの映像をご覧の方も多いのではないでしょうか?
アフリカスイギュウの武器は、パワフルな突進力と頭にある大きな角です。この角を力任せに打ち付けられれば、たいていの相手は戦意喪失してしまいます。
ライオンが退却させられる映像では、この角でライオンを宙に舞わせるようなシーンが良くみられますね。
たとえ雄ライオンであっても、アフリカスイギュウと1対1で対峙してしまうと、容易く勝てる相手ではありません。
負けてしまう可能性の方が高いのです。
トラ
アムールトラの基本データ
- 分 類 食肉目 ネコ科 ヒョウ属
- 体 長 大きいもので3メートル程度
- 体 重 大きいもので350キロ以上
トラはネコ科動物の中で最大種となります。その中でもこのアムールトラは大型になりますね。
ただ、最近ではアムールトラの生息環境に異常が生じ、獲物が不足していて栄養が足りていない個体が多く見られるようです。
このことからベンガルトラの方が大型化しているという説もあるようです。
トラとライオンは、以前から人間の間ではライバル関係とされ、よくその強さについて考えられてきました。
実際に戦わせてしまうこともありますが、その勝敗はケースバイケースと言うのが実際のところのようです。
ただし、これまでの勝敗を見てみるとトラの方が勝利する確率が高いとされています。
体格的にも攻撃的にも非常によく似ているので、どちらが勝ってもお互いに無傷では済まないでしょう。
仮に、ライオンが最大種となるバーバリーライオンの場合には、勝率が逆転する可能性があります。
ワニ
イリエワニ基本データ
- 分 類 ワニ目 クロコダイル科 クロコダイル属
- 体 長 4から7メートル(個体差が大きい)
- 体 重 450キロから1トン(個体差が大きい)
ワニは、長生きすればするほど成長をする生き物で大きさに個体差があります。
また、よくジャガーやヒョウなどがワニを捕食する映像が見られることから、このワニの強さは否定されてしまうかも知れません。
確かに大型ネコ科動物に捕食されるワニも存在しますが、反対に獲物となってしまう場合もあるのです。
中でも、大型となるイリエワニとナイルワニの場合には、雄ライオンでも危険です。実際にライオンがワニに倒されてしまうこともよくあるのです。
特にイリエワニでは、ギネス記録にもなっている体長7メートルオーバー、体重1トンオーバーの個体となればいくら雄ライオンでも歯が立たないでしょう。
大型ワニの鎧のような頑丈な身体には雄ライオンの爪や牙では無力です。そうこうしている間に一噛みされてしまえば、もう戦意喪失となってしまいます。
小型のワニであれば、雄ライオンは難なく噛み殺してしまうでしょうが、5メートルを超えるような大型な個体では反対にやられてしまう可能性が高いと言えます。
最後にお断り
よく最強動物を紹介する企画がテレビなどでも取り上げられます。
何をもって最強とするかにもよりますが、そのような場合に必ずと言っていいほどに「ラーテル」や「クズリ」の名前があがります。
ラーテルもクズリも共にイタチの仲間で、体長は80センチメートル程度、体重15キロ程度の小型の動物です。
ラーテルの場合には、世界一怖いもの知らずの動物としてギネスにも認定されていますが、自分よりもはるかに大きな動物にも立ち向かっていきます。
また、背中の皮膚が特殊でライオンの爪も通しませんし、免疫がありコブラなどの毒でも死なないことから最強の称号を得ています。
一方クズリは、こちらも自分よりも大型の動物に果敢に挑む姿が強さを象徴しています。
オオカミやヒグマから獲物を奪うことや争いでピューマを噛み殺したという説もあるようです。
いずれも、多くの場合にそのしつこさに相手が逃げる状態となるようです。
今回は、実際にライオンと対峙したと想定すると、その勇敢さだけでは覆すことが出来ない体格のハンディがあります。
そういう意味を含めて今回は、この2種は除外しております。
まとめ
今回、ライオンよりも強い動物についてご紹介しました。
生態系の頂点に君臨するライオンが、必ずしも最強であるわけではありません。
ゾウやサイにカバ、キリン、スイギュウなど草食動物が実際に1対1で戦えば、ライオンを凌駕してしまうこともあるのです。
例え、ライオンが群れとなってもゾウやサイ、カバはなかなか倒すことが出来ないでしょう。
また、同じ肉食動物でもトラやクマなどは個の戦いであれば、ライオンを倒してしまうこともあるようです。
もしかしたら、今度動物園に行った際には、動物たちを見る目が変わっているのではないでしょうか。